横尾忠則「時々、死んだふり」2023年9月ポプラ新書
おん年、87歳の画家・横尾忠則さんを、マイミクの皆さんはご存知でしょうか。
45歳までは、イラストレーターとして、寺山修司の実験劇場「天井桟敷」の公演
ポスターをキッチュなタッチで数多く発表されていたことを、私はよく覚えています。
2007年からは、日経新聞日曜版で、瀬戸内寂聴さんが、交流のあった作家たちの
評伝を「奇縁まんだら」というタイトルで連載され、その作家たちの肖像画を原色に
近い形で発表されました。
2021年には、個展「GENKYO」が、東京都現代美術館で開催され、惹きつけられて
鑑賞に行ったこともありました。
新聞書評等も担当され、時々文章を発表されています。
まぁ、私にとっては、気になる人なんですね。
そんな横尾忠則さんが、近況を新書に著わしたたので、手に取ったのが本書です。
いやぁ、強烈ですが、やはり、気になる生き方をされている人ですね。
本書の惹句を紹介しましょう。
”87歳、内外を舞台にヨコオが語る、生と死、そして創作の自由な世界。
心身が衰え、以前のように絵筆が握れなくなったことを「新たな画風」と
ポジティブに考える。制限のある状態をむしろ「自然体」と受け止め、自分の
変化を楽しむ。”
”執着を捨て、余計な言葉を捨て、軽やかに自由に絵と向き合う87歳美術家の、
人生について、創作についてが語られる。”
目次と小見出しの抜粋も紹介します。
第1章 本当に死にそうだった―急性心筋梗塞で絵筆を持たなかった二週間
・画家はアーティストではなく、アスリートである
・僕は病気と闘わない
第2章 僕も時々、死んだふり
・自分のお葬式の夢を見た
・ビートルズと三島由紀夫さんに導かれて
・自分の中の閻魔大王
第3章 面倒くさいで救われる
・「面倒くさいことはやらない」主義
・創作には「いい加減」が必要
・運命に従うか、逆らうか
第4章 新しい作品、新しい生き方
・この年で手に入れた新たな画風
・ハンディキャップが自然体
・「こんなん描けましたんやけど〜」
横尾忠則さんは、本書でつぶやきます。
”人生は軽やかでなければいけない。そして単純でなければいけない。絵も同じ。”
”死んだらどうなるかということを心配するよりも、今を一生懸命生きることが
大事です。”
”運命に身を任せればよいところに連れていってくれる、これが僕の実感です。”
”目的とか、評価とか、計算とか、そういうものを捨てれば、絵を描くことが楽しく
なります。”
”自分は正々堂々、嫌々絵を描いている。でも、その嫌々がすごくいいのです。”
”心筋梗塞以後は、無理をしなくてもいいと、絵のほうが僕をいたわってくれている
気がします。”
ポジティブで、幸せな絵描きさんだなぁ〜、と読んでいて、なんだか幸せになります。
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