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2021年08月12日11:51

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329冊目『人間』

又吉直樹著

確固たる信念もなく漫画家を志し上京した永山。
今は夢破れ、雑誌の隅にイラストやコラムを載せ、かろうじてクリエイティブな業界にしがみついている。
そんなある日、かつて芸術家の卵たちが集うシェアハウスで暮らしていた頃知り合いだったコラムニストが、ネット上での炎上騒動に巻き込まれていることを知るが、、、

、、、、、、。

書き辛えぇぇッッ!!

いやマジで。今回ホント書き辛ぇっス。
創作物に対する批判も今作の大きなテーマ。
あらゆる批判に対しての反撃が既に作中で展開済なんで、ここでどう書いても切り返されるっつーか。
でもまあ結局のところ、心に浮かんだ感情を自分の言葉で正直に書くしかないんですけど。
高々数十人が読んでるか読んでないかのこの辺境の感想文で、空気を読んでもしょうがないでしょう。
っつーか、感想ぐらい自由に書かせてよ。

創作者が血が滲むような生みの苦しみを経て、この世に送り出した創作物。
にも関わらず、その過程を全く顧みずに行われる安直な批評。
的を射た批判ならまだしも、巷にはびこる誹謗中傷・罵詈雑言の数々。
解ります、解りますよ許せない気持ちは。
しかし敢えて言わせていただきます。
安直な批評は勿論、的外れな批判も、更には法律に反しない限り誹謗中傷・罵詈雑言でさえも表現の自由に含まれると。
例え百人中九十九人が不快だと感じていても、残り一人がこう表現したいと言ったらそれを認めるのが表現の自由なんです。
「おまえのそれは不快だ」と表現し返せばいいだけの話。
賛否双方が自由に発言できる環境さえあればいい。
「おまえは間違ってるからもう喋るな」←こういう流れはだけは断固退けるべき。
特定の価値観を押し付け言論封殺するくらいなら、大炎上しても醜く罵り合ってる方が遥かにマシ。
最近ポリコレの凄まじい浸透具合を見るにつけ、社会が急速に♪言いたいことも言えないこんな世の中じゃ Poison♪化してるのが恐ろしい。

っつーわけで、気に障る言い回しもあろうかと思いますが、感じたことを正直に書かせていただきます。
御無礼は平に、、、
最初はそうね、三冊目で良かったということ。
もし又吉先生との出会いが今作だったなら、「芸人作家・又吉直樹」に対する偏見を一生拭い去ることが出来なかったかもしれません。
『火花』・『劇場』で培った又吉作品に対する絶対的信頼が、今作を読み進めていくうち徐々に揺らぎ始めました。
言っときますけど俺、『火花』の漫才シーンで号泣して、この湧き上がる熱い思いを聞いて欲しいッ!つって、井の頭公園まで又吉先生捜しにいった男だかんね。

『火花』→274
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1970605534&owner_id=263792

過去の絶対的信頼があるんで、序盤話に乗れなくても又吉先生なら挽回してくれるという安心感も持って読み進めるに、、、ん?、、、何か雲行きが怪しいぞと。
『人間』というタイトルに込められた思い。
勿論人間だから完璧な存在じゃない。
嫉妬や嫌悪・憎悪、傲慢や侮蔑といた負の感情が心に渦巻くこともある。
こういった人間の闇の部分、醜さを強調することで、人間の人間らしさ、人生を生きていくことの悩ましさを読者に訴えようとしているのかと感じました。

いやでもホント、マジで嫌な奴しか出てこないんだもん。
物語の中とはいえ、人間の敵意や悪意にこうも晒され続けると流石に辛い辛過ぎる。
そこでハタと思いが巡るわけです、もしかしたらこれは又吉先生の仕掛けた罠?なのではないかと。
ネット上で誹謗中傷を受けた登場人物の気持ちを読むことで、今まさに読者がそれを疑似体験しているわけで。
敢えて読者を嫌な気分にさせることで、高度な感情移入を誘ってるのではないか?

、、、そんな感じで実は高次元下での筆者と読者との攻防になっているのかもしれませんが、残念ながら読んでて全然面白くない。
ここが前二作との大きな違い。
『火花』の神谷や『劇場』の永田は、それこそ人に迷惑かけっ放しの社会生活不適合者でしたが、それでも憎めない余りある魅力に溢れていました。
あっ、そういえば、、、『火花』にも『劇場』にも駄目人間は出てきますが、嫌な奴は一人も出て来なかったじゃん。
愛すべき駄目人間だからこそ、神谷の才能と情熱に、永田の触れれば壊れてしまいそうな純粋さに惚れたんだと思う。
ドデカい短所がさらにデカ過ぎる長所で包み込まれた感じ。
翻って今作『人間』の登場人物たちは、互いの短所を攻撃し合ってるだけ。
シェアハウス内で繰り広げられる罵詈雑言の応酬と、これでもかと見せつけられる変態行為に正直前半でギブアップ状態。
あそこまでして人間の醜悪さを曝け出さなければならなかったんでしょうか。
当然人間の闇の面だけではなく光の部分も描かれるわけですが、深く暗い漆黒の闇に対し当てられた光が何とも弱々しい。
とはいえ、永山と影島の邂逅、永山家の故郷沖縄での触れ合いに一筋の光明を見出す読者も多いことでしょう。
前半でブラックホールに呑まれた俺は無理でしたけど。

そう東京編から沖縄編の入りも唐突で。何か別の小説読んでるみたい。
大らかさの象徴として永山の父親が登場しますが、このキャラクターにも全く感情移入出来ないどころか、ムクムクと嫌悪感を募らせてしまいました。
神谷と永田から才能と情熱と純粋さを抜き取った様なキャラ。
要するに他人に迷惑ばかりかける駄目親父だけど、何故か憎めないオッサンみたいな。
前回の『だまされ屋さん』の感想とカブるけど、俺、こーゆー奴大っ嫌いなんで。
東京で傷付いた永山は父親の破天荒ぶりに元気付けられますが、俺はイライラ全開。

前二作には溢れていた東京愛も微量。
飛行機の窓から見える東京の夜景に思いを馳せるシーンで、少しばかりそれを感じてやっとこ出たよ又吉節がッ!と嬉しくなったぐらい。
わざわざ書き留めたくなる様な心にズシンと響いてくる一文も今作は見当たりませんでした。
それにしても、漫才→演劇→芸術と来て次は何でしょう?
またモヤモヤとした創作の苦しみをテーマとしたいつものパターンなんでしょうか。
そろそろ毛色の違う作品も読んでみたいというのが正直なところ。
伊東先生のときとは全く逆の物言いですけど御愛嬌ってことでw
でも読者が読みたいものを書く商業的な作家というよりは、己の書きたいものを貫き通す芸術的作家ですよね又吉先生は。
でも一作ぐらいは痛快娯楽超大作みたいな作品も読んでみたいかも。


この感想も「批判ハラスメント」p175になりますかね?
★★☆☆☆
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