佐藤正午著
佐藤先生とは今作で四戦目、大分作風が掴めてきましたよと。
佐藤作品最大の魅力といえばやはり、その練り込まれたストーリー。お話が純粋に面白い。
そしてそれに反比例するかの如く無個性な主人公、潔いほど魅力ゼロ。
喜怒哀楽に欠けた主人公が“大きく迂回”しながら、淡々と真実に近付いていきます。
完全なる ストーリー>>>キャラクター の構図。
俺は人間臭いキャラクターに感情移入するのが一番好みの読書スタイルなんですが、勿論練りに練ったストーリーを読み込むっつーのも大アリです。
で、この“大きく迂回”しながらストーリーが展開するってのも佐藤作品の特徴で、兎に角回りくどいの何の。
桃太郎で例えるなら、芝刈りと洗濯の描写が交互に延々と続く感じ。
「桃は?早く桃流れて来いよッ!!」みたいな。
でもこの本筋以外の肉付けにこそ味があります、噛めば噛むほど沁みてくるという塩梅。
地方検察庁に勤めるバツイチの主人公「小堀徹」
変わり映えしない毎日、別れた妻に養育費を送金するだけの人生。
そんな彼の元にある人物が訪ねてくる。
徐々に浮かび上がってくる十五年前の殺人事件の真相。
平凡という幸せを、粉々に破壊するかもしれない好奇心という時限爆弾。
彼が選択した行動に対して、「戒める力」は働くのか?
あらすじ読んでお解りの通り、十五年前の殺人事件の真相←これが核です。
先述しましたが当然核心には直接斬り込まず、回りからジワジワ外堀を埋めていきます。
マジでスローテンポ。数行で終わることをわざわざ数項に水増ししてる感は否めません。
でも俺ホラ、先に『鳩の撃退法』→363 読んでっから。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1984805505&owner_id=263792
佐藤先生の迂回戦術に対し既に免疫獲得済。
「鳩」に比べりゃ、これぐらいの遠回りなんて屁でもねぇ。
っつーわけで、大きく迂回しながらも十五年前の殺人事件の真相に一歩一歩確実に近付いていくわけですが、ここで今作のキーワード「戒める力」について語らねばなりますまい。
>もし戒める力がどこにも見つからなければ、いまあなたがやろうとしてることは、あやまちではない。
まんま本文から引用させてもらいました。
読み返せば、作品の至る所で「戒める力」が発動してるのを確認できるはず。
小堀の「真実に辿り着こうとする力」vs. 「戒める力」
安定している現状を敢えて打破する危険性。
忘れ去られた十五年前の真相を敢えて暴き出す危険性。
小堀の「真実に辿り着こうとする力」が、決して社会正義などではなく、純粋な好奇心から発せられたものであるということを関係者が理解できない危険性。
ま・さ・に、好奇心という時限爆弾。
当然真相に近付けば近付くほどその秒針は進んでいきます。
そしてそれを何とか押し止めんとする「戒める力」とのせめぎ合い。
コレコレコレ、この緊張感ですよ。
お互い表面上は和やかに会話してるように見えても、不意に発した一言だけで現状が粉々に砕け散ってしまう恐怖。
喜怒哀楽、感情の起伏に乏しい小堀だからこそ、対峙した相手はその意図を増々理解でききず混乱していきます。
純粋な好奇心という無邪気さが秘める邪悪さ。
ここいら辺はホントに読ませます。
第15章「旗の台へ」を読み終わったあと、すぐに第1章「旗の台」を読み返すことになるでしょう。
実は舞台になった旗の台〜五反田界隈を、偶然散歩する機会を得まして。
いやぁ〜〜何と申しましょうか、、、奇縁といえば大袈裟ですが、中々に感じ入るものがありましたねぇ〜
恋愛モノってレビュー読んでハッとさせられました、確かにヒロインはキャラ立ってます
★★★☆☆
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