深い森林を、傷を負って歩く若い男(黒崎煌代<くろさき・こうだい>)。
転びながら彼がなんとかたどり着いたのは、どこか神秘的な雰囲気を漂わせる神社だった。
そこにはさゆり(蒼戸虹子)という巫女のような可憐な女性と、真っ白な蓬髪で老いた謎の男(高橋一生)が暮らしていた。
若い男は、さゆりの手当てを受け、その神社の家屋でしばらく養生することに。
老いた男は碁を打ち、若い男はその相手もする。
しばらく暮らすうち、若い男はさゆりに心惹かれていくものの、老いた男の素性も気になる。
やがて、若い男はようやく神社から旅立とうとするのだが、逆に老いた男が、
「あなたの来るのをずっと待っていました」とポツリと言い、リュックを背負って去っていこうとする。
若い男はあわてて彼の後を追うのだが、森林の中で、誰かにすねをむんずと掴まれる。
強い力で放そうとしないのは、さゆりだった。
老いた男は遠い遠い昔を回想している。
あの若い男と同じぐらいの歳だった頃の自分。
やはり森林で迷い、ふと辿り着いた神社。
そこにいたさゆり。自分はこんな老人になったのに、さゆりはあのときからまったく年を取っていない・・
タイトルの「脛擦りの森」。つい「すねかじりのもり」と読んでしまったが「すねこすりのもり」です。
「すねこすり」とは岡山県西部に伝わる妖怪で、道行くたびびとの足にまとわりつき、離れないのだという。
この妖怪をモチーフにして、なんとも不思議な雰囲気の物語が出来上がった。
監督・脚本は渡辺一貴。実際に岡山県の森の中で撮影したそうだ。
60分の短めの映画ながら、どんな人物にもなりきってしまう高橋一生の老人ぶりが見もの。特殊メイクとはいえ、鬼気迫る容貌だ。
(4月13日、キノシネマ天神)
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