ストロング小林さん追悼(658)

新日本プロレスでは８月15日、港区南青山の新日本プロレス事務所で新間寿営業本部長が記者会見を行い、年末シリーズとして「ＭＳＧタッグ・リーグ戦」を開催することを発表しました。

出場タッグチームの第１弾としてスタン・ハンセン＆ハルク・ホーガン組が決定、今後は随時発表していくとのこと。全日本プロレスの「世界最強タッグ決定リーグ戦」に同趣旨のシリーズをぶつけることになりました。

新日本プロレスと全日本プロレスは旗揚げ２年目の73年から年末に興行戦争を展開していますが、まず旗揚げ２年目の73年は新日本プロレスが12月10日、東京体育館でジョニー・パワーズvs猪木のＮＷＦ世界ヘビー級選手権試合6,600人発表、全日本プロレスは12月14日、日大講堂で馬場vsフリッツ・フォン・エリックのＰＷＦ世界ヘビー級選手権試合6,500人発表と互角。両団体とも満員にならなかったのは前72年の団体分裂により観客が割れたと見るべきでしょう。

新日本プロレスが大躍進した74年は先攻が全日本プロレスで12月５日日大講堂、馬場vsジャック・ブリスコのＮＷＡ世界ヘビー級＆ＰＷＦヘビー級ダブル・タイトルマッチ､ケン・マンテルvs鶴田のＮＷＡ世界ジュニア・ヘビー級選手権試合10,200人満員発表､後攻の新日本プロレスは12月12日､蔵前国技館で猪木vsストロング小林のＮＷＦ世界ヘビー級選手権試合の再戦(初戦は３月19日同所)16,500人超満員札止めで新日本プロレスが圧勝。

75年12月11日、蔵前国技館での新日本プロレス、猪木vsビル・ロビンソンのＮＷＦ世界ヘビー級選手権試合と同日、日本武道館での全日本プロレス、国際プロレス、日本プロレス(団体は崩壊しており、名前だけ)協力､百田家(力道山家)主催の「力道山13回忌追善興行」が被り、新日本プロレスは12,000人、力道山13回忌追善興行は14,500人と共に超満員発表。

観客発表は力道山13回忌追善興行が上回りましたが、蔵前国技館(定員11,008人)と日本武道館(定員14,614人)のキャパを勘案すると互角の闘いでした。

新日本プロレスの有利、あるいは互角だったのは75年まで。76年以降は新日本プロレス12月９日蔵前国技館、猪木vsウィリエム・ルスカ格闘技世界一決定戦10,500人､全日本プロレス同日日大講堂、大木金太郎＆キム・ドク組vs馬場＆鶴田組インターナショナル・タッグ選手権試合、ロビンソンvsアブドーラ・ザ・ブッチャー、天龍源一郎断髪式12,000人超満員。

77年が新日本プロレス12月８日蔵前国技館、猪木vsグレート・アントニオ、坂口征二＆ストロング小林組vsパット・パターソン＆スティーブ・ライト組北米タッグ選手権試合、ルスカvsバッファロー・アレン柔道ジャケットマッチ9,000人、全日本プロレス12月15日同所世界オープン・タッグ選手権優勝戦、ドリー・ファンク・ジュニア＆テリー・ファンク組vsブッチャー＆ザ・シーク組、馬場＆鶴田組vs大木＆ドク組12,000人超満員。

78年は先攻が全日本プロレス12月９日蔵前国技館、世界最強タッグ決定リーグ戦馬場＆鶴田組vsニック・ボックウィンクル＆ブラックジャック・ランザ組、ファンクスvsブッチャー＆シーク組12,500人超満員、新日本プロレス12月16日同所、プレ日本選手権優勝決定戦猪木vsヒロ・マツダ、坂口vs上田馬之助、国際プロレスとの対抗戦、長州力＆木戸修組vsアニマル浜口＆寺西勇組7,000人。

79年が新日本プロレス12月６日蔵前国技館、猪木vsボブ・バックランドＷＷＦヘビー級選手権試合、坂口vsタイガー・ジェット・シン9,500人、全日本プロレス12月13日同所世界最強タッグ決定リーグ戦ファンクスvsブッチャー＆シーク組、馬場＆鶴田組vsミル・マスカラス＆ドスカラス組12,500人超満員。

年間を通しては優位な新日本プロレスも年末だけは全日本プロレスの豪華外国人勢揃いによる「世界最強タッグ決定リーグ戦」に敵わず。

特に前79年は前半戦ダスティ・ローデス､パット・パターソン､中盤戦シン､パワーズ、終盤戦バックランドが特別参加、フル参加がペドロ・モラレス、グレッグ・バレンタイン、ニコリ・ボルコフとＧバレンタイン以外は新日本プロレスのエース外国人をピンで務めた実績のあるレスラーを１シリーズに呼んで見せましたが、それでも蔵前国技館は満員には成らず。

「世界最強タッグ決定リーグ戦」はシリーズそのものにブランド力があり、物量攻勢も勝てずでしたが､同じタッグ・リーグ戦をぶつけることで、今年こそ、全日本プロレスに年末の興行戦争に勝とうという意気込みを感じることが出来ました。