フランク永井が活躍したのは1950年代の後半から約30年です。「有楽町で逢いましょう」が1957(S32)年に大ヒットを始めたことから、デビュー当時の盤まで注目されました。
SP盤の時代です。1960(S35)年の1月に「鈴懸の頃」(三浦洸一「流転」とのカップリング。ちなみに「流転」は1937年の上原敏の歌った曲とは同名異曲)がSP盤の最終で、これ以降はEP盤に代わります。
レコード会社は抱える歌手陣の売り込みに常に必死です。映画や舞台に、全国の催しへの参加と、やはり一般のいちばんの娯楽であったラジオでの採用です。
歌ができると、各放送局へ「白ラベル盤(見本盤)」を配って、放送で使ってもらうように依頼します。また「平凡」「明星」などの芸能娯楽誌に情報を流して掲載をしてもらいます。
これと並行して一般のファン向けに出されたのが、宣伝を兼ねたオムニバス盤です。売り込みたい歌手と曲を入れ込んでLP盤にします。これはレコード会社のなかのいくつかの部隊が、独自の企画でさまざまな盤がだされました。商品盤です。
シリーズ化したのは「ビクター流行歌ヒット集」「魅惑のオール・スターズ」「花のステージ」「オール・スターズ歌の星座」「歌の花束」「ゴールデン・ヒット・ソング」「流行歌BEST15」「ポピュラーBEST15」等々多彩です。
私の何十年もこれらの全容を知るべくいろいろと機会をみて、調べてきましたが、いまだその全容はわかりません。およそ半数は埋まったかなといったところです。
今回紹介したいのは、その中の「ゴールデン・ヒット・ソング」シリーズです。
1963年に第1集がでています。確認できている最終は1968年の第25集です。
1963 LV-325 第1集 霧子のタンゴ
第2集 (不明)
SJV-55 第3集 大阪ぐらし
1964 SJV-62 第4集 大阪ぐらし
1965 SJV-85 第5集 恋うた
1965 SJV-88 第5集 霧笛の道
1965 SJV-104 第7集 男なら
1965 SJV-114 第8集 アコちゃん
1965 SJV-130 第9集 妻を恋うる唄
1965 SJV-149 第10集 東京しぐれ
1965 SJV-161 第11集 熱海ブルース
1966 SJV-169-7 第12集 水のように
1966 SJV-188-9 第13集 君待てども
1966 SJV-207-8 第14集 女には涙がある
SJV-220-1 第15集 遊侠一匹
1967 SJV-253-4 第16集 大阪ろまん
1967 SJV-260-1 第17集 みれん酒
1967 SJV-281-2 第18集 マンション・ブルース
1967 SJV-296-7 第19集 夕陽のジャマイカ
1967 SJV-308-9 第20集 生命ある限り
SJV-319-0 第21集 (なし)
1968 SJV-337-8 第22集 風と二人で
1968 SJV-349-0 第23集 (不明)
1968 第24集 (不明)
1968 SJV-375-6 第25集 堂島
1970近くになると、フォークやニュー・ミュージックなどの若いアーチストによる多彩な歌が流行するようになります。そうした流れで別のシリーズに代わりますが、やがて、ジャンルを超えたオムニバス盤は消えていったようです。
だが、フランク永井が活躍した時代はまさに「レコード盤」の時代で、これでもかとユニークな取り組みがありました。残念なことにその全容が解明されていないようです。私の場合は、フランク永井をベースにしたアプローチであることから、とても視野が狭くなっていて及ばないのです。
そのあたりをどなたか突っ込んでいただいて、解明していただければ、そこから新たな大衆文化の光が見出せるかもしれません。そんなことを模索しながらときどき、手持ちのオムニバス盤を聴いています。
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