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2019年07月22日08:57

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野党共闘の成果と限界

 2019年の参院選は、124議席を争うなかで自公が71と過半数を獲得した。全体として改憲に必要な3分の2を割り込んだという見方もあるけれども、仮に上回っていたとしてもそれで一気に改憲が進むとは思えないので、これはひとつの目安に過ぎない。

 選挙前77あった議席が71になったのは、自民が選挙区を落としたところがあったからだ。特に現職で敗れているところが目立つ。
 一人区のうち、新人を擁立した愛媛を除いた、岩手、宮城、山形、新潟、滋賀、大分はいずれも現職が敗れた。また広島は二人区だけれど、ここも現職が一人落選している。広島はやや差があるものの、このほかはいずれも僅差である。

 これは、立民・国民・社民・共産が候補者を一本化した成果だといえよう。野党共闘が一定の成果をみせたことを示している。

 ただ、これによって野党共闘に弾みがつくかというと、そう簡単でもない。なぜなら複数区では候補者を乱立させていて、票が分散してしまっているからだ。

 政治学の基礎に、ディヴェルジェの法則がある。選挙の定員Mに対して、候補者はそれに1足した数に収束していくという。つまり一人区であれば、2名の候補者、三人区であれば、4人の候補者という傾向がみられるという。
 選挙を手堅く抑えようとすれば、乱立させるよりも勝てる候補者に一本化したほうがいい。選挙を繰り返すなかで、そういう意識が擁立する側にも生まれてくる。

 日本の場合、大まかにいって自公・民主系・維新・共産にブロック分けできる。このうち、最も選挙協力がうまくいっているのが自公で、1999年以来、選挙を繰り返すなかで候補者調整が進んだ。
 逆に旧民主系は、選挙前に分裂することが多く、そこで「同士討ち」がしばしば見られた。敵が敵であるよりも、味方が敵になったときのほうが憎悪されるように、これが野党共闘のネックになっている。地方支部レベルで感情的なしこりが残るからだ。
 共闘にはむしろ共産が積極的な一方、旧民主系では共産との共闘に消極的なところもある。

 2000年代は、日本の政治も二大政党制を目指すべきという論調が高まった。旧民主は、その期待を担って躍進し、一度は政権も獲得した。
 しかし、民主党政権といわれているものも、実際は社民・国民新との連立だった。ところが民主執行部は、政権の主導権に固執するあまり、連立相手への配慮を欠き、それが社民の離脱につながった。
 その前後の日本政治をみても、実態としては二大政党制ではなく、二大ブロック多党制であると述べているのは、中北浩爾『自公政権とは何か』(ちくま新書、2019年)である。野党共闘も、この認識を前提に進めていくべきと思われる。民主系が再統合するにしても、このままでいるにしても、純化路線を前提とするのではなく、諸派連合的な緩さは許容すべきだろう。

 また今回の選挙では、維新が比例で10%近い得票率を得たことと、れ新が4.5%を得て2議席獲得したことも特徴である。右派、左派のポピュリズム政党が一定の支持を得たことを示しており、これも今後、多党制の行方を左右することになる。

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■「改憲3分の2」維持できず=自公、改選過半数−れいわ・N国が議席【19参院選】
(時事通信社 - 07月22日 05:01)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=5715858
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