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2022年09月03日21:38

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354冊目『代官山コールドケース』

佐々木譲著

川崎で発生した強姦殺人事件現場から、十七年前に被疑者死亡のまま処理された「代官山女店員殺害事件」と同一のDNAが検出された。
このまま神奈川県警の捜査が進み、先に代官山の真犯人を挙げられると警視庁の面子が丸潰れになってしまう。
特命捜査対策室のエース、水戸部警部補に密命が下る。

直線。
始めから終わりまで一直線、山谷なし。
どんでん返しは勿論、意外な展開や驚きも皆無。
ストーリーもキャラクターも至って普通。
じゃあ何がこの作品を特別なものにしているかというと、やはり「代官山」という土地が持つブランドに他なりません。

実は夏休みに代官山を散策しまして、人生初。
噂には聞いてましたが、まあぁ〜〜凄まじいまでの洒落乙オーラ。
あの空気感を体験してるかどうかで、今作から受ける印象は全く違ったものになるはず。
っつーか、代官山って全国区なんですか?
ファッションやお洒落なら原宿、セレブや業界人御用達となれば六本木とかの方が有名ですよね。
地方の読者に「代官山」という街が持つ独特の雰囲気は伝わってるんでしょうか?
マジで「代官山」ありきの作品なんで。
まあ、一回こっきり小一時間練り歩いただけの奴が何言ってんのッ!?って感じですけど。

シリーズものですって。
本来ならば今作の前に、特命捜査対策室シリーズ第一作の『地層捜査』から読まなければならないところなんですが、やっぱさ「代官山」ってパワーワード入ってる方がキャッチーなんだもん。
そんな俺をあざ笑うかの如く、序盤に『地層捜査』の豪快ネタバレ地雷炸裂。
文章が脳の皺に刻まれない様に、読みつつも流しましたけど。
ネタバレ厳禁の方は御注意あれ。

しかしながら正直申し上げて、水戸部刑事にもう一作読ませるだけの魅力はないです。
小説、ましてやシリーズものの主人公ならば、何かしらの個性が強調されてしかるべきと愚考仕りますが如何か。
普通、至って普通、、、じゃないな優秀です、優秀だけど地味。
むしろちょっと嫌な奴。
そうなんです、水戸部含め登場刑事たちが揃いも揃って無礼者ばかり。
聞き込みから情報を獲る会話劇が主体なんで致し方ないとはいえ、切り込み方がえげつない。
素直に捜査協力してる一般市民に対して、あんな態度とります?
俺なら絶対喋りたくないね、重要情報知ってても教えてあげません。
俺、どっちかっつーと国家権力寄りの人間なんですけど?犯罪を激しく憎んでますし。
それでいてこんな印象を抱くなんて、どんだけ横柄なんだよっつーね。
職人気質の科捜研組は好感持ちましたけど、それ以外がキャラクターとしての魅力薄過ぎ。

ミステリーなのに、謎が何の捻りもないまま解けるっつーのもある意味斬新ではあるかと。
地道に事実が一つづつ積み上がっていく様は、まさにリアリティ抜群。
本物の捜査もこんな感じなんだろうなと思わせてくれます。
でもね、事件簿じゃなくて小説なんで、ミステリー小説。
勿論リアリティーは重要ですけれども、ミステリーとしての謎解きの面白さ、事件の意外性や驚きが正直もっと欲しい。

キャラクターに感情移入せず共感せず、ストーリーにハマって謎解きに精を出すでもなし、ならば今作の楽しみ方や如何に?
ズバリ、読む街歩きと見受けたり。
どっぷりと「代官山」の雰囲気に浸る、コレに尽きます。


ド真ん中THE三つ星
★★★☆☆
1 1

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