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2024年06月30日17:16

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393冊目『戦始末』

矢野隆著

“負け”戦の“後”始末→「戦始末」っつーわけで、殿軍・撤退・逃走・落城等負け戦を題材に採ったアンソロジー。

内訳は以下の通り。

「秀吉の股座」金ヶ崎/木下秀吉
「夢にて候」長篠/馬場信春
「勝政の殿軍」賤ケ岳/柴田勝政
「四方の器」長久手/堀秀政
「孤軍」岩屋城/高橋紹運
「丸に十文字」関ケ原/島津義弘
「我が身の始末」関ケ原/石田三成

全七編。中々のラインナップなれどそこはそれ、アンソロジーに付き物の当たりハズレ問題発生。
これは作品の出来というよりは、主役武将の好き嫌いもありますから厄介なところ。

俺のイチオシは、、、う〜〜ん、、、「四方の器」の堀秀政ですかねぇ〜〜
名人久太郎ですね、かなり渋めに落ち着きました。
感情の起伏が激しいキャラクターを好む俺が、今回は珍しくクールタイプ推し。
小牧・長久手当時に於ける堀秀政の立ち位置の微妙さ。
歴史の流れで秀吉に仕えているとはいえ、かつては織田軍団の同僚である秀吉や池田恒興との距離感。
何でもそつなくこなすが故に面倒事を押し付けられる器用貧乏振り。
イライラは一切表に出さず、淡々と仕事をこなしていくのみ。
ええわぁ〜〜是非とも部下に欲しいタイプ。
何せあの信長の小姓上りですから。その気の利き具合は半端じゃありません。
でさ、俺てっきり長久手で討ち死にしたとばっかり。
あれッ!?生きてんじゃんつって、早速読了後のwikiチェック。
小田原征伐の陣中で病没だって。戦国中級者を自認しておきながらお恥ずかしい。
でもさ、小牧・長久手以降豊臣政権内で急速に存在感薄れてません?俺だけ?

次点は、、、う〜〜ん、、、「孤軍」の高橋紹運かなぁ〜〜
立花宗茂のお父さんですね。宗茂大好きなんですけど、高橋紹運は正直フンワリ。
「岩屋城の戦い」も今作で初めて触れるくらい。
またしても戦国中級者を自認しておきながらお恥ずかしい限り。
今編の高橋紹運ですが、先程の堀秀政のクールキャラとは打って変わって九州男児全開ッ!!
偏屈にして豪放磊落、融通が利かない一本気な漢として描かれています。
まさに静と動、智と勇、理と情の圧倒的対比感。
ええわぁ〜〜どっちも魅力的。
島津五万の大軍を僅か七百で迎え撃つ絶望的な籠城戦が描かれますが、紹運の豪快なキャラが悲壮感を感じさせません。
結構映える戦いだと思うんですけど、やっぱマイナー感は拭いきれず。
所詮は中央と絡みが薄い九州の局地戦ですからね。
「毛利元就」や「伊達政宗」もやったんだから、そろそろどうですか九州。

大河ドラマ「立花宗茂」

イケると思うんだけどなぁ〜〜
紹運と道雪という二人の父に、嫁の�訐藺紊皀�ャラ立ちまくり。
NHKもそろそろ柳川市の猛プッシュに応えるときでは。

安定の関ヶ原二編も良い感じでした。まあここいら辺は鉄板ですから当然ですね。
問題は前半の三編。
「秀吉の股座」は、タイトル通り下ネタコメディータッチで秀吉への弄りがキツめ。
もうちょっと上げ要素を盛り込んでも良かったかなと。
「夢にて候」は、時系列が飛び過ぎてホントに夢みたい。曖昧模糊とした雰囲気が戦場の緊迫感を殺いでしまってます。
「勝政の殿軍」は、勝政が臆病者設定で主役としての魅力に欠け、物語を牽引出来てません。金ヶ崎の秀吉から陽気な部分を削ったみたいなキャラ。
あの時こうしてれば良かったのにと全編愚痴を聞かされても読者は困惑するばかり。

それから矢野先生、文章の相性が俺と合わないみたい。
単語や語彙自体は問題ないのに、それが文章になった途端違和感爆発。
台詞の語尾に「じゃ」連発。
ベタベタの時代劇台詞が気持ち悪過ぎて、読中モヤモヤしっ放し。
だもんで「丸に十文字」の薩摩弁には大いに助けられましたw
読み易くて現代っぽいんですよ、難読漢字も少なめだし。
やっぱ歴史小説は重厚感っつーか外連味っつーか、面白さ以外の文章の格好良さみたいなものも重要なんですよね。
生意気言ってスイマセン。

あと後半の「孤軍」から綺麗に話がリンクしていきます。
敵の島津が次の「丸に十文字」で主役になって、義弘が三成にムカついた描写からの「我が身の始末」に繋がり、三成が死に際して在りし日の秀吉を想い「秀吉の股座」に戻っていくという粋な演出。
で・す・がッッ
「秀吉の股座」から「四方の器」までの前半が繋がってないんだなこれが(哀)
山手線新宿〜上野間運休みたいな。
主役リンクのアンソロジーといえばコレ『幕末刺客列伝』→85
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1879571399&owner_id=263792
下ネタの跳ね具合、盛りに盛った重厚感と外連味、完璧な環状と全てが一枚上手。
昭和の歴史作家の凄味を再認識。


戦国中級者認定受け直します
★★★☆☆
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