学生時代の文学仲間との例会、今年は12/15〜16、小田原,真鶴1泊の小旅行。
昨晩、無事に帰ってきました。
行程は、以下の通り。
◆12/15(土)
12:00前に小田原駅で集合。
気温は低くないが糠のような雨の中、北条氏政,氏照の墓所から小田原城幸田口門跡を巡り、昼食は、夜が豪華な(！)海鮮料理なので、「そば処 橋下」にて軽く済ます。
天保年間から続くという老舗。出汁が素晴らしくコクがある。私はきのこ蕎麦、1100円也。小田原の観光課から取り寄せて持参した「Mismo箱根」のパンフレットで、全員50円引き。
午後は小田原城。
ここは初めてだが、立派な城郭と構造的な掘割が素晴らしい。
馬出門(うまだしもん)土橋〜馬出門〜銅門(あかがねもん)。門は何れも新たに作ったものだが、史実をしっかり踏まえている。
場内にある「歴史見聞館」は、小田原という町の成り立ちを戦国時代から見せてくれた。
天守閣とのセットで入場料金600也。
常盤木門(ときわぎもん)をくぐると、広場の向こうに、立派な天守閣。
明治維新後に解体され、関東大震災では、御用邸も石垣も壊滅したが、昭和35年、市制20周年記念事業として復興。鉄筋コンクリート3重4階で、地上38.7m。
以前は当然木材と石だけで作られていた訳で、逆に古い時代の技術を想い、驚く。
中には、歴史的遺物の展示が各階にあって、興味深い。寄木細工,小田原提灯等、小田原の民芸の成り立ちにも触れている。
階段は、どの城もそうだろうが、大変急で、お年寄りや脚の悪い方は無理。エレベーターもない。
小田原駅に戻り、JR東海道線を駅3つ西の真鶴へ。
真鶴駅は、真鶴岬の根元にある。
駅でタクシーに乗り、16:00過ぎ、宿泊する「ペンションSHIOSAI」へ。
建物の作りは、まあ、民宿を洋風に仕立てたという感、洗面所,バスは部屋にない。
近くに「温泉民宿 潮騒新館」というのもあって、同じ人の経営だろうと想像した。
まずは小さな露天風呂に。
オーナーによると、源泉を引いている由。成分表は、メモするのを忘れた。
18:00〜夕食は食堂で。
カニの刺身、サザエの壺焼きがサービスで付く。
アルコールは半額サービスキャンペーン中だとの事。
新鮮で豊富な海産物の食事と酒には満足。
ただ、集まったメンバー、昔あれ程呑んだ仲間とは思えない。
寄る歳波には勝てないという事か。なんだか寂しい。
部屋でもう一杯と思ったら、ビールの自販機はあるものの、つまみになるものがない。ペンションには土産物等の売り場もないのだ。
仕方なく、近所にコンビニはないかと従業員に訊くと、かなり離れているとの事。
幹事の責任上、それでも買いに行く。雨は上がっている。速歩で片道15分弱、真っ暗でくねくねの田舎道、アップダウンも激しい。
渡された手書きのマップも、何やらいい加減である。すっかり酔いも醒める。
汗を流しつまみと酒を買って帰ると、1人はもうアルコールは要らない、と。そのうち、イビキをかいて寝てしまう。
仕方なく、2人だけで、選挙等話題にちびちび飲むが、缶1本は開けぬまま残す。
わざわざ夜道を買いに行く事もなかったと、益々寂しい。
◆12/16(日)
港向きの窓からいい陽射しが入り込む。開けた窓から入る風も冷たくない。
朝は露天ではなく、屋内の大理石風呂。
これも、他のメンバーは行かないと言う。1人でゆっくり浸かり、昨晩のアルコールを抜く。
前夜と同じ食堂で朝食(カニの味噌汁が美味！)を済ませ、9:00前にはペンションを出る。
1泊2食9,980円(＋アルコール代)は安い。
ペンション前に標高48mとの看板がある。坂道をどんどん下り、真鶴港に向かう。
昨晩もう呑まないと早々寝てしまったご人は、脚が遅く、つい距離が開く。血圧が高く、降圧剤を飲んでいるのだそうで。
山側の裏手口から貴船神社へ。
889年創建で、由緒あるもの。大国主神,少彦名神が祀られている。
ここの夏祭は、日本3大船祭の1つだと立札にあり、国の重要無形文化財に指定されているとの事。
漁師達が皆して担ぐ神輿もあり、荒々しい祭の様子を頭に描く。
神社の急で長い石段(しかも濡れている)を、気を付けながら降り、港通りに出る。(写真1は真鶴港)
次に、近くの「鵐窟(しとどのいわや)」を訪ねた。(写真2)
源頼朝が石橋山の戦(1180)に敗れて逃げる時、この岩屋に隠れたと言われている。
鵐とはホオジロ等の鳥の総称らしく、追手は、この鳥が岩穴から出てきた為、ここには誰もいないと判断、頼朝等は助かったのだそうだ。
ただし同名の窟が湯河原にもあり、どちらがその言われに相当するかは諸説ある由。
今は僅かな深さしかないが、古くは、10m以上の規模で、波が直接打ち寄せる場所だったらしい。
この後、昼食を予定していたが、神社と窟とで大した時間もかからなかった為、食事は後回しにし、魚市場前からバスで中川一政美術館に行く事とした。
停留所の数で6つか7つ程、美術館に着いたのが10:00直前。
入館料600円のところ、ペンションでもらったサービス券で500円に。
観始めるとすぐ館内放送が流れ、ギャラリー・トークがあるから希望者は第1展示室に集まれと言う。
これは全く計画に入れていなかった事で、ありがたく参加させて頂く事とした。説明員は当館の学芸員 新井さん。
結局新井さんは我々メンバーの独占となり、30分以上、詳しい話を聴かせてもらった。
中川一政は、「バラの画家」とも、「駒ケ岳の画家」とも言われた、日本洋画壇の重鎮で、1893(明治26)年に生まれ、1991(平成3)年に97歳で没した。
1949(昭和24)年にこの真鶴にアトリエを構え、当初は東京とを行ったり来たりしていたが、その内、こちらに定住し、福浦漁港や、箱根の駒ケ岳を飽く事なく描き続けた。
1975(昭和50)年、文化勲章受章。
1989(平成元)年、美術館オープン。
1998(平成10)年には、美術館が公共建築百選に剪定された。外光を取り入れるアーチ型の通路、茶室、窓からは相模湾。
中川一政は、古い作品より、今現在に近いものを美術館では見せたいとして、常設展は、70歳代以降のものが殆どだ。
観る方は、作家の変化にも興味があるから、若い頃からのものも観たいと思うが、そういう形にはなっていない。一政の遺志は今も生かされている。
時折りやる回顧展等では、生涯に亘る画業が眺望できるとの事。
1,600を超える作品の内、約700点程もバラの花を描いた事から、「バラの画家」と言われるようになった。
写真3は、1982年作の『駒ケ岳』。89歳にして100号の大作である！
中川はスケッチはしたが、作品の下絵は作らず、直接カンバスに筆を入れていった。そして、完成する迄、現地に何度も足を運んだ。
使用人(？)に車の上にカンバスを括らせて行くのだが、100号迄しか載せる事ができなかったらしい。
年齢を思わせない、明るくダイナミックな量塊表現だ。
美術館を出て、近くの「お林展望公園」に寄る。
昔はサボテン公園だったところ。
パークゴルフ場を抜け、突端の展望所からは、相模灘と真鶴岬の先の奇岩 三ツ石が望める。
水平線が陽射しに輝き、海風も暖かく、ダウンジャケットはバッグの中に押し込む。
再びバスに乗り、港に戻る。
魚市場2階の魚座(さかなざ)で、遅い昼食をとる。
「港定食」は刺身が5種類も付いて、1,500円。昼から生ビールを呑んでしばしのんびり。
これで、語るべき行程はほぼ全てである。
年齢と伴に増える病気の自慢話は語るに足りない。
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