佐藤正午著
正木瑠璃、小山内瑠璃、小沼希美、緑坂るり。
私は月の様に生まれ変わる、あの人と再び出逢うまで、、、
夫として父として、あるいは恋人として、彼女の転生と人生が交錯した男たちの物語。
真っ先に『記憶の渚にて』→339 思い出した。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1981590132&owner_id=263792
長年乱読続けてますと、こういう偶然が重なるもんなんですね。
もうね、「記憶」をテーマにしたオムニバス作品集みたい。
佐藤先生が、「あれッ!?連隊長君、『記憶の渚にて』はピンと来てないの?じゃあ、僕が君の好きそうなヤツ書いてやるよ」
と、いう様な妄想が駆け巡ったぐらいのシンクロニシティ(←シンクロシニティだと思ってたw)を感じました。
そもそも記憶とは一体全体何なのか?
肉体という器を越えて、どこまで伝播していくのか?
これをミステリーやSFに、複雑な人間関係と高尚な人生観を絡めてを問いかけたのが『記憶の渚にて』で、ただ好きな人にもう一度逢いたいというラブストーリーで一点突破したのが今作。
やっぱシンプルな方がダイレクトに伝わります。
『記憶の渚にて』の読中感を
>周囲三百六十度島影一つ見えない真っ青な凪の海で、小舟に揺られている様な不安感
と表現しましたが、
さしずめ今作は、海の家から沖合の島へモーターボートで向かってる感じ。
冒頭こそ大人びた少女(転生した瑠璃)の言動に少々戸惑うかもしれませんが、「好きな人にもう一度逢いたい」という目的が明示されて以降は、途中様々な困難に見舞われ話が横道に反れようが、読者として全くブレずに読書を続けられます。
エンジントラブルでボートが止まっても安心、だってそこに島が見えてるから。
複雑多岐と単純明快。
どちらのストーリーテリングが優れてるとかじゃなくて、単なるテーマや読者との相性だと思います。
さてようやく今作の感想ですが、、、面白かった!
直木賞受賞なんですって、、、納得。
何と言ってもキモは、転生を繰り返す女「正木瑠璃」という強烈なキャラクターにつきます。
幼さと妖艶さ、少女のような純粋さと悪女の如き計算高さ、何度生まれ変わっても好きな人に逢いたいという純愛と、自分の魂が宿った個体の人生を乗っ取る傲岸不遜振り。
極端な二面性を内包する大人びた少女に翻弄され放しの大人たち。
勿論俺としても純愛は応援したいんですよ、純愛は。
でもなぁ〜〜他人の人生乗っ取るって、余りに理不尽じゃありませんこと?
小山内瑠璃、小沼希美、緑坂るり。
それぞれにそれぞれの人生があり、父がいて母がいる。個人特有の人間関係がある。
それらを正木瑠璃の記憶が塗り潰していく様は何とも、、、
作中ではこの究極のエゴイズムに対して殆ど表現されてませんが、文章の向こう側を想像するに戦慄を禁じ得ません。
映画化ですとッ!?
瑠璃は、、、有村架純さんですか、、、
う〜〜ん、何か純愛オンリーっぽい。
っつーか、この究極のエゴイズムをスルーしちゃうんだ、、、
「月の“満ち欠け”」なんで、満ちていく様と欠けていく様、両方やらねぇと意味ないと思うんだけど。
他人の人生を犠牲にしてまでも逢いたい人がいるという禍福、まさに月の満ち欠け
★★★☆☆
ログインしてコメントを確認・投稿する