■切ない話
●きのう出かけた松岡正剛さんの「千冊千夜」に、こんな一文を見た。
良寛はどんなときも、一番「せつないこと」だけを表現し、
語りあおうとした。
「せつない」とは古語では、人や物を大切に思うということ
なのである。そのために、そのことが悲しくも淋しくも恋しくも
なることなのだ。それで、やるせなくもなる。
しかし、切実を切り出さずして、何が思想であろうか。
切実に向わずして、何が生活であろうか。切実に突入することが
なくて、何が恋情であろうか。
ぼくは思うのだが、われわれはあまりにも大事なことを語ろう
とはしてこなかったのではないか。また、わざわざ大切なことを
語らないようにしてばかりいたのではなかったか。
良寛の詩歌を読むと、しきりにそのことを思いたくなる。
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松岡正剛の千夜千冊/「良寛」
●これを読んでいて思い出したのが、吉野弘さんの詩「burst 花ひらく」
だった。
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吉野弘/「burst 花ひらく」
僕らはなんと長いこと、切実な話、魂の話をしてこなかった、と
そんな思いにかられたことはないか。
もう35年もむかしの話だ。
私は職場に「詩の会」という呼びかけのポスターを貼った。
詩はどうでもいい。要は、切実な、魂の話がしたかった。
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