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2022年12月11日19:49

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【音楽】 オーケストラ・ニッポニカ演奏会 @紀尾井ホール

今日は四ッ谷にコンサートに行った。オーケストラ・ニッポニカの演奏会である。
プログラムは次のとおりである。

 ・藤家溪子:思い出す ひとびとのしぐさを
 ・藤倉大:オーケストラのための「トカール・イ・ルチャール」
 ・糀場富美子:未風化の7つの横顔
 ・諸井三郎:交響曲第2番

   指揮:野平 一郎/ピアノ:阪田知樹
   会場:紀尾井ホール (14:00 開演)

オーケストラ・ニッポニカ創立20周年記念連続演奏会の2回目で、もちろん1回目も行っている。今日のプログラムのうち、藤倉、糀場、諸井の作品は、たまたまCDも持っていて聴いているが、藤家の作品は全く初めてである。藤倉大も糀場富美子も、どちらかというと積極的に聴いているとはいえないので、新鮮な気持ちで聴くことが出来そうだ。

藤家の「思い出す ひとびとのしぐさを」は、チリの詩人ガブリエラ・ミストラルの詩から採った題名らしい。その詩のごとく、熱気と冷気、潤いと渇き、壮大さと繊細さが目まぐるしく変化する作品を意識して作ったという。聴いてみると、冒頭の不協和音のような響きにまずびっくりだが、そこから様々に変化して、もう何が何やらといううちに気が付いたら終わっていた感じだが、もしかしたらこれが作曲者の意図通りなのだろうか。なんとも捉え難い作品という印象だった。

続いては、藤倉の「トカール・イ・ルチャール」である。打楽器をたくさん運び入れるのに少し時間を要して演奏開始だ。これは、海で泳ぐ魚や空を飛ぶ鳥が、やがて一つに集まって巨大なものを形作るような曲だというが、静かに始まった曲が途中で一瞬止まったあと、太鼓の連打によって爆発するような箇所があり、なかなか印象的である。冒頭からうまくつながって構成されているということなのだろう。じっくりと生で聴くと、案外と面白く聴けるところもあるように思えた。

3曲目は、糀場の「未風化の7つの横顔」だ。ピアノの独奏が加わるので、またセッティングに時間を要する。ピアニストの阪田知樹とともに指揮者が登場して演奏開始だ。糀場の代表作といえば「広島レクイエム」だろうが、それを作ってから20年経ち、原爆の記憶が風化しないようにと、2005年に作られたのがこの曲だ。タイトルの「未風化」もそういう意味を込めているのだろう。糀場の作品のCDは1枚しか持っていないが、そこに「広島レクイエム」と「未風化の7つの横顔」も収録されており、今回生で聴きたいと思っていた作品である。

冒頭は鐘とピアノが呼応しながら鳴って始まる。ピアノはいわば語り部で、オーケストラがその語る中身を表すようなイメージだろう。それが絡み合いながら7つの楽章を続けて演奏される。必要以上に重々しくなることはなく、しかし一本筋が通ったような感じだろうか。これはじっくり聴いて、いろいろな思いがよぎるような曲であった。演奏終了後には客席にいた糀場富美子がステージ上に呼ばれた。前半3曲はいずれも現役作曲家の作品なのだが、今日来ていたのは糀場さんのみのようだ。客席から大きな拍手を受けていた。

休憩のあとは、諸井三郎の交響曲第2番だ。第3番は演奏会で聴いたことがあるが、第2番は生で聴くのは初めてだ。前半の作品と比較すると、やや雰囲気が変わり、要は聴きやすいオーケストラ作品であるということだ。欧州の後期ロマン派の様式に立脚した作品ということで、きっちりとした構成の作品だといわれている。第一ヴァイオリンだけで演奏される冒頭部分からして印象的だが、第2楽章のやや怪し気な雰囲気も面白い曲である。西洋音楽の様式ではあるが、和風とはいわないまでも、独特のカラーが散りばめられているような曲だと、聴きながら改めて感じた。最後までじっくりと堪能することが出来た。

演奏会が終わる頃には外も暗くなっていた。今日は、演奏会場では通常のプログラムの他に、「オーケストラ・ニッポニカ演奏会記録」という立派な冊子も配られた。このオーケストラの演奏会はよく行っていたつもりだが、その演奏会記録を見てみると、結構聴き逃したものもある。そういうのは、改めて見ると「行けなくて残念だった」と思う演奏会ばかりである。
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