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2023年05月20日09:32

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368冊目『鬼手 小早川秀秋伝』

大塚卓嗣著

このまま奉行衆の専横を許せば豊臣家が危ない。
豊臣一門“秀”の一字を継ぐ者として、何としても秀頼様をお守りせねば、、、
あの関ケ原にて、まさに天下を分けた男「小早川秀秋」
日本史上稀代の裏切り者が放つ“鬼手”とは?

まさに“鬼手”炸裂ッ
いやいや秀秋じゃなくて、大塚先生の方。
あの「小早川秀秋」をですよ、魅力的に描くっつーんだから。
切れ者且つ、忠義にも厚い名将だったと。
大塚先生、欲張らずどっちか一つにしといた方が良かったのでは。
馬鹿で忠義者か、不忠だけど切れ者ならまだ何とかなったかもしれんが、、、
豊臣家大事で家康に付くってのは、どー考えても無理筋です。
福島正則や加藤清正みたいに、石田三成への怨恨を立たせて人間臭さで押し切るならまだしも、無私無欲清廉潔白な御人柄と来たもんだ。
豊臣家に忠義を尽くし先見の明もありつつ、三成には恨みなしと。

「じゃあ何で西軍裏切んのッ!!」

サーセン、私ゴリゴリの西軍派なもんで。
ここまで読んでもらってお解りの通り、お馴染みの「関ケ原の戦い」がかなりの変化球で描かれてます。
当然読者には全体の流れや東西両軍の陣分け、各武将の基本的なキャラ付け等、関ケ原に関する基礎知識が求められます。
これを知らずに読んでもチンプンカンプン、戦国中級者向け也。

でもなぁ〜〜、変化し過ぎてやや暴投の感あり。
今作はあくまで歴史小説ですから。断じて秀秋のなろう小説に非ず。
となれば、要所要所で史実との整合性をとらなければならないわけで。
秀吉の死から松尾山を駆け降りるまで、秀秋が取った全ての行動に、東軍へ与した明確な理由を提示しなければならない。
これはかなりの難題かと。
俺なんか、ずーーっとモヤモヤ状態。
「あんたがいらん事してくれたせいで、十五年後に大坂城が紅蓮の炎に包まれるんですけど、解ってますッ!?!?」みたいな感じ。
っつーわけで、面白く読ませてはいただきましたが、全く腑に落ちてません。

秀秋を軸に、東軍から「京極高次」と西軍から「長束正家」を脇に据えます。
ここいら辺の人選も実に絶妙かつ微妙。
三成や家康のスター級を全面に出すと秀秋が喰われちゃうもんね。
そうそう、敵対陣営を憎き敵として醜悪に描写せず、魅力的なキャラにしたのは好感を持ちました。
そして、超重要キーパーソン「山岡景友」の暗躍。

、、、って、誰だよッ!!

史実との整合性の矛盾をマイナー武将におっ被せるとは、まさに“鬼手”ですなぁ〜〜
確かに。無いとは言い切れない。
資料と資料の隙間、歴史の闇に如何なる真実が隠されているのか?
そこに焦点を当てるのが歴史小説の醍醐味ですもんね。
うん、納得は出来んけど、、、アリかな、、、

でも俺にとって「小早川秀秋」といえばやっぱりこの作品、って、もう十二年も前なのッ!?
『小早川秀秋の悲劇』→26
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1683097601&owner_id=263792
やはり王道あってこその変化球でしょう。


まさに“鬼手”
★★★☆☆
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