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2023年03月08日12:51

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Teatro d’ira: Vol.1/Måneskin

 2010年ごろからずっと叫ばれてきた「ロック冬の時代」にあって、わかりやすいロック音楽を真正面からストレートにやったことで、なぜか世界中に熱狂の渦を湧き起こしたマネスキン。

 サブスク視聴を意識してギター・ソロはやめようとか、流行りのブラック・ミュージックを取り入れようとか、そんなZ世代への迎合は一切ない。
 マネスキンがやりたいのは、今や誰もが敬遠するコテコテのロック―――それも60〜70年代のギラギラとした化粧でセクシャリティを前面に押し出したグラム・ロックに、90年代ミクスチャー・ロックのマッチョで大仰なギター・サウンドを掛け合わせたような、時代錯誤したロック音楽だ。

 SDGsのクリーンな時代にはまったくそぐわない、ファストフードのような身体に悪い音楽だ。いや、ファストフードは身体に悪いと知っているからこそ、その背徳的な味に美味さを感じるもの。たとえるなら、てりやきマックをヴィーガンの口の中に無理やり突っ込んだときのようなインモラルな痛快さを、このアルバムからは感じないわけにはいかない。(※注 ヴィーガンの方々に対する悪感情や個人的偏見は一切ありません。ただの例えです)

 でも真面目な話、ビートルズの時代からロック音楽というのは、モラルから逸脱した要素を少なからず内包してはいなかったか。若者を熱狂させるロック音楽はいつだって、良識ある大人たちが眉をひそめ、騒々しいと耳を塞がれ、子供には見せられないと目を瞑らせる類のものではなかったか。そうやって煙たがれれば煙たがれる作品ほど、時を経れば「名盤」として崇められるのではないか。

 でも肝心の音楽を冷静に紐解いていくと、演奏面だけで言えばなにも新しいことはしてないんだよね。ベースも、ドラムスも、ギターも、ロック的なツボをうまく心得てはいるんだけど、スタイルとしてはどこかで何百回も聴いた焼き直しでしかない。
 ではマネスキンの音楽のなにが凄いのかと言えば、実はボーカル面での貢献が意外とデカいんじゃないかと僕は推測している(あまり語られないけど)。

 このダミアーノ・ダヴィドというボーカリストは、その名前の印象通り(?)かなりのダミ声の持ち主である。彼は多くの曲をイタリア語で歌うため、イタリア語特有のベタベタした語感(失礼)がさらに強調され、しかもよりによって言葉数が多いラップ歌唱でまくしたてるスタイルだから、それがロックのサウンドに乗ったときになんとも言えない濃ゆいグルーヴを醸し出してしまう。
 たとえるなら、イギー・ポップ(彼らと“I Wanna Be Your Slave”にてコラボもしている)が、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンをグラム・ロックのアレンジで歌っているような感じと言えば伝わるだろうか。決して巧くはないんだけど、どこか病み付きになるような中毒性がある。

 まさに、てりやきマックのようなボーカルだ。たまに食べたくなるよね。ダミアーノって顔からして濃ゆいしね。ソース顔かしょうゆ顔で言ったら、完全にソースだしね。てりやきマックって、絶対ソースがはみ出るよね。でも余ったソースをポテトにつける食べ方も下品でたまらないよね。
(何十年ぶりにてりやきマック食べたくなってきた…)
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