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2012年07月28日23:51

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世界報道写真展 他/写真美術館

東京小旅行の最終日7/22(日)は、恵比寿へ。

東京都写真美術館、地下1階展示室で開催されている「世界報道写真展2012」を観る。
2011年に起った様々な事、その報道写真の中から優秀だった作品を選ぶ「世界報道写真コンテスト」は、今年1〜2月オランダで開かれた。124の国と地域から5,247人、10万1,254点の作品が応募された。
そこで選出された各部門賞、そして大賞の作品は、世界各国に巡回紹介されるが、その日本における展示が、この写真美術館の「世界報道写真展2012」である。世界では、1年間で45ヶ国100会場、200万人以上の人々が観る事になる、世界最大級の写真展と言える。

・会期 6/9〜8/5

この後、大阪,京都,滋賀,大分に巡回する。

日本は東日本大震災の惨禍が甚大な年だったが、2011年という年がが世界にとって一体どんな年だったのか、それを確認するのには、大変良い機会である。
部門には、「一般ニュース」「現代社会の問題」「ニュースの中の人々」「ポートレート」「スポーツ」「自然」等々9つがあり、1枚で表現する「単写真」と、複数の作品で構成する「組写真」での応募ができる。
これらの中からそれぞれ1〜3位が選ばれ、更にそれらから大賞が選出される。

以下、1位作品の中から印象に強く残ったものをピックアップしてみる。

1)一般ニュース
単写真1位「ムバラクは降りろ」 伊、アレックス・マヨーリ
組写真1位「リビアの戦い」 仏、レミ・オシュリク

2)スポットニュース
単写真1位「革命の道」露 ユーリ・コズイレフ
組写真1位「津波の猛威」 日、手塚耕一郎

3)ニュースの中の人々
組写真1位「津波」 日、千葉康由

4)現代社会の問題
単写真1位「マリア」 南ア、ブレント・スタートン
組写真1位「児童結婚」 米、ステファニー・シンクレア

5)日常生活
単写真1位「平壌のアパートに飾られる金日成の肖像」 ボスニアヘルツェゴビナ、ダミール・サゴルジ
組写真1位「アルツハイマーの妻モニカの世話をするマルコス」 アルゼンチン、アレハンドロ・キルチュク

6)ポートレート
組写真1位「ウクライナ警察の取調べ室で尋問される容疑者や目撃者」 加、ドナルド・ウェーバー

7)自然
組写真1位「密猟されるサイ」 南ア、ブレント・スタートン

大賞「イエメンのデモで催涙ガスを浴びた息子を抱える母」 スペイン、サムエル・アランダ

見渡すと、アラブ諸国の民主化に関係するテーマ作品が多い。
1)一般ニュースの単・組各1位、2)スポットニュースの単1位、そして、大賞がそれに当る。
この他にも、カダフィが連行される場面や、彼の死体写真もあった。
同じ民族同士が戦い、殺し合う。
この争いは、今年になってもまだ終結していない。シリアは底なしの泥沼に入り、大統領派の大量虐殺が発見された。しかし、国連の調停も、露中の拒否に会う。イラクでは未だ自爆テロが絶えない。
血みどろの死体、死体、死体・・・

大賞の写真は、アラビア半島の南端イエメンの反体制デモで大ケガを負った息子と、彼を抱き締める母親。母親がブルカを被っているので、表情は見えない。しかし、その為、よけいに胸がざわつく。彼の命はどうなったのか、争いはどう進展したのか、・・・怖ろしい。 …写真1


4)現代社会の問題の「マリア」は、ウクライナの売春宿で働く女。薬物中毒で、薬物を手に入れる為、そして9歳の娘を育てる為に、毎日のように売春を行っている。左脚は包帯で巻かれ、その包帯もいつ手当てされたものか判らない程汚れている。右脚にも大きな痣。HIV検査は陰性だと言い張っている。
下着姿の写真からは、彼女が一体何歳なのか、判らない。 …写真を載せるに忍びない。

7)自然の「密猟されるサイ」は、角を切り取られたケニアのサイの写真。
疵が異なるからそれぞれ別のサイなのだろう、痛々しく憐れなサイ達。
組写真の最後には、とあるアジア人の家庭。笑いながらサイの角をすり鉢で削っている。粉末にして飲むのだろう。サイの角は薬用として重用され、高価で売買されている。 …写真2


同2階展示室では、田村彰英の写真展「夢の光」。

田村は1969年生まれの写真家。現代日本写真史に大きな足跡を残した。
1960年から70年代前半に日本の米軍基地を撮影したシリーズ『BASE』は大きな評価を得た。
この展覧会は、彼のその後も含めた個展で、『House』『Road』、『Afternoon』、『Wangan』、『Dusk』等のシリーズで構成される。全115点。

彼の写真は、タイトルに反し、不思議にも社会的,政治的姿勢はなく、象徴的な言い方をすれば、「Yokota」「Misawa」は、決して横田でも三沢でもない。
最後の「コスタ・コンコルディア号、トスカーナ州ジリオ島、イタリア」は、記憶に新しい大型客船座礁事件だが、地中海の碧さと美しさだけが心に残る。

写真3…当展ポスター


東京小旅行のレポートはこれで終わりにさせて頂きます。
長い文章をお読み頂き、ありがとうございました。
 
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