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2020年03月30日21:06

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

最近読んだ本の備忘的メモ

●「ベートーヴェンの器楽・室内楽の宇宙」 (中村孝義著、春秋社)

ベートーヴェンの作品のうち、ピアノソナタ、ピアノ三重奏曲、ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、弦楽四重奏曲に焦点をしぼった本である。ベートーヴェン自身がピアニストとしても優れていたことから、ピアノ作品と弦楽四重奏曲では、作品に対する考え方の違いも見られるが、すでに確立していた「定石」にとらわれることなく、自らの理想を追い続けたことには変わりない。あまり主流ではなかったピアノ、ヴァイオリン、チェロの三重奏曲から作品番号が始まったり、それまでなかったチェロとピアノのソナタを早いうちに生み出したり(作品5)というのも、改めて見ると興味深い。ベートーヴェンの作品は結構聴いているが、聴けば聴くほど新たな発見があるような、奥が深い曲ばかりなのである。


●「駅名学入門」 (今尾恵介著、中公新書クラレ)

「高輪ゲートウェイ」のような駅名が、なぜ出来てしまうのか。そもそも駅名とはどういう考えのもとに付けられてきたかを、明治以来の歴史的変遷をたどり、その駅名がどう変わり、さらに「キラキラ駅名」が生まれ出した背景などを、地図研究の第一人者が詳述した本である。駅名は駅のある地名を付けるのが最も妥当だが、旅客誘致のための観光駅名、戦時中の防諜対策改名、そして、戦後の住宅地開発と連動したブランド駅名などが出てくる。著者は、歴史的地名に基づいた駅名ではない「キラキラ駅名」を好んでいないことは他の著作でも繰り返し述べていることだし、私も全く同意である。キラキラ駅名の本場(?)であるつくばエキスプレスのみらい平駅付近など、まるで幼稚園のようらしい。


●「万華鏡の女 女優ひし美ゆり子」 (ひし美ゆり子/樋口尚文著、ちくま文庫)

昨年の「冬木透コンサート」で、ゲストのひし美さんと樋口さんが言っていた本だなと、書店で見かけて即購入。我々の世代の男の子にとって、ひし美ゆり子(当時の芸名は菱見百合子)はアンヌ隊員として、いわば永遠のアイドルなのである。樋口がひし美にインタビューした内容と、樋口の文章で構成されており、東宝時代の菱見、「ウルトラセブン」のアンヌ、そして東宝との契約が切れてフリーになったあとはセクシー映画やヤクザ映画と、それまでとは全く異なる世界で活躍する。そして女優引退後に、再び「アンヌ・ブーム」が訪れる。一過性という宿命を持ったTV番組がDVDなどで復活し、アンヌは「過去のもの」でなくなったのだ。実際、現在のひし美さんを見ても、実年齢とはギャップがあるくらい若々してきれいなのは事実である。


●「次のテクノロジーで世界はどう変わるのか」 (山本康正著、講談社現代新書)

今さらな感もあるが、「AI」によるデータを使った判断、「5G」によるデータの高速化、「クラウド・ビッグデータ」によるデータの保存処理の次世代技術の三本柱によって、世界がどのように変わっていくのかを述べた本。データはあらゆる価値の源泉となり、あらゆる企業がサービス業になり、これまでの形態ではない新たな形で収益を得る仕組みができ、業界の壁が消えて、職種という概念がなくなるというものである。たとえ優れた技術であっても、日本国内だけにしか通用しないものは淘汰されていく。私のようなメーカのエンジニアも、この流れに当然乗っていかなくてはいけないわけだが...


●「カレーの世界史」 (井上岳久著、SBビジュアル新書)

カレーが、どのように生まれ、どのように広がっていったかを、概観的に書いた本である。一口にカレーといっても、その種類は千差万別である。紀元前からインドではカレーの起源らしきものがあったという。世界に広がっていったのは、決して明るい話ばかりではなく、奴隷支配、身分制度による階級差別、宗教上の禁忌など、様々な要因があったのだという。そして、世界各地の食生活に合うように変化していったのである。日本にカレーが伝わったのも諸説あるが、最初は気味の悪い食べ物として避けられていたらしい。今や日本でカレーはどこでも食べられるし、レトルト・カレーも優に100社を超えるところから販売されている。カレー好きとしては楽しい本である。
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