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2025年11月12日09:53

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映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」

1975年、多部純子(のん)は、女性初のエベレスト登頂に成功。
その快挙に、マスコミの脚光を浴びる。

2010年、純子(吉永小百合)は、病院で検査を受けたところ腹膜のガンで余命3カ月だと診断される。心配する夫・正明(佐藤浩市)に「わたしが三カ月で死ぬわけない!」と豪語。
昔からの友人・悦子(天海祐希)と登山に出かけてしまう。
純子の強い意志なのか、彼女は生き続け、翌年3月東日本大震災が発生。娘の教恵(木村文乃)も、福島に住む息子の真太郎(若葉竜也)も、母の病状が気になっていたが、純子は「震災に遭った東北の高校生たちと、富士山に登る」プロジェクトを始める。

純子の胸に去来するのは、1973年、女性だけの登山チームでエベレスト登頂をめざす計画を始めた頃のことだったー。

すでに純子は正明(工藤阿須加)と結婚して子供もいた。
資金不足で、企業に協賛金を仰ぐと「山なんか登らずに、育児をすべき」とオヤジどもから説教される。女性が目立つことをすると叩かれる、そんな時代だったのだ。

彼女たちのチームに取材に来た新聞記者・悦子(茅島みずき)は、はつらつとした女性たちに感銘を受け「わたしも登ります!」とチームに合流する。

苦難の後、エベレストへ向かったが、悪コンディションやシェルパの高山病もあり、頂上アタックに行ける隊員はひとりだけ。それが純子だった。

しかし、ほかにも多くの隊員がいたのに、結果的に純子ひとりが注目されスター扱いされ、その後、苦楽と共にした隊員と疎遠になってしまう。
広江(円井わん)とは、最後まで登頂を競っただけに、広江が自分の前から去ったことが、純子は悲しかった。
しかし悦子とは、終生の友となった。

真太郎は長じるにつれ「有名人の息子」であることが重荷でうっとおしい。
金髪ピアスの恰好で登校。
教師は「お前は多部純子の息子なんだから、もっとちゃんとしろ」と言う。
純子や学校に反発し、けっきょく福島の高校に転校。
そこの教師は「君が多部純子の息子とか関係ない。校則違反だから、ピアスをはずせ」とあっさり言う。

東北の高校生との富士登山は成功し、回を重ねていく。
ガンが再発した純子は、好きなシャンソンのチャリティコンサートを開いて、登山イベント資金を稼ぐ。
大人になった真太郎も登山をし、高校生富士山登山のスタッフとして、純子をサポートしていた。

純子は正明と、富士山にゆっくりと登る。
もう山頂まで行く体力がないので、途中までだ。
そして彼とはじめて出会った谷川岳での出来事を思い出す。

山で出会い、下山のバス停でもいっしょ。しかも同じ赤い登山シャツを着ていた。
バスで隣り合わせの席に座ると正明は、昔病気で、明日死ぬかもしれないと思ったのだ、と告げる。純子は、一日一日を大事に生きようとする彼の姿に強く惹かれるものを感じ、恋に落ちたのだった。


女性登山家・田部井淳子さんを描いた映画である。
わたしは、実は「アウトドア」全般に興味がなく、登山も「あんなしんどいことようやるなあ」と見てしまうタイプなので、言葉は悪いが、ある意味「山バカ」の女性の物語だとも言える。
でも見に行ったのは、のんさんが若い頃の純子を演じていたから。
吉永小百合が主演で、その若い頃の設定なので、のんさんも吉永小百合に「寄せて」演じていた風もあるけれど。
彼女は毎日新聞に定期的にエッセイを寄稿していて、雪山のシーンの撮影は「ほんとうに凍傷になるかと思うぐらい過酷だった」と書いていた。

のちに夫になる、若き日の正明をじっとみつめ、心がわしづかみにされている、というシーンは、すごく見ごたえあった。
けっきょく、これは登山に人生を賭けたけど、「純子と正明の夫婦愛」の物語だと思う。昭和の時代、有名人になっていく妻をサポートし、支え続けた夫はなかなかいなかったろう。
(11月11日、イオンシネマ大野城)
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