全日本プロレスとの興行戦争ですが、全日本プロレスは80年６月12日に岐阜市民センターで「スーパー・パワー・シリーズ」が閉幕。先の「第８回チャンピオン・カーニバル」で初優勝した鶴田でしたが､マッチメイクの序列は変わらず。
シリーズ終了後、馬場と鶴田は大規模な北米サーキットを行っています。
馬場はハワイを経由してＰＷＦ会長のロード・プレアースと共にＡＷＡ入り、鶴田は先にＡＷＡ入りし６月21日(日付はいずれも現地時間)、コロラド州デンバー・オーデトリアムで翌日、馬場のＰＷＦヘビー級王座に挑戦するスーパー・デストロイヤー・マーク��(サージェント・スローター)と対戦、ボビー・ヒーナンが乱入して鶴田に攻撃を加え反則勝ち。
翌６月22日、ミネソタ州ミネアポリス・オーデトリアムで馬場と鶴田が合流、鶴田はニック・ボックウィンクルのＡＷＡ世界ヘビー級王座に挑戦。
鶴田のＡＷＡ世界ヘビー級王座挑戦は前79年２月14日、ハワイ・ホノルル・ニール・ブレイズデル・センターで挑戦して以来１年４か月ぶり２度目。前回は60分３本勝負で１−１から鶴田の反則勝ち。
今回は60分１本勝負。ニックが鶴田にドロップキック、ダウンする鶴田とのレフェリーがぶつかりダウン。その間、鶴田はドロップキックからコブラツイスト、しかしレプリカ不在で決まらず。そこへニックのマネージャーのヒーナンが乱入、鶴田を攻撃､20分５秒、息を吹き返したレフェリーがニックの反則負けを宣告。ルールによりタイトルは移動せず。
馬場はＳデストロイヤー・マーク�兇硲丕廝謄悒咫宍蕾�座を賭けて対戦、10分15秒に河津落とし、16文キックから片エビ固めでフォール勝ちし４度目のタイトル防衛に成功しています。
海外遠征中の高千穂明久とミスター桜田が出場しハーマン・シェーファー＆ベン・デリオン組と対戦、桜田がシェーファーをドリルアホール・パイルドライバーから体固めで破っています。
続いて６月28日にはザ・シーク(エドワード・ファーハット)主宰のミシガン州デトロイト・コボ・コンベンション・アリーナでのＮＷＡビッグタイム・レスリングに参戦、「デトロイト版世界最強タッグ・トーナメント」に出場しています。
他の参加タッグチームはドリー・ファンク・ジュニア＆フレッド・カリー組、アブドーラ・ザ・ブッチャー＆アーニー・ラッド組、シーク＆キラー・ブルックス組、レイ・キャンディ＆ボブ・ホワイト組、ジェリー・オーツ＆ワイルドマン組、ドン・ケント＆エディ・マンスフィールド組(ケントが負傷欠場し、代わりに前の試合で負けたキャンディが急遽、出場)。同地区のＵＳタッグ王者チームのランディ・スコット＆ジョン・ボネロ組はトーナメントをシードされ優勝決定戦に出場。
馬場＆鶴田組は１回戦でオーツ＆ワイルドマン組を破り、２回戦でドリー＆カリー組にリングアウト勝ち。準決勝ではシーク＆ブルックス組に反則勝ちで決勝進出。
優勝決定戦に出て来たスコット＆ボネロ組は未来日､ＵＳタッグ王者チームだといいますが、体格はジュニア・ヘビー級に近く、馬場＆鶴田組には通じず、ワンサイドゲームとなりました。７分40秒、馬場の16文キック、鶴田のジャンピング・ニーパットから鶴田がスコットを体固め､馬場＆鶴田組が優勝しました。
ＵＳタッグ王者チームのスコット＆ボネロ組は「ゴング」、「月刊プロレス」などの海外レポートでも見たことがないレスラーでしたが、見る限りは即席チームではない、しかし、実力面ではチャンピオンチームの器には程遠く、日本からはるばる遠征してきた馬場＆鶴田組を優勝させる為のジョバーのダミーチャンプだったと思います。
プロモーターであるシークが日本遠征でいつも馬場に稼がせてもらっているのとまた次回呼んでもらおうという下心が見え見えのマッチメイクでした。
優勝した馬場＆鶴田組はＵＳタッグ王座を奪取しましたが､「デトロイト地区で防衛戦が行えない」という理由でベルトを返上しています。シークはこの年にビッグタイム・レスリングをクローズしており、１レスラーとして活躍することになります。
北米サーキットの最後は６月29日、カナダ・トロント・メープルリーフ・ガーデンで馬場＆鶴田組はブルーザー・ブロディ＆スコット・アーウィン(ビル・アーウィンの兄、ジ・アステロイド、スーパー・デストロイヤー１号)組とインターナショナル・タッグ王座防衛戦を行いました。
１本目、ブロディとアーウィンは、鶴田をコーナーに逆さ吊りにして攻撃を続け14分、王者組の反則勝ち、２本目は６分５秒、鶴田がダイビング・ボディアタックからの体固めでアーウィンを破り、馬場＆鶴田組が２度目の防衛を果たしました。
ミネアポリス、デトロイト、トロントの３大会は日本テレビで収録され「全日本プロレス中継」で放送されています。
(この項続く)
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