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2018年11月17日23:34

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中公新書のこと

 私が読む新書は、雑誌の連載などをまとめたようなものでなく、書下ろしばかりなのだけれど、そうなると選ぶものは限られてくる。だいたいが、岩波新書、中公新書、講談社現代新書のいわゆる御三家に、ちくま新書を加えるくらいである。
 そのなかでも、中公新書が頭ひとつ抜け、続いて岩波新書、あとはぐっと減る。いまのところ、新書では中公が扱うテーマといい、内容といい、飛びぬけている。岩波新書も、少し前まではあまり惹かれるものがなかったけれど、最近になって少し持ち直してきている印象がある。

 中公新書の凄さは、しばしば触れているけれど、有能な若手の学者を起用して、学術的に高いクオリティのものを書かせているところ。もちろん例外もあるけれど、研究者が論文などに最も打ち込めるのは院生から若手の間で、優秀な人はやはりすごいものを世に送り出す。そこから先は、教員や研究者としての雑務が増えるなどして、なかなか時間が取れなくなりがちだ。
 でも、そういう若手を見出せる編集者も、実は多くない。博論や専門書が出た段階では、まだ知名度も低いから、内容によほど自信がなければ、売り上げにも貢献できない。だから、綿密な打ち合わせはもちろん、上がってきた原稿についても、ペン入れで真っ赤になるくらい、編集者も関わる。こうした校正ができる出版社、編集者自体がもう相当限られてしまっている。
 売り上げだけ考えたら、メディアなどで露出の多い著名人に似たようなものを何冊も出すようにしてもらったほうが手間もかからずいいはずだ。実際、ほとんどの新書はそういう構成になっている。

 新書の発売は、毎月中旬から下旬。今年もあと二回あるけれど、中公は最後まで攻めている印象だ。ここで触れる本もしばらくは中公、岩波という感じが続くような気がする。
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