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2023年07月29日23:17

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ストロング小林さん追悼(458)

79年新日本プロレス創立7周年記念「ビッグ・ファイト・シリーズ」中に行われた特別興行、4月3日、福岡スポーツセンターでは猪木と全米カンフー世界チャンピオン、レフトフック・デイトンの「格闘技世界一決定戦」(WWF格闘技世界ヘビー級選手権試合)が行われています。

何故、新日本プロレスはシリーズ中の最終戦2日前、しかも同日に宮城県亘理町体育館で興行がありながら福岡で別興行として異種格闘技戦を開催したのか? 

これはテレビ朝日からの強い要望によるものでした。2月6日、大阪府立体育会館で行われたミスターX戦では直前でマスクを被る選手(ジョー・ヘスもしくはポコ・ガブリエルが予定されていた、と言われています)が負傷(ギャラの吊り上げを要求してきた説もあり)の為来日をキャンセル。

新間寿マネージャーが急拠、ロサンゼルスに飛び巨漢の黒人を代役に仕立ててリングに上げましたが空手着の着用の仕方も知らない素人で、猪木は3ラウンド50秒、腕ひしぎ逆十字固めでギブアップ勝ち。

ミスターXの実力は酷かったですが、暴動が起きることもなく、何とか興行を終わらせることが出来、翌2月7日に午後7時30分から録画中継された「水曜スペシャル」は18.2%(ビデオリサーチ社調べ)の高視聴率を稼ぎ出し、テレビ朝日首脳部は大満足でした。

この時は4月3日、火曜日でしたがテレビ朝日の「火曜スペシャル」で当初予定されていた番組の企画が流れたことで新日本プロレスに「数字が稼げる」異種格闘技戦開催のオファーがあったものです。

ミスターX戦では時間がなかったこともあり、力量をしっかり見定めない段階で代役を仕立てねばならなかった反省点を踏まえ新間マネージャーが自ら対戦相手を探すことになりロサンゼルスでジムを経営しているジョージ土門から「スーパーマン」レフトフック・デイトンを紹介されました。

デイトンはボディビルでの最高峰であるミスターアメリカでも何度も入賞し、また世界一の怪力自慢を決めるワールドストロンゲストマン・コンテストでも7位に入賞するなどプロレスラー並のパワーを持っており、カンフーを修得しており、パンチやキックなどの基礎もマスター。決め手なったのは自らの首を吊るパフォーマンスを特技にしていることで新間は見た目のカッコよさもあり、これは使えると判断して猪木の相手に選びましだ。

3月25日、来日したデイトンは記者会見では分厚い電話帳を引き裂き、50円硬貨や100円硬貨を握りつぶして二つ折りにしたり、硬式テニスボールを握りつぶして食いちぎり、「ゴング」編集長、竹内宏介氏を片腕で持ち上げ、怪力パフォーマンスを展開しました。

そして、太いロープを首に巻いて天井から吊るしたロープを首に巻き、そのまま10秒間吊り下がった首吊りパフォーマンスでマスコミに大きなインパクトを与えました。この模様は3月30日の「ワールドプロレスリング」で一部放送されています。

翌3月26日、テレビ朝日の「アフタヌーンショー」にも出演してデモストレーションを再現したデイトンは「イノキをチョーク攻撃でKOする。もし、私を絞め落とすことが出来たら1万ドルを進呈する」と宣言し猪木戦へ向けて大きくアピール。

このあたりは新間氏が試合を盛り上げるために考えた演出でしたが、打撃や関節技の技術は未知数で、また猪木自身もシリーズ中だったこともあってデイトンを見たのが新間氏から手渡された写真と、4月2日に行われた調印式のみ。

さすがの急な開催とあって観客の入りは6,200人と満員にはならず。ルールは3分10ラウンド、グラウンドは10秒以内。デイトンが首が強いということで「チョーク攻撃はいくらしてきても構わない」とアピールしたことからチョークによる反則カウントはなし。

レフェリーはジョージ土門、サブレフェリーはカール・ゴッチの娘婿、前78年の「MSGシリーズ」にレフェリーとして参加したミスター空中(空中正三)。

第1ラウンド、ゴング前からデイトンがミドルキック、パンチで猪木を奇襲攻撃、試合開始のゴングが鳴らされてからスリーパーホールド、猪木はロープエスケープ、リングに戻った猪木にデイトンはパンチ攻撃、猪木これをガードしながらグラウンド狙い、だがデイトンは我慢して。猪木はデイトンの蹴り足を捕らえましたがデイトンは綺麗なラウンドハウスキックを決めました。猪木は場外へ。デイトンの格闘技センスはなかなかのものです。

第2ラウンド、猪木は延髄斬り狙いもデイトンはこれを逃げて回避、しかしサイドキックに来たデイトンの足を掴んだ猪木はトーホールド、デイトンはロープに逃れました。何とか組み付いてグラウンドに引き込もうとする猪木をデイトンはそのまま担ぎ上げて猪木をトップロープから場外へ落とすというプロレスラー的な動きを見せました。

猪木がリングに戻るとデイトンはローキックからのパンチ、猪木もカウンターでのナックルパートで応戦、猪木は第1ラウンドでデイトンの動きを見切ったか、デイトンの蹴り足を掴んでやっとグラウンドに移行、自慢の太い首をスリーパーにいこうとしましたがデイトンはバックエルボーを放って防御、スリーパーはあくまでもフェイントでしょう。

第3ラウンド、猪木はマットを一回転してからアリキック、グラウンドヘ。デイトンはサイドポジションを奪って上に乗りました。グラウンドは10秒とあってブレイク。

デイトンの前蹴りを見せると猪木はバックを取ってのバックドロップ、しかし体勢不十分でダウンには至らず、猪木は首を押さえて首相撲を挑みましたがデイトンは嫌がりコーナーヘ。ブレイク際に猪木に膝蹴り。デイトンのキック、パンチはバリエーションは豊富ではなく動きは単調だということを猪木は見抜いた感じでした。

第4ラウンド、猪木はスライディング・レッグシザースからグラウンド狙い、スリーパーで捕らえるも腰投げで逃れたデイトンは上からパンチを浴びせる。これに怒った猪木は強烈なヘッドバット、不意を突かれたデイトンはダウン。ヘッドバットなど食らったことがないデイトン。相手のダメージを確認した猪木はヘッドバット連発、デイトンは額から出血、デイトンはパンチの連打を浴びせて反撃も、猪木は再びヘッドバットの連打。デイトンはヨロヨロと崩れていきました。勝敗が見えたラウンドだったと思います。

第5ラウンド、猪木がまたヘッドバット連発、倒れたデイトンに猪木はマウントを奪ってのヘッドバット、スタンディングになっても猪木はヘッドバットの連発。デイトンはダウン。打たれ強いデイトンは立ち上がるが猪木はまたヘッドバット。デイトンはダウン、デイトンは立ち上がるも、猪木は執拗なヘッドバットの連打。デイトンはダウン、立ち上がったところで猪木はドロップキック、これは目測を誤り空振り。戦意喪失気味のデイトンに猪木はヘッドバットを打ち続け、アリキックからヘッドバット。もはや試合をストップしてもいい状態に。

第6ラウンド、デイトンは最後の力を振り絞ってパンチにいきますが、動きは単調、猪木はヘッドバットからのバックドロップ連発。デイトン側のセコンドがタオルを投入、6ラウンド1分29秒、猪木のTKO勝ち。デイトンは「俺はまだ負けていない!」とばかりに猪木に掴みかかっていきましたがこれ以上は無理だったでしょう。猪木はWWF格闘技世界ヘビー級王座3度目の防衛を果たしました。

猪木がこの試合で出したヘッドバットは実に36発!試合自体は猪木のワンサイドゲームになりましたがデイトンの強靭な肉体と打たれ強さで一連の猪木の異種格闘技戦の中でも高評価を得ています。

福岡大会その他の試合は全米プロ空手WKA世界ヘビー級タイトル戦は王者ネイビー・ハリケーンがタンク・ウォーレスに判定負けで王座移動。新格闘術ライト級タイトル戦、王者藤原敏男がクッポンノイ・ハーブランにKO勝ち。

木戸修が国際プロレスの寺西勇と対戦し16分14秒、逆さ押さえ込みで勝利。藤原喜明はジョージ高野を9分45秒、体固めで降しました。
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