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2020年11月01日17:24

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「ブラームスの協奏曲とドイツ・ロマン派の音楽」 (西原稔著、現代芸術社)

ブラームスの4曲の協奏曲について、これらの作品が、ドイツ・ロマン派の音楽の中で、どのように位置付けられるのかということを、個々の作品を細かく分析しながら述べた本である。当然ながら、先人の作曲家の影響はブラームスも受けているはずだが、それを豊富な譜面例を掲載しつつ具体的に記述している。ややこじつけ気味に見える箇所もないではないが、ヴァイオリン協奏曲についてはヨアヒムの多大なる協力があったことは面白い。ヴァイオリニストの視点で「添削」しているのだ。ピアノ協奏曲は交響曲的、二重協奏曲は室内楽的要素もあるが、それもいろいろな背景があるのだ。


●「魚食の人類史」 (島泰三著、NHKブックス)

ホモ・サピエンスは体毛もなくいわば裸、その上に骨格も華奢と、生存競争には不利としかいいようがない。そんなホモ・サピエンスが不利を乗り越えて繁栄していったのは、「魚食」のおかげであるという。アフリカに起源を持つ人類の進化の過程で、豊富な海産物を獲得することで、世界中に拡散していったのだ。他の霊長類には「魚食」はほとんど見られない。このようなことを、人類誕生から日本列島の漁撈採集に至るまでの壮大なストーリーとして述べている。海産物をいつも捕ることが出来た祖先だけが必要な養分をとることができて今日につながっているということは、ホモ・サピエンスが今後も繁栄し続けるためには「魚食」が需要な要素となると結論できるのだ。


●「問題発見力を鍛える」 (細谷功著、講談社現代新書)

VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代には、これまでのような「問題解決力」ではなく、「問題発見力」が重要になってくるということを、くどくどと述べた本。何が問題か分かっていれば、それはAIにも解くことが出来る。むしろAIの得意な領域である。しかし、AIは問題を発見することは出来ない。これこそ、AIではなく人間に求められるものなのである。このような話は今さら感があるが、実際のところ、これまで問題解決力を重視してきたのを、根本から変えるにはまだ時間がかかるだろうなというのは実感している。


●「あなたとオムライス」 (山口惠以子著、ハルキ文庫)

「食堂のおばちゃん」シリーズの第8作。佃のはじめ食堂とその常連客のさまざまな出来事を、料理に絡めたストーリーで描く。毎回新たなメニューも加わるので読者を飽きさせない。常連客の廉平は気楽な独身貴族だが、そろそろ身を固めてほしいと周囲が後押し。同じく常連客で、料理研究家の瑠美も独身。2人の間に微妙な雰囲気が漂っている。タイトルにもなっているオムライスは、常連客の後藤の、亡き妻との若き日の思い出につながるが、その後藤も亡くなってしまう。登場人物が亡くなるのはシリーズ初めてのことだろう。今回はちょっとしんみりする話であった。
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