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2023年04月15日12:03

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364冊目『幸村を討て』

今村翔吾著

「大坂の陣」ですね。
前回の読書疲れがまだ完全に癒えてないもんですから、単純明快な作品が良いなとチョイス。

日本史上に燦然と輝く英雄「真田幸村」
生涯只一戦での活躍にも関わらず、この人気振り。
一体「真田幸村」とは何者だったのか?

幸村の活躍読んでスカッとするはずが、むむッまさかのミステリー!?と相成ったわけでして。
今作、直球に非ず。かなりの変化球也。
ブッちゃけるに、「スーパーお兄ちゃん伝説 信之物語」です。
幸村脇役、昌幸なんかモブ扱い。

加えて、「大坂の陣」に参戦したそれぞれの武将を通して見た幸村像から、信之の深謀遠慮が浮かび上がるという短編連作構成。
もうね、孔明も真っ青の超絶軍師爆誕です。
「大坂の陣」は、全てヤツの筋書き通りだったというお話。
徳川家康、織田有楽斎、南条元忠、後藤又兵衛、伊達政宗、毛利勝永、そして実の弟である真田信繁改め幸村。全員ヤツの掌の上で踊っていただけ。
大阪城に渦巻く運命を掻き混ぜていたのは誰あろう、「真田伊豆守信之」その人であったッ!!デデーンみたいな。

確かに。
さっきも書いたけど、「大坂の陣」の一発屋なんですよ幸村。
でもやっぱメチャメチャ人気ありますよね、現代に至るまで。
何の実績もない武将がいきなり歴史上に忽然と現れ、天下人家康をあと一歩のところまで追い詰めた。
このたった一戦で、「日本一の兵(ひのもといちのつわもの)」という伝説を築き上げたわけです。
っつーか、何か出来過ぎじゃね?
確かに言われてみれば、、、
この裏で密かに何かしらの陰謀が進行していたとしても全然おかしくない、説得力アリアリ。
流石、新進気鋭の歴史作家今村先生ッ!史実の絶妙な隙間に目を付けられましたな。

そもそも「大坂の陣」とは、一体全体どのような戦いであったのか?
ココを改めてキッチリ検証してるのが今作のミソです。
戦国乱世もこれにて終焉、これが最後の最後、正真正銘ラストバトルということ。
そして豊臣家にはほぼ勝ち目がない消化試合であるということ。
この二点、この二点が、「大坂の陣」を他の戦とは異なるものにしているわけです。
最早徳川の天下は盤石、豊臣家に味方する大名は皆無。
必然的に大阪城に参集するのは烏合の衆である浪人たちであると。
彼らの参戦理由、この戦いに求めるものは何なのか?
ド派手な死に様、手柄を立てての新たな仕官先、生存本能、そして約束に秘めた淡い初恋まで。
様々な思惑が、本当に様々な思惑が大阪城内に蠢いとるんです。
信之は勿論、伊達政宗や本多正信など幕府軍も曲者揃いで決して一枚岩ではない。

さて、先に挙げた六人の武将たちは何のために戦っているのか?
そしてそれがどう幸村と絡んでくるのか?
それぞれの視点から、謎の武将「真田幸村」の姿が浮かび上がります。
全六章各々趣向を凝らした角度で攻めてきて飽きさせません。
中でも「南条元忠」の違和感たるや。
うん?何か一人だけ知らんヤツ混じってんじゃんと調べるに、マイナー武将感は拭えず。
真田の「草」と、南条の「鉢屋衆」の情報戦は今作屈指の見所なんですが、あの肉付けはどこまでが今村先生の創作なんでしょうか?
あとは、、、どの武将かは伏せますが、意外にも恋愛パートに中々沁みるものがありまして、、、
承認欲求と生存本能が醜悪な化学変化を起こす城中にあって、ただただあの人を救いたいという純愛が放つ清涼感よ。
正直取ってつけた感満載なんですが、真田の腹黒い陰謀より遥かに好感を持ちました。

真田の家名を残すという絶対目標を死守しながら、同時に父(真田昌幸)の悲願であった徳川打倒と真田の勇名を轟かせるという野望を達成するには、、、

うん解ります、解るけどさ、、、

やっぱ一緒に戦ってる味方まで欺くっつーのは、どうしても好きになれません。
真田丸で必死に足掻いてる雑兵の身にもなってよ。
まあね、人の上に立つっつーことは、如何に他人の運命に冷淡になれるかっつー側面もあるんでしょう。ですが駄目なもんは駄目なんです。
大願を成就させるためには、赤の他人がいくら死のうが知ったこっちゃない ←こーゆースタンスどうなんですか?俺は甘ちゃんだから非情に徹しきれません。
誰かに似てると思ったら、シャアだわ「シャア・アズナブル」
美形の策士にして究極のマキャベリスト。
ホント、あのジオン敗北のA級戦犯とそっくり。
陰謀や復讐に巻き込まれて、人生や命を失うモブキャラたちが憐れ過ぎる。
当事者同士でやれよ、他人を巻き込むんじゃない。

減らず口ついでにもう一つ。
三十代という今村先生の若さに引っ掛かってるのもあるかとは思いますが、過去読んできた大御所たちの流麗なる美文と比べるに、些か硬さが残る感が否めず。
漢語ばっかで近代っぽい印象、もう少し大和言葉多めにして時代感を出して欲しいところ。
って、文章のプロに対して偉そうですねスイマセン。

まあ、色々ゴチャゴチャ言ってますが面白さは保証します。
間違いなく歴史小説の新たなる旗手として、今村先生とは今後も幾度となく対戦することになるでしょう。次回の対戦が今から楽しみです♪


お兄ちゃん無双
★★★☆☆
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