日本伝統建築ノート�� 古代の寺院建築
1 飛鳥時代
592(崇峻天皇５)年 〜 710(和銅3)年 / 推古天皇即位 → 平城遷都
・法隆寺
７世紀後半の建造。最古の現存木造建築物
７世紀の建築物で実在するのは、西院の金堂･五重塔･中門･回廊。【国宝】
金堂(構造形式)；二重、入母屋造、裳階付。平入り。
屋根 本瓦葺、1階のみ裳階付(大和葺)。
技術･装飾の特徴 妻飾りに家扠首(いのこさす)。
雲斗雲肘木(くもとくもひじき)(*)。
高欄に卍崩し(大陸から入った様式),人字型割束。
(*)雲型の斗と肘木が一体の組物(朝鮮半島から入った手法)。
五重塔；心柱は掘立式、地下深く埋めた礎石に載っていて一部土中に埋まっている。
1階のみ裳階付。
中門；二重門、入母屋造、本瓦葺。
回廊；現在は講堂も回廊内にあるが、当初、講堂は回廊外にあった。
虹梁(見える虹型に曲がった梁)。柱はエンタシス。
2 奈良時代
710(和銅3)年 〜 784(延暦3)年 / 平城京に都があった時代
天平文化；聖武天皇時代に文化の頂点を迎える。
・薬師寺
東塔；730(天平2)年建造。唐様式で建てられた最古の建造物。【国宝】
三重、裳階付。
組物 柱上に載って屋根を支える斗栱(ときょう/肘木,斗)と尾垂木だけで構成。
軒を前に出すための三手先斗栱(みてさきときょう)様式(中国から遣唐使によっ
てもたらされた)。
・唐招提寺
754(天平勝宝6)年に来朝した鑑真が、東大寺から移って創建した。
金堂；8世紀後半建造。【国宝】
一重、寄棟造、本瓦葺。
組物 三手先斗栱。
二軒(ふたのき) 2段階の垂木。飛檐(ひえん)垂木(角材)と地垂木(丸材)
の組合せ。
講堂；平城京東朝集殿を移築したもの。8世紀後半の建造物。【国宝】
一重、入母屋造。
宝蔵･経蔵； 8世紀、校倉造。【国宝】
3 平安時代
794(延暦13年) 〜 1192(建久3)年 / 平安京に都があった時代
・山林寺院
僧侶の山林修行を目的として、山間に建てられた寺院の事。
室生寺 山林寺院のひとつ。奈良東南、三重県境に近い山間にある。
金堂；平安時代前期(9世紀初期)に建てられた。【国宝】
寄棟造、杮葺。後代、面の下り坂に孫庇を出して礼堂とした。
五重塔；奈良時代末〜平安時代初期の建造。【国宝】
檜皮葺。裳階はなくなった。
醍醐寺 10世紀中期、醍醐天皇の発願による。
五重塔；952(天暦6)年。本瓦葺。【国宝】
薬師堂；平安時代後期、1121(保安2)年再建。【国宝】
一重、入母屋造、檜皮葺。
身舎(もや)に4面庇を付けて仏堂とした。蟇股の装飾。
・浄土教
浄土教は7世紀前半に日本に伝わり、10世紀には末法思想の広がりと伴に隆盛した。
平等院鳳凰堂 1053(天喜元)年建立。前庭に浄土に見立てた池を造る。
中堂；一重裳階付、入母屋造。翼廊；宝形造。【国宝】
浄瑠璃寺(九体寺) 1107(嘉永12)年建立。
本堂；寄棟造【国宝】
中尊寺 1124(天治元)年、奥州藤原氏の霊廟として建立。
金色堂；宝形造、本瓦形板葺。【国宝】
富貴寺 平安時代後期。九州最古の阿弥陀堂。
大堂；一重、宝形造。本瓦葺。【国宝】
・懸造(かけづくり)
岩や崖にもたせ懸けて造られた寺院。床の一部が長い柱で支えられる。神仏混淆、山海の修験の場として。
仏堂(修行の場)＋礼堂(礼拝空間) → 懸造
三仏寺奥院(投入寺)；平安時代後期。【国宝】
4 身近な寺院建築(国指定文化財)
方広寺七尊菩薩堂 浜松市浜名区引佐町【国指定重要文化財】
宝林寺仏殿･方丈 浜松市浜名区細江町【同】
本興寺本堂 湖西市鷲津【同】
智満寺本堂 袋井市千葉【同】
油参山寺三重塔 袋井市村松【同】
尊永寺仁王門 袋井市豊沢【同】
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