mixiユーザー(id:263792)

2025年12月20日12:19

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434冊目『定価のない本』

門井 慶喜 (著)

昭和二十一年夏、神田神保町で一人の古書店主が、本棚から崩れ落ちた大量の本の下敷きになり圧死する。
不幸な事故と思われたが、その死の裏側にはどす黒い陰謀が蠢いていた、、、

二軸体制。
犯人捜しのミステリーと、GHQの文化政策に対抗する古書業界の奮闘。っつーか、戦後史ファンタジー?
どっちもフワフワ。
ミステリーとしては犯人・動機・トリック、全てが軽い。
正直ミステリー要素いります?
拙い探偵ゴッコの所為で、本来の「文化を守る戦い」というテーマが希釈されてしまってます。
その「文化を守る戦い」も史実ではない戦後史ファンタジーなので、歴史の重みが全く感じられません。

239冊目 『家康、江戸を建てる』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1964372462&owner_id=263792
俺的に門井先生は、硬派な歴史作家のイメージで固着してたんですけど、結構ミステリー畑の作家さんなんですね意外。
前回に引き続き、またもや自分勝手な先入観で反省。

で、ココでも何度か申し上げてます通り、バランスだと思うんですよ歴史小説は。
史実のリアリティと小説としての娯楽性。
歴史の勉強じゃないんで、史実を淡々と記述しても面白いわけがありません。
じゃあ、エンタメ全振りかと言えば然に非ず。
源義経は生きていたならまだしも、大陸に逃げ延びてチンギス・ハンになったじゃ都市伝説なわけです。
勿論、自由な創作を否定してるわけではありません。
エンタメ全振り大いに結構、俺も歴史ファンタジーで大好きな作品ありますし。
現実問題としての素材と手法、相性の話。

文化を守る戦い、「GHQ文化政策へのレジスタンス」

読者に若干の知識と教養を要求し、米国史の歴史観にも関わってくるこの素材ならば、史実七:娯楽三ぐらいが妥当かと。今作は真逆、史実一:娯楽九で暴走気味。
端的に言えば、例えアメリカ人が読んだとしても、突っ込めないようにして欲しいんです。
軍国主義の排除は当然だとしても、彼らが戦勝国の驕りと黄色人種への差別意識から、傲岸不遜極まりない教化政策を押し付けてきたことは厳然たる史実なわけですから。

「ダスト・クリーナー計画」???

ここに史実ではない都市伝説要素を混ぜ込んじゃうと、どうしても反論の舌鋒が鈍ってしまう。
俺はね、歴史修正主義だの陰謀論だのと逃げられない様に、厳然たる史実の鉄拳で、日本人を矯正してやったという奴らの伸びきった鼻を、バキバキに圧し折ってやりたいんですよ。
そもそも犯罪を厭わないような連中が、まともな商取引に応じるでしょうか?
どうにでも難癖付けて、接収命令出せばいいだけの話では?
ここに取って付けたようなさっきの探偵ゴッコが乗っかってくるわけですから、メインテーマである「文化を守る戦い」の迫真性への侵食度は推して知るべし。

、、、、、、。

まあね、そもそもがフィクションなんだから、もっと気楽に読めばって話なんですけどw
っつーわけで、メインストーリーがフワフワの今作、見所はズバリ、ディティールです。
世界最大の古本街「神保町」の成り立ちと仕組み、その魅力が活き活きと描かれています。
加えて、作中取引される貴重な文化財の蘊蓄がてんこ盛り盛り。
当時の文化的支柱と言える存在、「徳富蘇峰」も良いキャラしてます。
もう一人登場する超有名人はエンタメ暴走の明らかなバランスブレーカーですけど、登場時にちょっとテンション上がっちゃったのは秘密。
久し振りに、神保町で古書店巡りしてみっか。


やべぇ、門井作品も今年二作目じゃん
★★★☆☆
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