mixiユーザー(id:263792)

2022年12月25日17:41

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359冊目『ガラパゴス』

相場英雄著

お久し振りです相場先生、いや田川刑事。
『震える牛』→94 以来実に十年越しの再戦。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1886522801&owner_id=263792
うわぁ文章堅ッ よそ行きモードで書いてますねぇ〜って、そんなことはどーでもいいんです。

書架では毎回拝見してたんですけど、中々手が伸びず。
今作でも社会派の重いパンチでブン殴られることがほぼ確実。だもんで読み始めるにあたって娯楽作品とは違う心構え、覚悟ってもんが必要になってくるわけでして。
今いろいろあって疲れてるから、気力が充実したときに、、、
何か気分が乗らないんでまた今度、、、
と、何だかんだで逃げ続け、今回まで延びに延びまくっておりました。

都会の片隅で忘れ去られた一人の青年の死。
“地取りの鬼”と呼ばれる捜査一課継続捜査班刑事「田川信一」が彼の死の真相を明らかにするとき、人間性を資本主義の魔物に貪られた日本経済の歪な実態が浮かび上がる。

『震える牛』では食の安全、今作では非正規雇用がテーマ。
相場先生の張り詰めた危機意識がアバターである田川刑事に乗り移り、またもや現代日本の闇を暴き出していきます。
「非正規雇用問題」
肥大した資本主義による労働力の搾取、それにより拡散する貧困・格差の問題。
これだけで気が滅入る、帯の煽りだけでどんより。

実は、俺も契約社員なんですよ、工場の製造現場で働いてます。
現場では正社員も含め様々な雇用形態、パート・アルバイト・派遣・契約社員たちと仕事をしています。海外拠点から研修に来ている外国人もいます。
だから相場先生よりも、もう一人の主人公「仲野定文」(スイマセン、名前と出身地だけネタバレします)により近い位置で人生を生きているということになります。
数十年、製造現場を経験した者から率直な感想を述べさせてもらうならば、やや露悪的に過ぎるかなと。
底辺の底辺、最悪な部分だけを最大化して、あたかもそれが全体であるかのような印象付けは如何なものでしょうか。
都心だけ見て、「東京はコンクリートジャングルやけん好かんッ!、人間の住む所やなかろうもんッ!!」みたいなね。
いやいやいや、電車で三十分も行けば、畑が広がって野菜の無人販売やってる様な長閑な雰囲気になりますよっつーの。

正社員が派遣を差別するとか、寮がタコ部屋とか、鉄拳制裁とか、etc., etc
えぇーっと、何処の旧日本軍ですか?
契約のくせに正社員と仲良く喋るな!なんて、そんなの聞いたことないんですけど。江戸時代の士農工商じゃあるまいし。
マジで、現代のこの日本で、こんな前時代的なことが平然と行われてるんでしょうか?

「お前がたまたま運良くホワイトな環境に収まっただけだろ」

、、、、、、。

そうなんです、問題はソコなんです。
嘆かわしいのは、この様な人権侵害が日本では絶対に起きていないと胸を張って断言出来ないこと。
実際ニュースとして俺の耳にも聞こえてきてますし。例えば悪名高い技能実習制度とか。
貧困層よりさらに立場が危うい外国人ならさもありなん。
民主主義を標榜する法治国家であり先進国でもある現代日本において、奴隷制度かと見紛うほどの労働力の搾取が一部とはいえ、実際に行われているという愕然とする事実。

兎に角安さを求める消費者→市場における激烈な価格競争→更なる費用削減を迫られる生産現場→労働力を買い叩かれる労働者→生活に余裕がないから安さ優先という負のスパイラル。
そうなんです、消費者=労働者なんです。極限まで突き詰めていけば自業自得というか因果応報というか。
製造現場の生の声として聴いていただきたいのですが、良い物を作るためには時間とお金が絶対に必要なんです。
安さと引き換えに手間と費用を惜しめば、結局それなりの物しか出来ないんです。
選択肢の一つとしての安さは否定しませんが、そればかりに偏重するのはやはり問題かと。
今や何かっつーとコスパコスパの世の中ですから。
もう少し、良い物にはきちんと対価を払うという健全な消費者マインドが醸成されてもいいのかなぁ〜〜なんて。
食べ物が一番解り易いですよね。
味噌や醤油なんかもほんの数百円上乗せするだけで、昔ながらの木桶で仕込まれた本物が簡単に手に入ります。
工場で大量生産された製品より風味がありますし、健康効果も断然上回ってます。
たかだか数百円をケチって、人生損してたら本末転倒じゃないですか。

衣食足りて礼節を知る 

その通り。確かに生きていくうえである程度の余裕は絶対に必要。
貧困に喘ぎ不幸に疲れ果て人生を投げ出した人たち、所謂“無敵の人”を量産しないためにも社会や政治の支援は必須です。
貧困を放置すればそこから嫉妬や不満が生まれる。
堆積した嫉妬や不満は、憤怒へ濃縮されていく。
パンパンに膨れ上がった憤怒は、ほんの些細な切っ掛けで暴力へと爆ぜる。
お金持ちにとって一番の悪夢とは。
貴方たちの富が理不尽な暴力(犯罪や戦争)によって奪われることでしょう。
貧困が根絶された安定した社会は、巡り巡って富裕層のためでもあります。
だからといって、あるところが分捕れという乱暴な発想ではなく、富裕層が気持ちよくその富を社会に還元出来る仕組みを考えるのが政治の役割だと思うのですが、読者諸賢の御高察や如何に。
じゃあ、具体的にどーゆー政策があんのよ?と問われると、、、

ハッ!? ヤヴぇえ、また全然本の感想じゃないじゃん。
ハイハイいつものお得意パターンですよ、感想にかこつけて世相を斬るみたいなヤツ。
スイマセンねぇ、ウチは大体コレでやらせてもらってますんで。
感想はですね、、、えぇーーと、『震える牛』と大体一緒です。
、、、って、それだけじゃあんまりだから、そうね、、、「仲野定文」君、良い奴過ぎ。
冒頭の宮古島(スイマセン、名前と出身地だけネタバレします)のシーンから泣きそう。
これは辛い読書になる。
だって、こんなに純粋な少年がこれから本土に出て、汚らしい大人たちにその人生を踏み躙られていく様を読まなきゃいけないんだから。
仲野君もウチで働きゃ良かったのに。まあ残業・休出はありますけど、君ならすぐ正社員になれるよ。
正直、身元不明者の死者を辿る田川視点のミステリーで助かりました。もし仲野視点での理不尽な社会に喘ぐ労働者の物語だったら、余りに酷薄なその人生描写に初の中途放棄作品になってたかもしれません。

それでも敢えて言わしてもらいますが、やはりフィクション/小説なんですよね。
またもや現場の声を空気を読まずに拡声器で叫びますけど、仲野君みたいな聖人君主はいません。
わざわざ作業効率を落とす様な、露骨な嫌がらせをする暇な悪人もいません。
工場の製造現場にいるのは、目前の品質と納期を守ることに頭が一杯で、残業と休出に疲れ懸命に頑張りながらも、他人を気遣う心の余裕が摩耗しかけた極々普通の人々です。
まさに単調を絵に描いた日々、小説の題材には到底なりえません。

っつーか、ぶっちゃけ今の日本どうですか???

そんなに貧しくて辛くて生きにくい国ですかね。
最近ココでも貧困や格差について書くことが多いし、メディアでも悲観論をよく耳にします。もう日本は終わったとか、日本に未来はないとか、、、
今作中でも自動車業界を例に、グローバルスタンダードに乗り遅れた日本を「ガラパゴス」と揶揄しています。
巷では、従来のやり方に固執するあまり新しい状況に対応出来ないことを「ガラパゴス」と定義していますが、王道から外れ自分の流儀に拘っていても成功さえしていれば「オンリーワン」になるんです。
要は結果、自分のやり方に拘泥する過程は同じでも成功すれば「オンリーワン」、失敗すれば「ガラパゴス」、こんなの言葉遊びでしょ。

逆に言えば、徹底的に無駄を削ぎ落し極限まで生産性や効率を追求した社会が本当に幸せなのかと問いたい。
緩みや隙間、アソビと思われている過程から生まれる“何か”もあるでしょう。
あらゆる考えが並立する多様性こそが豊かな文化の源であるなら、独自進化した「ガラパゴス」こそ強力な個性となりえるのではないでしょうか。

と、何か偉そうに語ってますけど、結局結果出さないと誰も聞いてくれないんで。
結果が全てじゃないけれど、一番求められてるものも結果なんです。
俺もさあぁ、いろいろイイコト発信してんだけどイマイチ言葉に重みがないんだよね、何故ならば世間で言うところの、、、負け組だから(哀)
ガラケーだしw そうそう作中田川もガラケーなんですよ。
案外、幸せのヒントは「ガラパゴス」にあるかもよ♪


今時 mixi って、どんだけ「ガラパゴス」なんだよッ!!
★★★☆☆
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