25 私は不思議に思った。というのは、救い主がユダヤ人とイスラエルの家の者達の間での働きに凡そ三年を費やして、彼らに永遠の福音を教え、彼らを招いて悔い改めさせようとされたが、
26 それでも、救い主が大いなる力と権能をもってその力ある業と数々の奇跡を行い、真理を宣言されたにも拘らず、その御声に聞き従い、救い主の前にいる事を喜び、その御手から救いを受けた者はほんの僅かであった事を、私は知っていたからである。
27 しかし、死者の中での救い主の働きは、十字架上の死と復活の間の短い時間に限られていた。
28 私は、神の御子は昔ノアの時代に神が寛容をもって待っておられたのに従わなかった獄にいる霊達に宣べ伝えられた、というペテロの言葉を不思議に思った。神の御子は、どのようにしてそのような短い時間内にその霊達に宣べ伝え、彼らの中で必要な働きを成し遂げる事がおできになったのであろうか。
29 不思議に思っていると、私の目は開かれ、私の理解は活気づけられた。そして、私は、主が悪人や真理を拒んだ不従順な者を教える為に彼らの中へ自ら行かれたのではない事を知った。
30 見よ、主は義人の中から軍勢を組織し、力と権能を纏った使者達を任じて、暗闇の中にいる者達、即ち全ての人の霊の元へ行って福音の光を伝えるように彼らに命じられた。このようにして、福音が死者に宣べ伝えられたのである。
31 選ばれた使者達は、主の恵みの日を告げ知らせ、束縛されている囚われ人、即ち、自分の罪を悔い改めて福音を受け入れる全ての人に自由を宣言する為に出て行った。
32 このようにして、真理を知らずに罪の内に死んだ者や、預言者達を拒んで背きの内に死んだ者に、福音が宣べ伝えられた。
33 これらの者は、神を信じる信仰、罪の悔い改め、罪の赦しの為の身代わりのバプテスマ、按手による聖霊の賜物について教えを受けた。
34 またこの他に、肉においては人間として裁きを受けるが、霊においては神のように生きる為の資格を得る上で知っておく必要のある、福音の全ての原則が教えられた。
35 そしてこのように、神の御子の十字架上での犠牲によって贖いが行われた事が、死者の間に、即ち、小さな者にも大いなる者にも、不義な者にも忠実な者にも知らされたのである。
36 このようにして、私達の贖い主は、霊の世界に滞在しておられる間、肉において贖い主の事を証した忠実な預言者達の霊を教え、備えるのに、その時間を費やされたという事が知らされたのである。
37 それは、この預言者達の霊が、背反と戒めに対する背きの故に贖い主御自身が行く事のできなかった、全ての死者に贖いの知らせを伝えて、彼らも贖い主の僕達の働きによって御言葉を聞けるようにする為であった。
38 この義人の大群衆の中に集まった偉大な力ある者達の中に、日の老いたる者であって、全ての者の先祖である父祖アダムがおり、
39 また、私達の栄光ある母エバも、様々な時代に生きて真の生ける神を礼拝した多くの忠実な娘達と共にいた。
40 最初の殉教者アベルも、またその弟で、父アダムに生き写しであった、力ある者達の一人であるセツもいた。
41 洪水について警告を与えたノア、偉大な大祭司セム、忠実な者の先祖アブラハム、イサク、ヤコブ、及びイスラエルの偉大な立法者モーセ、
42 それに、イザヤもそこにいた。このイザヤは、贖い主が油を注がれて、打ち砕かれた心を持つ者を癒し、囚われ人に自由を宣言し、縛られていた者に獄が開かれる事を宣言される、と預言によって言明した人である。
43 更に、枯れた骨のある大いなる谷を示現によって見せられ、それらの骨が死者の復活の時に肉を纏って再び出て来て生けるものとなるのを見たエゼキエル、
44 末日に神の王国が設立されて、それが決して再び滅ぼされる事も、他の民に渡される事もないのを予見して告げたダニエル、
45 変貌の山でモーセと共にいたエライアス、
46 それに、エリヤが来る事を証した預言者マラキもそこにいた。モロナイも預言者ジョセフ・スミスに、このエリヤについて語り、彼は主の大いなる恐るべき日が来る前に訪れると宣言した。
47 預言者エリヤは先祖に与えられた約束を子孫の心に植える事になっていた。
48 これは、主の来臨の時に全地が呪いをもって打たれて、悉く荒廃する事のないように、時満ちる神権時代に、主の神殿で死者の贖いと親子の結び固めの為に大いなる業が行われる事を予め示すものである。
49 これら全ての者と、更に多くの者、即ち、ニーファイ人の中に住んで神の御子の来臨について証した預言者達が、その大群集の中に交じって解放を待っていた。
50 死者は、その霊が体から長い間離れている事を一つの束縛と考えたからである。
51 この預言者達を主は教え、彼らに力を与えて、彼らが、主が死者の中から復活された後に出て来て、御父の王国に入り、そこで不死不滅と永遠の命を冠として受け、
52 主から約束を受けたようにその後も働きを続け、主を愛する者達の為に取っておかれた全ての祝福に与る者となるようにされた。
53 預言者ジョセフ・スミスや、私の父ハイラム・スミス、ブリガム・ヤング、ジョン・テーラー、ウィルフォード・ウッドラフ、そのほか選ばれた霊達も霊界にいた。彼らは、大いなる末日の業の基を据える務めに携わる為に、時満ちる時代に来るように留められていた者である。
54 神殿を建て、そこで死者の贖いの為に儀式を執行する事も、その大いなる末日の業に含まれるのである。
55 私は、彼らもまた神の教会で治める者となるように初めに選ばれた、高潔で偉大な者達の中にいるのを見た。
56 真に、彼らは生まれる前に、他の多くの者と共に、霊の世界において最初の教えを受け、主の定められた時に出て行って人々の霊の救いの為に主の葡萄園で働く準備をしたのである。
57 私は、この神権時代の忠実な長老達が、死すべき世を去っても彼らの働きを続け、死者の霊達の大いなる世界において暗闇と罪の束縛の下にいる者達の間で、悔い改めと神の独り子の犠牲による贖いの福音を宣べ伝えているのを見た。
58 悔い改める死者は、神の宮の儀式に従う事によって贖われるであろう。
59 彼らは自分の背きの代価を支払い、洗われて清くなった後、その行いに応じて報いを受けるであろう。彼らは救いを受け継ぐ者だからである。
60 このように、死者の贖いの示現が私に示された。そして、私は証する。私達の主であり救い主であるイエス・キリストの祝福によって、私はこの証が真実である事を知っている。真にその通りである。アーメン。
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