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2023年07月15日22:20

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【読書】 最近読んだ本 備忘禄

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「神が愛した数学者たち」 (吉永良正著、角川ソフィア文庫)

古代ギリシャのタレス、ピタゴラスから始まり、ユークリッド、アルキメデス、デカルト、フェルマー、パスカル、ニュートン、ライプニッツ、ベルヌーイから、オイラー、ダランベール、ラグランジュ、ラプラス、ガウス、リーマンなどに続き、最後はアーベルとガロアで締める、歴史上の偉大な数学者たちの生涯をたどり、数学がどのように発展していったかを概観する本である。内容的には目新しいものはあまりなく、数学に関わったことがある人なら馴染みのある話が多いが、改めて「おさらい」でもと思い、たまたま目に付いて買って読んだ本である。大いなる成果を残した数学者は、やはり凡人とは違うものを持っていることは間違いない。


●「ブラームス・ヴァリエーション」 (新保祐司著、藤原書店)

ブラームスといえば変奏曲だという著者による、さまざまな「主題」による「変奏」という形で綴ったのが前半である。中原中也、本居宣長、小林秀雄、ホイジンガ、内村鑑三、ウィトゲンシュタイン、小出楢重、樋口一葉、立原道造、堀辰雄、前川誠郎など、いろいろな人物が「主題」や「変奏」に、ブラームスの作品と絡めながら登場する。ちょっと独特な文芸批評といった感じだ。後半はブラームスのほぼ全作品を一日一曲聴き続けながら、その作品にまつわる思い出や考え方などを綴ったものである。細かくいろいろ書いているのもあるが、あっさりと数行で終わっているのもあり、結構好きな曲とそうでない曲がはっきりしているようにも見える。私もブラームスは好きなので、「一日一曲」のようなものを、機会があれば書いてみようかと思う。


●「線路まわりの雑学宝箱」 (杉崎行恭著、交通新聞社)

鉄道への興味といえば、まずは車両や駅などになるだろうけど、この本ではそれらには目もくれず、脇役的な事物や周辺のことに注目していくのである。いつもは気にしないところに注意してみれば、そこは面白い話題が詰まった宝箱というわけだ。世界最古の廃線跡を探し求めたり、踏切や転車台などに注目したりと、このあたりはまだ普通の鉄道趣味の範囲。冷凍ミカン、駅そばなどから、軌道バイクや、線路の上を通り天井川の話、さらに駅前の銅像、鉄道文字、車掌かばん、野球と鉄道の関係など、話があちこちに飛ぶが、いずれも鉄道に関係しているのである。サボや日付印字器など、今はほとんど見られなくなったものや、鉄道時計の正確さの話まで、内容はいろいろだ。


●「そもそも島に進化あり」 (川上和人著、新潮文庫)

鳥類学者である著者が、島について綴った科学エッセイ。「鳥」ではなく「島」である。そもそも島とはどのようにして生まれるのかという、一見著者の専門とは異なる分野の話から入るが、そこは鳥類学者、島に生物が参上する流れを続けて書く。もちろん、海を渡らなければたどり着けないのが島であり、もともと生物が存在しない海洋島にもっともたどり着きやすいのは鳥類である。そしてもう一つ、昆虫もそうであろう。さらにそれらを媒介に植物の種子が持ちこまれて定着する。そして島で独自の生態系が形成されるのだ。大陸とは条件が違うため、生物の進化の仕方も違うことが多い。その生態系が絶妙なバランスを保っていくが、それを破壊するのが人間が持ちこむ「外来種」である。ユーモア混じりの文章で、多く付けられた脚注もまた面白い本である。


●「山女日記」 (湊かなえ著、幻冬舎文庫)

若い女性の登山がブームになり、「山ガール」という言葉が生まれたが、この小説に登場する女性たちはちょっと違うようだ。彼女たちが登るのは妙高山、火打山、槍ヶ岳、利尻山、白馬岳、金時山、そして、最後はニュージーランドのトンガリロ。山に登ることで、誰にもいえない思い抱えていた女性たちが、自分なりの解決の糸口を見つけていくのである。各話の主人公(一人称)は別々の人だが、それらが密接に絡み合っていくような構成もさすがである。この中で私が登ったことがあるのは金時山だけだし、そもそも本格的な登山はしたことがないのだが、下手なガイドブックよりも山の様子が手に取るようにわかる。作者自身も実際に登ったのだろうか。
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