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2021年03月21日19:51

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【音楽】 オーケストラ・ニッポニカ演奏会 〜東京オリンピックの時代

今日は1日中雨降りで、さらに風も強いという天気だったが、午後は四ツ谷に出かけた。オーケストラ・ニッポニカの演奏会である。前回もコンサートの日は雨だったし、どうも天気運が悪いが、だからといって、このプログラムでは行かないという選択肢はない。

 ・古関裕而:オリンピックマーチ
 ・入野義朗:交響曲第2番
 ・三善晃:管弦楽のための協奏曲
 ・團伊玖磨:交響曲第4番

   指揮:野平一郎
   会場:紀尾井ホール (14:30 開演)

14:00過ぎに四ツ谷駅を降りると、ちょうど雨のピークだった。風にも煽られながら紀尾井ホールに向かう。今日の演奏会は、もともとは昨年予定されていたが今年に延期になったものである。「東京オリンピックの時代」と題するプログラムで、1963年、1964年、1965年の作品が並ぶ。2020年東京オリンピックは延期されたので、この演奏会の延期も妥当なところだろうが、オリンピック自体はいまだ迷走中なれど、演奏会の方は無事開催である。

今日のプログラムで、聴いたことがあるのは古関の「オリンピックマーチと團の交響曲のみである。入野と三善の作品は初めて聴く。生で聴くのは4曲とも初めてだ。

まずは古関の「オリンピックマーチ」からである。この曲はお馴染みではあるが、実は馴染みなのは吹奏楽版であり、今日演奏される管弦楽オリジナル版は、初めて聴くかもしれない。この曲は、オリンピックの入場行進曲だからといって、やたら勇ましいだけのマーチではない。実に格調の高い音楽なのである。管弦楽版で聴くと、それをなおさら感じる。57年前の東京オリンピックは戦後復興を遂げた日本の、繁栄と発展を象徴する大会だった。まさにそれに相応しいマーチである。今回のオリンピックは、その精神を忘れてしまったので、このような事態になっているのだと、音楽を聴きながら思ってしまう。

続いては、入野の交響曲第2番だ。前述のとおり初めて聴く曲だ。(第1番はCDで聴いている。)  急緩急緩急の5楽章構成の曲であるが、なかなか一筋縄ではいかないような、ちょっと捉えどころが難しいような、そんな印象を持った。プログラムの解説を読むと「なるべく多様な表現をと考えた曲」だそうで、多彩な曲想が次々と展開するのも、そういうことのようである。とはいっても、それぞれがバラバラになっているのではなく、全体として統一感を保っているようには感じたし、独特の雰囲気が面白い曲であり、改めてじっくり聴いてみたいと思う。(今日の演奏会もCDになるのかな?)

休憩のあとは三善の「管弦楽のための協奏曲」だ。ソロ楽器とオーケストラの協奏曲ではなく、オーケストラの各楽器群が、それぞれの立場で競い合うというような音楽である。これがなかなか強烈な音楽であった。3楽章構成ながら短めの曲なのだが、いきなり激しく音響が炸裂するような第1楽章から始まったかと思うと、第2楽章は静謐な響きで、そのあと再び爆発。初めて聴く曲だったので、もう何がなんだかといううちに終わってしまったような感じだが、これも改めてじっくりと聴きたいと思った。

最後は團の交響曲第6番である。團の番号のついた6つの交響曲はひととおりCDでは聴いていたが、生で聴くのは初めてだ。駿河銀行の委嘱で作られた2曲のうちの1曲で、第4番が「神奈川」、第5番が「静岡」だそうだが、神奈川県民としては、この第4番をじっくりと味わいたくなる。團の交響曲では唯一の4楽章構成の曲だが、それもあって実に内容の濃い作品だと思う。エネルギッシュな第1楽章、ゆったりとした第2楽章を経て、第3楽章のメヌエット。この楽章は一度聴いたら耳から離れない、どこかユーモラスな旋律が印象的だ。最後の第4楽章は、神奈川県のわらべ歌「ぼぼぎや」が引用されているということだが、神奈川県民なのに、そのわらべ歌は知らないのであった。(神奈川でも田舎の方の歌なのね?) 聴き終わったらお腹いっぱいの充実の交響曲であった。

もともと予定していた時期から1年延期しての演奏会。その間、さらに磨きをかけたのだろう。演奏も素晴らしく、あまり生で聴く機会が多いとはいえない曲を、初めて聴く曲も含めて、十分に堪能することが出来た。演奏会が終わっても、まだ雨は止まない。風もまだ強く、なんという天気だと思うが、そんな気分も吹っ飛ぶ素晴らしい演奏会であった。
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