伊坂幸太郎著
志を秘める都議会議員、今を時めくトップアイドル、そして製菓会社のサラリーマン。
縁もゆかりもないはずの彼らが世界を救うッ!?
実はこの三人、現実と繋がるもう一つの世界である夢の中では、まるでロールプレイングゲームのキャラクターのようにモンスターを退治する仲間同士だった、、、
「安定の伊坂作品、流石ベストセラー作家様」
一言で言うとこんな感じ。
お察しの通り。称賛と感動だけじゃない、皮肉と嫌味、、、難癖?が絶妙にブレンドされてます。
日本国民の誰もが日々感じてるであろう、生活に対する漠然とした不満やモヤモヤ感を見事に言語化して、無理なく物語に落とし込んでいます。
痒い所に手が届く熟達の筆運び。序盤のクレーム処理の件は、読者諸賢も納得の連続だったのでは。
そうそう、まさにココなんですよ。
期待通りのモノを期待通りに提供されて、貴方は素直に喜べる人間なのかってこと。
そうねぇ〜〜例えば、、、
庭に出ようとしたとき、懐で温められてた草履をサッと差し出されたら、
「おおッ気が利くねぇ」なのか、「うわッあざといなぁ〜」なのか。
貴方はどっちタイプ?
昨今際立つ社会で感じるギスギス感に、波風立てず優しく突っ込む様は、俺も大いに頷くところ。
ですが、、、何っつーか、、、
「ホラ僕、解ってるでしょ♪」
みたいな賢しらな感じがチラチラと透けて見えると申しましょうか、、、
勿論、信長と秀吉は相性バッチリで、俺と伊坂先生があんま良くないっつーのもあるでしょう。
「じゃあ読まなきゃいいじゃん」
って、仰る通りなんですけど、だって面白いんだもん。
俺の中で、面白い/面白くないと、好き/嫌いは、作品を批評するにあたって全く別の基準なんです(←今確認したら、『マリアビートル』のときも同じこと宣ってますw)
これからも伊坂作品を読んでは、面白いけど何か違うという感想を垂れ流すことになるでしょう。
ファンの方々、気を悪くされたらゴメンナサイね。
今作、普通に面白かったんですよ。だから面白かったですって、捻くれず普通に感想書こうと思ってたの。
神経を逆なでする醜悪なキャラもいないし、お得意の安直な権力批判に流れてもいない。
だって〇〇家が悪役じゃないんだぜ、これだけでも好感度上昇。
今よ今、やっと伊坂作品を素直に褒められるチャンスが到来したぞと。
だけどあのアマゾンでの絶賛見せつけられたら、俺の天邪鬼エンジンが全開になってしまいました。
ベストセラーってたけで、何とか重箱の隅を楊枝でほじくり出してやろうつって読んでますから(哀)
我ながら恐ろしいまでの捻くれ具合、伊達にココまで人生を拗らせてませんw
ヤマが三つ。
序盤のマシュマロ異物混入事件、中盤の猛獣脱走、そしてトリは今や伊坂先生に限らず、文芸界定番ネタになりつつあるコロナを思わせるパンデミックと。
惜しむらくは、段々つまんなくなっていくところ。
序盤の異物混入がぶっちぎりで一番面白いです。
決して悪人じゃないんだけど、現場に介入して問題をややこしくする偉い人の存在。
あるあるあるーー、ここだけで何回「へぇボタン」連打したことか。
共感の連鎖が面白さを押し上げます。
この路線で進んでいくと思いきや、突然のタイムスキップでビックリ。
この後、猛獣〜パンデミックと続きますが、事件として規模が大きくなるにつれ、いい味出してた生活密着感が薄れ、納得と共感の減少と共に面白さも目減りしていきます。
面白さとあざとさと賢しらさは正比例の関係。もどかしいものの、やっぱりツマラナイよりは面白い方が断然正義なわけで。
先述の三つのヤマと連動する夢の中での出来事を、作中挿入される漫画で表現してますが、これがまた独特の雰囲気を醸し出してます。
ヘタウマで素朴な絵柄が今作とピッタリ。
っつーか、何で表紙があの絵じゃないの?表紙こそ絶対あの絵でしょ。
残念ながら漫画の健闘を活かせず、作中における現実世界と夢の連動はイマイチ。
現実の災厄が、夢の中ではモンスターとして暴れ回るというアイディアは相変わらずキャッチーなんですが、伊坂先生ならもうちょっと盛り込めただろうにというのが正直なところ。
まあね、あーだこーだ難癖を捏ね繰り回してますけど、今迄読んだ伊坂作品では一番好きです。面白さは、、、三番目かな。
俺が大人気なくアンチベストセラーATフィールドを展開してるだけ。
初戦の『魔王』で構築された心の壁は、十年以上の時を経て尚、厳然と聳え立っているのです。
4.5冊目(共著作品含む)も冷戦継続
★★★☆☆
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