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2018年12月17日19:14
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「カタストロフと美術のちから」展 / 森美術館
12/9(日)、TBSK管弦楽団第9回定期演奏会の深い感動を「Ewig… ewig…」と胸の内で繰り返しながら、電車を乗り継いで、六本木に出た。
帰りの新幹線は20:00前の指定、ヒルズ53階の森美術館に入ったのはちょうど17:00頃。
のんびり観ている余裕はない。
開館15周年記念展「カタストロフと美術のちから」
・会期 ’18.10/6〜’19.1/20
ここで言う「カタストロフ」は「大惨事」である。地震や津波等の天災、事故や戦争、テロ、その他カタストロフは終わる事なく続いている。
様々な問題が山積みになっている今日の国際社会で美術が果たす役割を改めて問い直す展覧会である。
個室でひとり愉悦に浸るのは美術に非ずとは言わないが、今展では社会とつながり、何らかの変革を目指そうとするものを集め、多くの人に考えさせる事を意図している。
社会をより良くする可能性を持つ作品、社会に変革をもたらす事を求める作品は、「ソーシャリー・エンゲイジド・アート(SEA)」に限らない。
強い社会的メッセージを込めた作品は、日本でも少なくない。
2011年の東日本大震災は日本社会を変えてしまった。それは美術も同様である。
7年の歳月で復興はどれ程進んだろうか。政治家の言葉はごまかしが多く、国民に忘れさせようとばかりしている。既に震災体験やその記憶は風化し始めていないだろうか。
人々の記憶を蘇らせ、議論を再燃させようとする作品も今回多数集められた。
展覧会に先行して「プレ・ディスカッション・シリーズ」と題したトークイベントも5回設けられ、専門家、当事者、有識者、美術家が招聘され、議論を深めた。
人は全てを体験する事はできない。実際の事例や経験を聴き、会話する事は、デマゴーグに右往左往せず、真実を知る上で大変に重要だ。
展覧会は2つのセクションによって構成されている。
��.「美術は惨事をどのように描くのか〜記憶、再現、想像」
��.「破壊からの創造〜美術のちから」
��.
手法は様々である。写真、写実、フィクション、抽象…。
しかし、描かねばならないのは、見えるものばかりではない。
グローバル規模でバーチャル化した巨大資本が引き起こした2008年の世界金融危機、福島第一原発事故によって拡散した放射能、それらを描出しようとする作品も。
作家は惨事や恐怖をどのように記録し、再現し、他者と共有して未来に語り継ごうとしているのか。
撮影可としている作品が多く、ここでもスマホで撮ってきた。
入ってすぐ目の前に突き付けられるのはトーマス･ヒルシュホーンの《崩落》(2014)。
今展のために作られた巨大な造形。
言葉は要らない。
参〜森美術館サイトより)https:/
・・・・・・
池田学《予兆》(2008)
池田は船が漂着するイメージを細密ペンで描いた、全体像を定めず細部の膨張に任せて。
2008年のこの絵が何の予兆だったのか、それは明示されていない。
池田の作品はもうひとつ《誕生》(2013-16)がセクション��.に展示されている。
《予兆》と《誕生》は恐らくひと続きで、池田は災害を乗り越える人々の再生の希望を描いている。
・・・・・・
モナ･ハトゥム《ミスバー(ランプ)》(2006-07)
天井から吊るされたランタンが回転すると、銃を持つ兵士達も動きだす。あちこちで爆発の光。
ハトゥムはレバノンのベイルート生れ。
ユーモラスだが怖い。
��.
大惨事は私たちを絶望に突き落とす。が、その一方で、その惨状が作家の創作の契機となる事もある。
美術は医学や土木建築分野と違い惨事に対する即効薬にはならないが、社会に対する長期的な治療薬にはなるかもしれない。
希望のメッセージを伝達するもの、理想の未来を考えさせるもの、傷付いた心身を癒すもの、チャリティとして経済援助となるもの、等々、「美術のちから」は実に多様だ。
・・・・・・
アイ･ウェイウェイ《オデッセイ》(2016/18)
古代ギリシアの壺絵を思わせるが、描かれているのは現代の難民問題の多数のカットで、それが遂に壁画の大画面となった。
人々は戦争･暴力、貧困等から逃れ、時には海を越えて移動しようとする。
彼等は違法者なのか？安全を求める事は違法か？何故彼等を助けないのか？それは人道的な行為か？
・・・・・・
Chim↑Pom《REAL TIMES》(2011)
福島第一原発事故から1ヶ月後に東電敷地内で撮影された映像と写真で構成される。
放射能防護服で身を包み、日の出の名所とされていた展望台へ向かう道には人影は皆無、ところどころに亀裂や陥没がある。
展望台に到着すると彼等は白い旗に赤いスプレーで日の丸を描き、それを放射能マークに変容させ、白煙を上げる原発を背景にまるでエベレスト登頂記念のように掲げた。
参〜森美術館サイトより)https:/
・・・・・・
最後に展示されているのは、オノ･ヨーコの《難民船》(1960/2016-18)だ。
「色を加えるペインティング」、観客は係員から白と青のクレヨンを貰い、中に入って何処に何を書いてもよい。
部屋の中心には、傾いた難民船があり、今は誰も乗っていない。
彼等は何処へ行ったのか。
芸術と日常生活に境界はない事をこの作品は教えてくれる。
私も参加して書いてきた、
「暴力はいやだ」、「飢え死にはしたくない」、「平和が欲しい」。
それはこの船に乗っていた人達の言葉である。
そんな至極当たり前の事のために、我々はどんな行動ができるだろうか？
それを考えさせるのがこの展覧会の役目だ。
参〜森美術館サイトより)https:/
私の言葉の及ばない作品については以下を参考頂きたい。
・平川恒太《ブラックカラータイマー》(2016-17)
https:/
・ホァン･ハイシン《赤いカーペットの夢#3》(2012)他
https:/
・カテジナ･シェダー《どうでもいいことだ》(2005-07)
https:/
・ミロスワフ･バウカ《石鹸の通路》(1993/2018)
https:/
これで、今回の上京のプログラムは全部終えた。
ムンク〜デュシャン〜カタストロフ、展覧会は重く考えさせられるテーマが多く、少々疲れた。
お腹も空いた。弁当を買って、新幹線の中でビールでも呑もう。
何処からか「Ewig… ewig…」と囁く甘い声がする。
今年の上京はこれでお終い。平成も終わる。
が、どうという事はない。
四季は繰り返し、また春が来る。
…
寝過ごさないように気をつけなければ。
帰りの新幹線は20:00前の指定、ヒルズ53階の森美術館に入ったのはちょうど17:00頃。
のんびり観ている余裕はない。
開館15周年記念展「カタストロフと美術のちから」
・会期 ’18.10/6〜’19.1/20
ここで言う「カタストロフ」は「大惨事」である。地震や津波等の天災、事故や戦争、テロ、その他カタストロフは終わる事なく続いている。
様々な問題が山積みになっている今日の国際社会で美術が果たす役割を改めて問い直す展覧会である。
個室でひとり愉悦に浸るのは美術に非ずとは言わないが、今展では社会とつながり、何らかの変革を目指そうとするものを集め、多くの人に考えさせる事を意図している。
社会をより良くする可能性を持つ作品、社会に変革をもたらす事を求める作品は、「ソーシャリー・エンゲイジド・アート(SEA)」に限らない。
強い社会的メッセージを込めた作品は、日本でも少なくない。
2011年の東日本大震災は日本社会を変えてしまった。それは美術も同様である。
7年の歳月で復興はどれ程進んだろうか。政治家の言葉はごまかしが多く、国民に忘れさせようとばかりしている。既に震災体験やその記憶は風化し始めていないだろうか。
人々の記憶を蘇らせ、議論を再燃させようとする作品も今回多数集められた。
展覧会に先行して「プレ・ディスカッション・シリーズ」と題したトークイベントも5回設けられ、専門家、当事者、有識者、美術家が招聘され、議論を深めた。
人は全てを体験する事はできない。実際の事例や経験を聴き、会話する事は、デマゴーグに右往左往せず、真実を知る上で大変に重要だ。
展覧会は2つのセクションによって構成されている。
��.「美術は惨事をどのように描くのか〜記憶、再現、想像」
��.「破壊からの創造〜美術のちから」
��.
手法は様々である。写真、写実、フィクション、抽象…。
しかし、描かねばならないのは、見えるものばかりではない。
グローバル規模でバーチャル化した巨大資本が引き起こした2008年の世界金融危機、福島第一原発事故によって拡散した放射能、それらを描出しようとする作品も。
作家は惨事や恐怖をどのように記録し、再現し、他者と共有して未来に語り継ごうとしているのか。
撮影可としている作品が多く、ここでもスマホで撮ってきた。
入ってすぐ目の前に突き付けられるのはトーマス･ヒルシュホーンの《崩落》(2014)。
今展のために作られた巨大な造形。
言葉は要らない。
参〜森美術館サイトより)https:/
・・・・・・
池田学《予兆》(2008)
池田は船が漂着するイメージを細密ペンで描いた、全体像を定めず細部の膨張に任せて。
2008年のこの絵が何の予兆だったのか、それは明示されていない。
池田の作品はもうひとつ《誕生》(2013-16)がセクション��.に展示されている。
《予兆》と《誕生》は恐らくひと続きで、池田は災害を乗り越える人々の再生の希望を描いている。
・・・・・・
モナ･ハトゥム《ミスバー(ランプ)》(2006-07)
天井から吊るされたランタンが回転すると、銃を持つ兵士達も動きだす。あちこちで爆発の光。
ハトゥムはレバノンのベイルート生れ。
ユーモラスだが怖い。
��.
大惨事は私たちを絶望に突き落とす。が、その一方で、その惨状が作家の創作の契機となる事もある。
美術は医学や土木建築分野と違い惨事に対する即効薬にはならないが、社会に対する長期的な治療薬にはなるかもしれない。
希望のメッセージを伝達するもの、理想の未来を考えさせるもの、傷付いた心身を癒すもの、チャリティとして経済援助となるもの、等々、「美術のちから」は実に多様だ。
・・・・・・
アイ･ウェイウェイ《オデッセイ》(2016/18)
古代ギリシアの壺絵を思わせるが、描かれているのは現代の難民問題の多数のカットで、それが遂に壁画の大画面となった。
人々は戦争･暴力、貧困等から逃れ、時には海を越えて移動しようとする。
彼等は違法者なのか？安全を求める事は違法か？何故彼等を助けないのか？それは人道的な行為か？
・・・・・・
Chim↑Pom《REAL TIMES》(2011)
福島第一原発事故から1ヶ月後に東電敷地内で撮影された映像と写真で構成される。
放射能防護服で身を包み、日の出の名所とされていた展望台へ向かう道には人影は皆無、ところどころに亀裂や陥没がある。
展望台に到着すると彼等は白い旗に赤いスプレーで日の丸を描き、それを放射能マークに変容させ、白煙を上げる原発を背景にまるでエベレスト登頂記念のように掲げた。
参〜森美術館サイトより)https:/
・・・・・・
最後に展示されているのは、オノ･ヨーコの《難民船》(1960/2016-18)だ。
「色を加えるペインティング」、観客は係員から白と青のクレヨンを貰い、中に入って何処に何を書いてもよい。
部屋の中心には、傾いた難民船があり、今は誰も乗っていない。
彼等は何処へ行ったのか。
芸術と日常生活に境界はない事をこの作品は教えてくれる。
私も参加して書いてきた、
「暴力はいやだ」、「飢え死にはしたくない」、「平和が欲しい」。
それはこの船に乗っていた人達の言葉である。
そんな至極当たり前の事のために、我々はどんな行動ができるだろうか？
それを考えさせるのがこの展覧会の役目だ。
参〜森美術館サイトより)https:/
私の言葉の及ばない作品については以下を参考頂きたい。
・平川恒太《ブラックカラータイマー》(2016-17)
https:/
・ホァン･ハイシン《赤いカーペットの夢#3》(2012)他
https:/
・カテジナ･シェダー《どうでもいいことだ》(2005-07)
https:/
・ミロスワフ･バウカ《石鹸の通路》(1993/2018)
https:/
これで、今回の上京のプログラムは全部終えた。
ムンク〜デュシャン〜カタストロフ、展覧会は重く考えさせられるテーマが多く、少々疲れた。
お腹も空いた。弁当を買って、新幹線の中でビールでも呑もう。
何処からか「Ewig… ewig…」と囁く甘い声がする。
今年の上京はこれでお終い。平成も終わる。
が、どうという事はない。
四季は繰り返し、また春が来る。
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寝過ごさないように気をつけなければ。
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