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2019年11月15日17:48

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ライトミステリのシリーズもの

 ちょうど、2010年代前半あたりにライトミステリの佳作が相次いで世に出た。その代表といっていいのが、三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズ(2011年〜)で、小説でミリオンセラーを記録したほか、マンガ、ドラマ、映画化されて話題になった。
 舞台は鎌倉で、黒髪の乙女が古書店の店主をしており、彼女が主に事件を解決する。主人公は男性で、ホームズに対するワトソンみたいな位置づけである。

 そして、岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿』シリーズ(2012年〜)があとに続く。これも探偵役はバリスタの女性で、やはり主人公は男性。そして舞台は京都である。
 さらに、太田紫織『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』シリーズ(2013年)は、旭川が舞台で、探偵役は旧家の令嬢、語り部は高校生の少年である。

 いずれも、女性が探偵役で男性は助手役。そして男性はヒロインに対して恋心や憧れを抱いている。そしてご当地ものという点でも共通している。

 こうした設定のミステリなどは、その後もたくさん世に出ていて、シリーズ化しているものも少なくない。古都や名所に、黒髪の乙女というのは相性がいいのだろうか。

 ただ最近は、続刊までの間隔が開きがちで、一年以上経つことも珍しくない。シリーズとして物語の本筋も構築しなければいけないし、ほかにも小説などを書いていたりする場合もあるから、そういうことになりがちだ。

 そんななか、上でも触れた、岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿6』(宝島文庫、2019年)が、シリーズとしては実に三年ぶりに出た。その間は、ほかの物語をいくつか書いている。
 それでも代表作の続編が出たのは、やはり喜ばしいことだ。読みはじめると、頭に描いていた情景が蘇っていく。これは読書ならではの感覚に違いない。

 物語としてはうまくまとまっていて面白かった。けれどもこれは読み手側の問題なのだけれど、こうしたミステリものを読み続けていくと、冒頭に描かれる登場人物たちのちょっとした言動に、妙に敏感になってしまって、「何となくこの人物が怪しい」みたいな感じになってしまう。中盤で描写に矛盾が生じてくると、その感じはますます強まってくる。
 こういう読者を相手にせざるを得ないから、ミステリの続刊は大変なのだろう。

 来月末には『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』も続刊が出るらしい。このあたりの読者層はかなりかぶっている気がする。

https://tkj.jp/book/?cd=TD299437&path=&s1=
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