従来のヒップホップ文化において、独りきりで内省に浸るような行為はカッコ悪いものとされてきた。地元コミューンの繋がりを強調する「レペゼン文化」に象徴される通り、ヒップホップ音楽とは、共同体を通して彼らの意見を発信し、あくまで彼らの共感を得る
小学校以来の親友がいるのですが、あるとき「音楽を聴いて踊りたくなるという感覚がわからない」と急に打ち明けられた日には、こいつと付き合うのはやめようと本気で思ってしまったことのある2601です。 ハッキリ言ってしまえば、「音楽を聴いて踊りたくな
カニエ・ウェストの名を一躍世に知らしめた出世作、ジェイ・Zの“Izzo (H.O.V.A)”。 エホバの証人(jehovah)のスペルを冠した曲の中で、ジェイ・Zは自らのことを(Hov)と名乗り、異様にキレのあるラップをかます。(J)の(ehovah)、すなわち「俺こそが
大人になってから、人前で涙を流すことは滅多になくなった。「男たるものたくましくあれ」という伝統的な価値観に教わり、男らしくタフに生きることを課したいつしかの自分。結果、傷付きやすさを捨てた代わりに、強くしなやかな精神力を手に入れることがで
幸せになりたくてここまで頑張ってきたのに、いつまで経っても代わり映えのしない現実。将来を約束されたはずなのに、誰しもが皆浮かない顔。もうそろそろ潮時かもしれない。 でも、ダメなら最初からやり直せばいい。それだけのこと。そう思いながらふと
「ムシャクシャしたときに、ビールでも飲みながら爆音で聴きたい曲」を、あらかじめ10曲くらいストックしておいた方が人生はより豊かなものになるはずだ。イギー・アンド・ザ・ストゥージズの、“サーチ・アンド・デストロイ”は、その意味において不動の
「もっと現代ロック/ポップを聞かなければ」。 第5弾は、ジェイムス・ブレイク。 「現代ロック/ポップ」と題してしまいましたが、この人をそういう括りに入れるべきかどうか、聴き込む度に余計にわからなくなってくる。そもそも、ダブステップという音
エルヴィス・コステロとジ・アトラクションズ名義の『ディス・イヤーズ・モデル』。 前作『マイ・エイム・イズ・トゥルー』までは、コステロ個人によるシンガーソングライター調のアルバムといった印象で、バンド・アンサンブルに関してはいまいちパッとし
2001年にストロークスが登場したころ、音楽メディアはその未知なるサウンドのルーツを暴こうと必死になってたんだけど、そのときにやたら目にしたのがヴェルヴェッド・アンダーグラウンドとの比較だった。 シンプルなコード・ストロークによるロックンロー
デーモン・アルバーン名義としては、意外にも初となるソロ作品『ドクター・ディー』。 ソロとは言え、あくまで同名オペラのために書き下ろされたサウンドトラック。このドクター・ディーという人物についてはまったく知らないので少し調べてみたところ、政
「俺の女に手を出す奴は、ぶっとばす」。 このようなセリフを堂々と言い放つ男は、今も昔も後を絶たない。同じ男の「はしくれ」として、もちろんこういうことを言いたくなる気持ちもわからなくはないけれど、それを言ったらおしまいというか、口が裂けても
我々日本人が、黄色人種であるという理由だけで他の人種から迫害を受けることは滅多にないように、55年にローザ・パークスが置かれた困難に対して、心から共感できる日本人は誰一人としていないはずだ。 アフリカ系アメリカ人の両親のもとに生まれたローザ
気持ち良いと感じるポイントだけ取り出して、それをひたすら反復すれば自動的にダンス・トラックの名曲になる。というのが、ダフト・パンク的なる美学である。 彼らの代表曲のひとつ“ロボット・ロック”は、その名の通りロボットがロック(「ロックンロー
未だ音楽オタクであることがステータスだった時代。レアなアナログ・レコードをコレクションすることがヒップだった時代。そんなすべてが遠い過去のものとなってしまった。 その事実に人一倍自覚的だったニューヨーカーのオタク、LCDサウンドシステムこ
久々にエリック・クラプトンのギターでも聴きたくなって、クリーム時代の2枚組アルバム『クリームの素晴らしき世界』を聴いてみる。 まず1枚目は、お得意のブルーズ・ロックの演奏を基調としながらも、比較的コンパクトなサイズに縮められたガレージ・ロ
おそらく僕は、この日記を読んでいる誰よりもダンスが好きなんだと思います。マジで、それだけは唯一と言っていいほど自信があるのです。 ただし、僕が好むのは世間一般で「ダンス」と呼ばれているそれとは違い、単純に音楽のリズムに合わせて自由気ままに
名作『ブルー』におけるジョニ・ミッチェルのボーカルに関して、僕は「無色透明の水のようにあらゆる属性に分類されない声」と評させてもらったが、それは全面的に誤りだったことを認めよう。 本作『コート・アンド・スパーク』を聴いて、ジャズやフュージ
誰にだって触れられたくない過去があり、そっと引き出しの奥にしまっておきたいような忌まわしい自分を隠し持っている。多かれ少なかれ、きっと誰もがそうだろう。 だけども、この厳しい社会でたくましく生きていくために、そんな自分をまるでなかったこと
オアシスの音楽をアルバム単位でしっかり聴くのなんて、3作目の『ビィ・ヒア・ナウ』以来なんで、それこそ十数年ぶり(!)になるかもしれない。 ブリットポップ当時、圧倒的にブラー派だった自分は彼らの音楽にそこまでのめり込めず、ロックなのにリズム
ロックンロール・イズ・バック!! 思わずそんなことを叫ばずにはいられない。当時、八面六臂の活躍ぶりを見せていたアウトキャストのアンドレ3000が放った“ヘイ・ヤ!”。南部のどこか垢抜けないヒップホップ・ユニットの片割れに過ぎないと思われて
今やすっかりお茶の間のツールと化したYouTube。だが、You Tubeが爆発的に普及しはじめた黎明期、その広がり方がアジアと欧米では顕著な差が表れたという。 アジア諸国の人々の多くが、過去に放映されたテレビドラマやPV映像など既存のメディアをアップ
『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』というテレビドラマをご存じだろうか。 当時、売れっ子だった野島伸司が脚本を手掛けた94年のドラマで、いじめを受けた主人公の少年(堂本剛)が物語の中盤で自殺してしまい、後半は主人公の父親の復讐劇になるとい
80年代末、ダンス・ミュージックの一大潮流となりつつあったアシッド・ハウスをギター・バンドの立場でいち早く取り入れたことで、キャリアの転機作となったニュー・オーダーの『テクニーク』。 89年といったら、彼らの後輩バンドにあたるストーン・ローゼ
「もっと現代ロック/ポップを聴かなければ」。 第4弾は、M.I.A.。 まず触れなければならないのは、父親が反政府ゲリラの指導者で、自身はイギリスに亡命した元・スリランカ移民という、話題に事欠かない彼女のバックグラウンドだろう。ただ、その謎めい
ジョニ・ミッチェルに引き続き、自分の中でひっそりと、だが確かに女性シンガー・ソングライター・ブームが到来しております。今回は70年代初頭、同ブームの火付け役となったキャロル・キング。 ジョニとの比較で言うと、キャロルの方がよりキャッチーとい
本作『ブラック・アンド・ブルー』は、長年リード・ギタリストを務めたミック・テイラーが脱退し、ロン・ウッドが参加したはじめての作品として一般的には知られている。だが正直なところ、彼の加入は作風にあまり影響されていないので、この際気にしなくて
東西のギャングスタ・ラップを一貫して批判し続ける、シカゴ産ヒップホップとしてのコモンのアティチュード、もしくはそこから生まれるサウンドのイメージをひとことで表すなら、「フェミニン」。単純だけど、これに尽きるのでは。 どことなく中性的であり
“ダイヤモンドは永遠に”。 この邦題でピンと来た人は、007のファンか、あるいはカニエ・ウェストのファンのどちらかに違いない。 ご存知、007のテーマソングをサンプルしたカニエの代表曲。「シエラレオネ」というのは、ダイヤモンドの支配権をめぐ
デヴィッド・ボウイで一番好きな曲を挙げろと言われたら、「ひとしきり悩んでるようなふりをした後で、思い立ったように“スペース・オディティ”だと答える」という行動を取ろうと、僕はあらかじめ決めていたりする(笑)。 キャリアの長いボウイのベスト
かつてバットマン・シリーズと言ったら、「アメコミ好きなオタクのためのジャンル映画」、もしくは「ティム・バートンの美術を鑑賞するためのフェチズム映画(笑)」といった偏狭なイメージも手伝って、どこかマニアックなジャンルに甘んじたシリーズ、とい