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2015年07月23日21:24

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読書日記No.841(寂聴さんの「死に支度」)

■瀬戸内寂聴「死に支度」2014年10月講談社刊

安保法案が衆議院を通過したが、マスコミでは自粛して報道が
あまりなかった衆議院前の抗議集会に、93歳の瀬戸内寂聴さんが
参加したと聞いて、寂聴さんのことを思い出して手に取った本。

寂聴さんは、先の東京都知事選でも、反原発の細川護熙さんの応援
で、東京まで出張ったという。

私は、寂聴さんの読者ではないが、その精力溢れる健筆家ぶりは、
当然のことながら、知っている。

寂聴さんに自分なりに注視したのは、2008年から日経新聞日曜版に
連載された「奇縁まんだら」を読んでから。

美術の鬼才・横尾忠則さんの肖像画に、文章で立ち向かい、丁々発止
文学を始めとする鬼籍に入った人物たちの、短い評伝は、寂聴さんの
文学者としての実力を、十二分に感じることができた。

3年前の2012年東京国際ブックフェアのオープニング基調講演で、
寂聴さんを間近に見てから、このお婆さんの生命力に眼を瞠った。

ということで、本書のことだが、90歳を越えての、この筆力には、
本当に恐れ入る。

寂聴さんの息子の世代である私が言うのだから、間違いない。(汗)
とにかく、面白かった。読ませる芸とパワーがあるのですね。

ということで、遅ればせながら、惹句なども紹介。

“ 「死に支度」は「生き支度」。92歳の現役作家であり僧侶として幅広い
読者から支持を集める瀬戸内寂聴氏。誰よりも濃く、深く生きてきた著者は、
卒寿を機に「いつ死んでも悔いはない。”

“毎日が死に支度」との思いでこれまでの人生を振り返り、出会ってきた
数々の愛する人々や出家者の死に様を交えながら、自らの死に方を考えていく。
そして最後に行き着いた、意外な境地とは―‐? 死と向かい合い、新たな生を
考える智恵の書。”

“91歳の誕生日を前にしたある朝、小説家の私に長年付き添ってきた寂庵の
スタッフたちが一斉に辞意を伝えた。自分たちを養うために働くのはもうやめて、
これからは大事な仕事だけに専念してほしい、との彼女たちの思いに
心打たれた私は、「卒寿の革命」を決意する。”

“ただ一人残った最年少のスタッフ、24歳のモナとともに新たな生活を始めた私は
、間近に迫る自らの死を思い、最後の連載「死に支度」を始める。それは、これまでの
人生を振り返り、出会ってきた愛する人々や出家者たちの死に様を通して、
自らの「理想の死に方」を探る旅だった――。”

“毎日が死に支度。深い感動と愛に満たされる、著者渾身の傑作長篇小説。 ”

看板に偽りなし!!

93歳にして、こんな作品が書ける寂聴さんに、心から脱帽です。

ありがとうございます、の気持ちです♪
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