mixiユーザー(id:263792)

2025年02月02日10:34

353 view

407冊目『愚か者(フリムン)の島』

乾緑郎 (著)

超久々の帯借り。
図書館によっては、帯を貼り付けてくれてるとこもありまして。
一々端末で確認しなくても、凡その内容が把握できる嬉しいサービス。
ほうほう、中々面白そうじゃないですかと。

久し振りと言えば乾先生との対戦も、何とッ十年振り。
146冊目『完全なる首長竜の日』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1930313286&owner_id=263792&org_id=1929851841

我ながら、薄っぺらい感想並べ立ててますなぁ〜お恥ずかしい。
まあ、薄い繋がりっつーことで。
そうなんです今作、キッチリ面白いんですが、、、薄い。
「あーー面白かった♪」と読み終わって、一年後には何も覚えてない感じ。
本来ならば面白いだけで充分なはずなのに、新しい知識や心震える感動など+αを求めてしまう強欲な読者に成り果ててしまいました。
小説に限らず映画・漫画・アニメ・音楽等々、一瞬の輝きを放った後、日々大量に消費されていく娯楽作品たちの切なさよ。
せめて「首長竜」のときよりは、今作の面白さを伝えるべく頑張ってみます。

タイトル通り、愚か者が島に集まって一悶着って話。
舞台は沖縄県南方の無人島、集うは訳ありの曲者たち。
一癖ある登場人物たちをざっと紹介。

島で原始生活を試みる自然主義者カップル
プライドばかり高く実力が伴わない男「土岐」
何もしない生産性ゼロ女「咲良」

土岐たちを報じた新聞記事を見て移住してきた石毛一家
元教師で頑固者の父「久志」
気が弱い母「美千子」
中学生で引き籠りの息子「諒」

島のリゾート開発を目論むグループ
欲望の権化「嘉門」
嘉門のヒモで武闘派「亀石」
奴隷根性のクズ「阿久津」

女子大生を殺害して逃亡中のサイトウこと「苅部」

基本、この三組+一名による島での主導権争いが軸。
ポイントは殺人犯である苅部が、この中で一番まともであるということ。
痴情のもつれから恋人を殺害してしまった苅部、日本各地を転々とする逃亡生活に限界を感じ無人島での自活を決意。
用意周到なる準備の下、九名中一番最初に島で暮らし始めた苅部は、圧倒的生存能力を発揮します。
上陸前に充分に予習して蓄えられたサバイバル知識、先行者故の豊富な経験、ガジュマルの洞を利用した快適な住居、持ち込んだ医薬品や各種道具類等々。
正体がバレる心配もなく、自由気ままな原始生活を謳歌する苅部。
しかしその後、続々と闖入者たちが島に上陸してくるといった展開。

蛇に咬まれた咲良を助けてしまったのが苅部の運の尽き。
愚か者たちの揉め事に巻き込まれていきます。
正直、苅部の逃亡描写が一番の読みどころです。
他のキャラクターは、正真正銘“愚か者”たちばっかですから。
よくもまあ、こんだけ読者を呆れさせるキャラを揃えられるもんだなぁと、ある意味感服致しました。
「薄い」が今作のキーワードなのか、まさに土岐なんかペラッペラ。
あまりの浅薄さに嫌悪を通り越して、親しみさえ感じますw
高邁な理想論をブチ上げるも、現実的にはスッカスカみたいな人いるじゃないですか。
まさに俺が想像する意識高い系THEリベラルって感じ。
筋金入りのヴィーガンで環境保護にも熱心なエリート医師が、過酷な原始生活で、その高々と伸びきった鼻がへし折られる無様さには大いに溜飲が下がるというもの。
こういう意地悪な読み方ができるのも今作の隠し味かと。
さては乾先生も、そっち方面の意識高い系の方々にうんざりしてるクチですか?
そんな土岐も最後に男を魅せる辺り、乾先生の優しさが垣間見えます。
と言いつつ、嘉門グループは全員外道なんですが(爆)

苅部と土岐、お気に入りの二人以外は何でしょうかね、、、
咲良は、、、ホントに何もしない出来ない女。
文明社会から隔絶されている以上、女性とは言え何かしらの労働はしかるべき。
しかし彼女は食って寝て暇を弄ぶだけ。
土岐、苅部、元〇とその都度女を武器に男を頼るだけ。
誰かが助けてくれるまで、駄々を捏ねながら待ってるだけ。
今書いてて気付いたけどコレって、女性キャラクターの最も侮蔑的な表現方法じゃね?
美千子も大分マシではあるものの基本この路線だし。
じゃあ、、、嘉門は逆ベクトルで最悪なんだ、、、男共を従え何もかも自分の思い通りにしなきゃ気が済まないエゴの象徴。

読んでるときは全然意識しなかったのに、感想を纏める段になって新しい発見が湧いてきます、、、四百冊感想文書いてきてこの感触は今までなかったかも。

石毛家はねぇ、、、まともなはずだったのに、この島の環境で捻くれてしまう役どころ。
息子の引き籠りの荒療治で無人島生活って、相当イってますよね。
そんな久志になされるままの美知子と諒。
無人島での経験を経て、誰が愚か者(フリムン)から卒業するのか、温かく見守っていただきたい。

嘉門グループは解り易い悪役。
逃亡犯とバカップルと教師一家、お互いなるべく干渉せず不文律で保たれていた島内の均衡は、嘉門たちの上陸によって完全崩壊します。
まさに起承転結の転の役割、彼らの登場で物語が一気に動きます。
でも俺的には、都会に慣れた文明人たちが無人島で右往左往しつつ、その中に実は殺人犯が潜んでるっつー状況が一番楽しく読めましたけどね。
折角出来上がったこのシチュエーションが壊されるのは残念。
最後に無理矢理大山こさえなくても、殺人犯の潜伏と異文化交流で充分読ませます。正直蛇足。

なんならもっと削ぎ落して、苅部の逃亡生活や無人島でのサバイバルに特化してもいいくらい。
勿論殺人という罪は許せませんが、その類まれなる生存能力は、男として生物として魅かれるものがあるのもまた事実。
もし文明社会に疲れ果てたのなら、自然の中で生きていくという選択肢もあるのかなと夢想が拡がった次第。
仕事や人間関係、生き方を縛るあらゆる価値観からの解放。
何とも甘美な響きじゃありませんか。
じゃあ、水道も電気もない生活に耐えられるのか、蛙や蛇食えんのかっつー話ですけど。
まあ、間を採って田舎暮らしって方法もあるにはありますが、、、結構大変らしいですね。

取り敢えず、こんなもんでどうすか?
まだまだ薄っぺらいけど、「首長竜」のときよりゃマシでしょ。


いろいろあるけれど、俺はこの文明社会の中で慎ましやかに生きていきます
★★★☆☆
1 1

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2025年02月>
日 月 火 水 木 金 土
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
232425262728 

過去の日記

2026年
2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
2005年
2004年
  • 01月
  • 02月
  • 03月
  • 04月
  • 05月
  • 06月
  • 07月
  • 08月
  • 09月
  • 10月
  • 11月
  • 12月