宇佐美まこと著
タイトルに惹かれ書架から引き出す、表紙を眺める、、、ファンタジー系かな?
早速端末にてあらすじを確認。
>認知症を患い、日ごと記憶が失われてゆく老女には、それでも消せない「秘密の絆」があった-。86年の人生を遡る最後の旅が、図らずも浮かび上がらせる壮絶な真実とは。
ほうほう旅モノね、ロードムービー的な?
>壮絶な真実
って書いてあるにも係わらず、こちとらタイトルと表紙で、完全に第一印象が塗り潰された状態で気軽に読み始めたら、とんでもないお話でした。
もし巻末の参考文献をチェックしいてたら、書架に戻していたでしょう。
主人公は俳句仲間の老女三人、都築益恵(86歳)、持田アイ(80歳)、須田富士子(77歳)。
益恵の認知症が悪化し、施設に入ることになったため、益恵の過去を振り返る最後の旅行を企画した仲良し三人組。
日常系のホンワカ路線と思い込んで読み進めるに、旅の先々で明らかになる益恵の壮絶な過去に絶句。ノーガードの顔面に超ヘビー級のパンチが炸裂、ノックアウト寸前まで追い込まれました。
凄惨な描写を何とか耐えましたが、ホントにあと少しで読むのをやめていたかも。
年端も行かない少女には、とても背負いきれない程の艱難辛苦。
あの時代あの場所に居たというだけで、一体彼女がどんな罪を犯したというのか。
歴史の渦に巻き込まれた数多の小さき泡の一つと割り切るには、余りに、余りに理不尽。
宇佐美先生が物語を盛り上げるために書いた想像だったら、どんなに気が楽か。
作中語られる益恵の人生は小説であると同時に、私たちの同胞が歴史上体験したであろう真実でもあるのだから。
同じ日本人として、こんなに辛く悲しいことはありません。
只、小説を楽しく読みたいだけなのに、何故こんなにも心を掻き乱されなければならないのかッ!?
と、憤ってみたところで、私たち読者には読み進める以外の術はありません。
敢えてここでは、益恵の過去についてこれ以上深く感想を掘り下げないでおきます(っつーか、辛過ぎるマジで)。
もし今作に興味を持たれたなら、なるべく情報がない状態で読み始めてみてはいかがでしょうか。
大変辛い読書になると思いますが、何かしら得られるものはあるかと。
それでは核心(益恵の過去)以外を諸々。
じゃあ、アイと富士子は?というと、それぞれに子供夫婦との不和、健康問題が配されます。
益恵の壮絶な過去で突き放すだけではなく、読者が共感しやすい身近なテーマも散りばめられています。
益恵の過去を辿りながら、アイと富士子も自らの人生を振り返り、生き方を定め直すことに。
俺もスッカリ人生折り返し地点、二人の人生観が身に沁みるお年頃。
と、何やかんやありつつ、最後の目的地で益恵の大きな秘密が明かされます。
これは余程ボーっと読んでない限り、大方の読者には予想通りの展開のはず。
で、この明らかになった事実を受け、最後どう締めるかという段になって、???な展開へ。
蛇足の足がデカ過ぎる。
益恵の壮絶な過去、自分の人生を取り戻すアイと富士子、最後明らかになった事実。
正直これだけで充分だと思うんですが。
取って付けた様な悪役出して、無理矢理アクション捩じ込んで、旅の終わりの余韻をわざわざブッ壊すあんな山場いります???
塩一つまみで良い極上の素材なのに、天つゆにバシャバシャ浸された気分。
まあ、この蛇足のおかげで、益恵の壮絶な過去を読んだプチトラウマが緩和されたのも事実。
、、、もしや、これも計算尽、、、宇佐美先生の構成の妙なのか、、、
王子から巣鴨に行くなら、JRに乗り換えなくても、庚申塚下車でいいのでは?
★★★☆☆
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