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2024年02月14日19:28

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読書日記N o.1594(時々、死んだふり。画家・横尾忠則)

■横尾忠則「時々、死んだふり」2023年9月ポプラ新書

おん年、87歳の画家・横尾忠則さんを、マイミクの皆さんはご存知でしょうか。

45歳までは、イラストレーターとして、寺山修司の実験劇場「天井桟敷」の公演
ポスターをキッチュなタッチで数多く発表されていたことを、私はよく覚えています。

2007年からは、日経新聞日曜版で、瀬戸内寂聴さんが、交流のあった作家たちの
評伝を「奇縁まんだら」というタイトルで連載され、その作家たちの肖像画を原色に
近い形で発表されました。

2021年には、個展「GENKYO」が、東京都現代美術館で開催され、惹きつけられて
鑑賞に行ったこともありました。

新聞書評等も担当され、時々文章を発表されています。
まぁ、私にとっては、気になる人なんですね。

そんな横尾忠則さんが、近況を新書に著わしたたので、手に取ったのが本書です。
いやぁ、強烈ですが、やはり、気になる生き方をされている人ですね。

本書の惹句を紹介しましょう。

”87歳、内外を舞台にヨコオが語る、生と死、そして創作の自由な世界。
心身が衰え、以前のように絵筆が握れなくなったことを「新たな画風」と
ポジティブに考える。制限のある状態をむしろ「自然体」と受け止め、自分の
変化を楽しむ。”

”執着を捨て、余計な言葉を捨て、軽やかに自由に絵と向き合う87歳美術家の、
人生について、創作についてが語られる。”

目次と小見出しの抜粋も紹介します。

■第1章 本当に死にそうだった―急性心筋梗塞で絵筆を持たなかった二週間
・画家はアーティストではなく、アスリートである
・僕は病気と闘わない
■第2章 僕も時々、死んだふり
・自分のお葬式の夢を見た
・ビートルズと三島由紀夫さんに導かれて
・自分の中の閻魔大王
■第3章 面倒くさいで救われる
・「面倒くさいことはやらない」主義
・創作には「いい加減」が必要
・運命に従うか、逆らうか
■第4章 新しい作品、新しい生き方
・この年で手に入れた新たな画風
・ハンディキャップが自然体
・「こんなん描けましたんやけど〜」

横尾忠則さんは、本書でつぶやきます。

”人生は軽やかでなければいけない。そして単純でなければいけない。絵も同じ。”

”死んだらどうなるかということを心配するよりも、今を一生懸命生きることが
大事です。”

”運命に身を任せればよいところに連れていってくれる、これが僕の実感です。”

”目的とか、評価とか、計算とか、そういうものを捨てれば、絵を描くことが楽しく
なります。”

”自分は正々堂々、嫌々絵を描いている。でも、その嫌々がすごくいいのです。”

”心筋梗塞以後は、無理をしなくてもいいと、絵のほうが僕をいたわってくれている
気がします。”

ポジティブで、幸せな絵描きさんだなぁ〜、と読んでいて、なんだか幸せになります。
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