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2023年05月13日07:56

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Music of the Spheres/Coldplay

 前作『エヴリデイ・ライフ』では久々にシリアスかつアーティスティックな方向へと軌道修正したかと思いきや、なぜか再びキラキラなポップ・フィールドのど真ん中を逆走する、コールドプレイの目下のところ最新作『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ』。

 現代ヒット・ソングの請負人とも言えるマックス・マーティンを全体のプロデュースに迎え、いかにも80年代的なシンセから始まる“Humankind”は思わずずっこけそうになったくらい(うちの妻は爆笑していた)。同じくイギリスで飛ぶ鳥を落とす勢いの若手、The 1975の快進撃を意識しているかのよう。明るくて、屈託がなくて、どことなく80年代フレーヴァーが漂っていて(笑)、そして徹底的にポップ。

 極めつけは、なんとあの今をときめくBTSを客演に迎えた“My Universe”。MVにおける、CG満載のアバターみたいな世界ではしゃぎまくるクリス・マーティンの姿からは、ギター片手に物憂げな表情を浮かべていた、あのころの面影は微塵も感じられない。
(スマスマで木村拓哉と肩を組んで“美しき生命”を歌っていたころからその気はみられたが…)

 ちなみに本作には「架空の惑星系を舞台にした12曲の物語」というコンセプトがあり、いまさらスター・ウォーズに影響を受けていたらしい(笑)。本作から受ける開放的なイメージは、実際にクリスがどこまでも拡張していく宇宙のような世界観を思い描いていたためだった。彼の頭の中にある誇大妄想的なヴィジョンは、もはやこのような気の狂ったようなスペース・オペラでないと表現しきれなかった、ということだろうか。

 そのようにして宇宙的ビジョンを音で再現していく過程で、少なからず重要な楽曲も産み落とされた。ラストの“Coloratura”はまさしく、前述のクリスの狂ったヴィジョンが全面展開されており、目まぐるしく変化する展開は、かつてのピンク・フロイドを思わせる壮大なプログレッシヴ・ロックと化している。正直、前半のムードと違いすぎるためアルバムとしての統一感を著しく損なっているようにも思えるが、その調整してない感じも宇宙的だ。
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