今井むつみ・秋田喜美「言語の本質」2023年5月中公新書
副題は、”ことばはどう生まれ、進化したか”
私の道楽読書のテーマのひとつに、人間とは何だろうか、という尽きせぬ興味関心が
あります。
人間とは何か、を考える際、なぜ人間だけが言葉を持つのか、というのは、中心的な
テーマにつながりますね。
本書は、そんなわけで手に取りましたが、なんと、「新書大賞2024」第1位!を
受賞し、21万部突破! 称賛の声、続々!、と売れているのです。
続々と称賛の声も寄せられているようで、例えば、
●小川哲(作家)
・「本書を読んで以来、世界のすべてが言語に見えてしまっている。困った(いや、
助かった)。」
●橋本愛(女優)
・「言語の本質は、私の目指す生き方の本質と繋がった。」
●高野秀行(ノンフィクション作家)
・「本書はむちゃくちゃ面白いうえ、びっくりするほどわかりやすい。単純化して
いるのではなく、ひたすら明晰なのだ。」
●千葉雅也(哲学者)
・「この本はすごい。本当に画期的だと思います。オノマトペ研究をベースに言語と
身体のつながりに向かっていくのですが、本書の議論と脳科学、あるいは精神分析を
どうつなぐかとか、いろいろな思考の可能性が広がってきます。」
本書の惹句を紹介しますね。
”日常生活の必需品であり、知性や芸術の源である言語。
なぜヒトはことばを持つのか? 子どもはいかにしてことばを覚えるのか?
巨大システムの言語の起源とは? ヒトとAIや動物の違いは?”
”言語の本質を問うことは、人間とは何かを考えることである。
鍵は、オノマトペと、アブダクション(仮説形成)推論という人間特有の学ぶ力だ。
認知科学者と言語学者が力を合わせ、言語の誕生と進化の謎を紐解き、ヒトの根源
に迫る。”
目次と小見出しの抜粋も紹介します。
はじめに
言語という謎/記号接地という視点/言語の進化と子どもの言語習得の謎
第1章 オノマトペとは何か
「オノマトペ」の語源/オノマトペの定義/感覚イメージを表すことば?
第2章 アイコン性――形式と意味の類似性
単語の形のアイコン性/音のアイコン性――清濁の音象徴/続・音のアイコン性その他の音象徴/発音のアイコン性――角ばっている阻害音、丸っこい共鳴音
第3章 オノマトペは言語か
言語の十大原則とオノマトペ/音声性・聴覚性/コミュニケーション機能/
第4章 子どもの言語習得1――オノマトペ篇
子どもが小さいほどオノマトペを多用する/ことばの音が身体に接地する第一歩/
名づけの洞察――ヘレン・ケラーの閃き
第5章 言語の進化
言語の理解に身体性は必要か/永遠のメリーゴーランド/AIは記号接地問題を
解決できるのか/一般語と身体性
第6章 子どもの言語習得2――アブダクション推論篇
ニューラルネット型AI――ChatGPT/記号接地できずに学べない子どもたち
/ヘレン・ケラーとアブダクション推論
第7章 ヒトと動物を分かつもの――推論と思考バイアス
チンパンジー「アイ」の実験/非論理的な推論/動物はしない対称性推論
終 章 言語の本質
本書での探究を振りかえる/AIとヒトの違い/今井・秋田版「言語の大原則」
所感としては、私には、少し難解でしたですね。(汗)
仮説としてはわからないでもないですが、胸にビビッと響いたかと言われると、
そうでもなかったです。
まぁ、言語は、人間とは何かの核なんで、難しいですよね。
2024年の新書大賞第1位受賞はいいとして、半年で20万部以上売上ているのには
驚きです。
こんな読書も、道楽読書の一環なんです。(笑)
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