鑑賞。吉祥寺セントラル。
今、自分の気持ちを的確に文章におこす事は難しい。
様々な感情が心の中をさざ波のように打ち寄せ、小さな波紋がいつまでも続いている。
何から語ればいいだろう。
やはりクリント・イーストウッド監督への感謝の念だろうか。
六十年前の日本兵の心情を、よくぞここまで引っ張り上げてくれた。
正直、日本人でも理解し難い当時の軍人の考え方をアメリカ人が理解出来るはずがないと思っていた。
ハリウッドによるトンデモ日本描写を、今まで散々観てきた事もあるだろう。
『父親たちの星条旗』を観て、不安が期待に変わった。
試写会の批評の賞賛を読み漁り、その気持ちは強まるばかりである。
そして今日の鑑賞。
全ての疑念不安は解消された。
全編日本人俳優による日本語劇。娯楽性を削ぎ落とした戦争映画。
おそらく、米国での興行は振るわないだろう。
それでも日米双方の視点から描くことに拘ったイーストウッド監督。その心意気に全力の演技で応えた役者陣。
感動した。
と同時に、どうして日本で作れないのかと嫉妬にも似た感情が湧き上がる。
技術的資金的な面は勿論、当事者だからこそ敗戦国だからこそ描けない厳然たる“壁”が存在する。
六十年経った。もうそろそろ善悪を越えて、真実を語り継ぐべきではないだろうか。
米海兵隊が経験した地獄のような戦場。
しかし彼等にはまだ救いがあった。
制海空権を完全に掌握した米軍は、前線に十分な物資を送ることが可能であった。
負傷すれば、洋上に待機する病院船に退避することも出来た。
そして何より”必ず生きて帰る”という信念のもと戦っていたのである。
地熱と悪臭のこもる地下壕で、武器弾薬の補給はおろか水さえまともに飲めない日本軍守備隊。
戦場に残された最後の希望“生き残る”ことさえ許されない極限の状況。
どれほど辛かったであろうか。その心情を察するに余りある。
生存者の方の「硫黄島は、人間がどれだけ苦痛に耐えられるかの耐久試験場だった」という言葉が忘れられない。
改めて平和の尊さを実感すると共に、戦後ひたすら戦没者に対し冷淡に接してきた我々日本人に、何ともいえない感情を覚える。
一人でも多くの人、特に若者に観ていただきたい。
そして過去を振り返り、今を見て、未来を考えてほしい。
時々でいい。恋愛やファッションの次の次の次でいい。
自分達が生きている国、そしてこれからも生きていくこの国について考えてほしい。
良い映画でした。
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