今日は、今年最初のコンサートを聴きに錦糸町に行った。いつもご招待いただいているアウローラ管弦楽団の演奏会である。ロシア音楽をメインに演奏しているアマチュア・オーケストラである。
今日のプログラムは次のとおり。
・チャイコフスキー:歌劇「ヴォエヴォーダ」序曲
・チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
・チャイコフスキー:交響曲第2番「小ロシア」
指揮:田部井剛/ヴァイオリン:鈴木舞
会場:すみだトリフォニー (13:30 開演)
チャイコフスキーだけのプログラムだが、ヴァイオリン協奏曲以外は聴く機会は少ない曲で、こちらも楽しみである。
最初は「ヴォエヴォーダ(地方長官)」序曲だが、最初これは交響的バラード「地方長官」かと思っていたら、それとは全く別の歌劇の序曲ということだ。「ヴォエヴォーダ」は歌劇全体どころか、序曲もおそらく初めて聴く。チャイコフスキーの初期の作品ということだ。歌劇のストーリーも分からないまま、純粋に音楽だけを楽しむことになるが、これがなかなか素敵な曲だった。冒頭の舞台後ろから鳴り響くホルンがいい感じで、そこから徐々に盛り上がっていく。初期の作品だが、チャイコフスキーらしい雰囲気も十分であった。
続いては超有名曲のヴァイオリン協奏曲だ。ソリストは鈴木舞という方だが、初めて聴くヴァイオリニストである。演奏が始まると、冒頭のオーケストラによる入りがすごくきれいであった。その流れを受けてヴァイオリンソロが入る。鈴木舞のヴァイオリンは実に美しい音色だ。余計な虚飾はなく、美しい音でじっくりと聴かせてくれるような感じで、オーケストラの方もしっかりとサポートして、何度も聴いているはずのこの曲も、また新鮮な気持ちで堪能することができた。素晴らしい!
このあと、鈴木舞によるアンコール演奏があった。チャイコフスキーでも演奏するのかと思っていたら、そうではなく、バッハの無伴奏パルティータ第3番よりガヴォットだ。ヴァイオリンソロのアンコールの定番のような曲だが、こちらもうっとりと聴き入るような素敵な演奏だった。
休憩のあとは交響曲第2番だ。チャイコフスキーの交響曲は第6番「悲愴」は聴いた回数もかなり多いが、第2番を生で聴くのはおそらく初めてではないか。チャイコフスキーの交響曲の中ではマイナーな方なのであろう。しかし、これはなかなか楽しい曲だと思っている。「小ロシア」というのはウクライナのことで、ロシアとウクライナの現状を見ると、この「小ロシア」というタイトルもどうなのかという声もあるらしいが、チャイコフスキーにとってはそんなことは知ったことではない。ロシア、というかウクライナの土臭さ全開の音楽で、耳に残る旋律が満載の、聴いていて楽しい曲である。
冒頭のホルンがまたいい感じで、今日はホルンが目立つ曲が多いようだ。第4楽章はもう能天気な音楽といってもいいくらいで、この旋律は南ロシア民謡「鶴」が元になっているらしいのだが、どうしても「かえるのうたが...」と聞こえてしまう。そのカエルの合唱(?)がクライマックスに達し、オーケストラもエンジン全開のまま走り抜けて、曲を終える。たしかに、後半の交響曲作品に比べると、少し深みが足りないというところもあるかもしれないが、聴いて楽しい曲だし、これもなかなかの傑作だといいたいのである。
初めて聴く歌劇の序曲、超有名な協奏曲、聴く機会の少ない交響曲と、うまくバランスが取れていたプログラムだったと思う。オーケストラの方も、なかなか演奏レベルも高く、十分に堪能することが出来た。
路面には一昨日の雪がまだ少し残っているが、今日は快晴。その天気と同じくいい気分で、演奏会を終えて外に出た。
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