友人の薦め。
『硫黄島玉砕 海軍学徒兵慟哭の記録』 多田実著
クリント・イーストウッド監督の「硫黄島二部作」でかなり有名になったものの、殆どの方が硫黄島?
だと思われるのでこちらで補完して頂きたい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A1%AB%E9%BB%84%E5%B3%B6%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84
著者も海軍学徒として従軍、陣地防空機銃の指揮を執るも負傷の為、本土移送。
米軍上陸後の戦闘には参加してないが、戦友の手記を集め編纂したのが本書。
(海軍というと艦隊勤務を想像される方が多いと思うが、航空隊もあれば勿論陸上勤務もある)
人生が一番輝く青春の真っ盛り、学業も半ばに絶海の孤島に送られる若者達の心中はいかばかりか。
手記にしろ映像にしろ、戦記物を見た後に思うことはいつも同じ。
平和な国・時代に生きている自らの境遇への安堵、感謝。
かつて日本を守ろうと南海蒼空に散っていた我らの父祖達。
彼らのことにを殆ど知らず、豊かな現代を享受する我らの世代。
そのことに対するもどかしさ。
太平洋戦争の激戦地、硫黄島。
地獄は米軍との戦闘だけじゃない。
飢えと渇き。地熱五十度の地下壕、噴き出す硫黄ガスと溢れ返る腐臭。
腕が千切れようが、脚がもげようが絶対に降伏を許さない軍規。
兵力・火力共に圧倒的な米軍に対し、最後の最後まで戦い続ける日本軍守備隊。
何が彼らの精神力を支えているのかと。
>松本は必死で偽装の石と枯葉をかきわけて入った。
鹿児島で編成され現役兵も混じる百四十五連隊の中隊壕だった。
(中略)
「海軍どん、あんたの水筒に水は入っとらんですか」
「少しだがあるよ、飲むか」
松本は水筒を外した。
「海軍どん、やめなッ」
いきなり鋭い声が飛んだ。
「どうせこの壕は動けない者ばかりだ。間もなく火焔で焼き殺されるんだ。あとニ時間の命の者にやる水があったら、手も足もあるあんたが飲んで戦ってくれ。やってくれッ、頼むッ、恨みを呑んで死ぬ俺たちの仇をとってくれ」
松本を入れてくれた伍長の声だった。<陸軍は凄い>と松本は心底からそう思った。
「わかった。だが手も足もついているから俺はこれから水を探せる、少しだがぜひ飲んでくれ」
「すまんです、海軍どん」
(中略)
水筒は、ニ、三十名の兵の手から手へ渡り、なめるように回し飲みされた。
誰一人思い切って飲み込む兵はいなかった。
今を生きる我々が少しでも知ることが、せめてもの供養であり鎮魂になるのではないだろうか。
今回は採点無
ログインしてコメントを確認・投稿する