雨が降る土曜日。台風が近づいていて、明日の深夜から明後日の未明にかけて、関東も暴風雨になる恐れがあるというが、今日はまだ穏やかだ。そんな午後も、やはり川崎で音楽を聴いた。「ドビュッシー没後100年記念」と題する、小川典子さんのピアノリサイタルである。
今日のプログラムは次のとおりである。
・ドビュッシー: 版画
・ドビュッシー: 映像 第1集
・ドビュッシー: 映像 第2集
・ドビュッシー: 前奏曲集 第1集
・ドビュッシー: 喜びの島
ピアノ:小川典子
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール (14:00 開演)
オール・ドビュッシー・プログラムである。ドビュッシーのピアノ曲をまとめて聴く機会は今までなかったような気がする。今日はドビュッシーを心ゆくまで堪能しよう。
小川典子さんが登場すると、演奏の前にまずはマイクを使って挨拶。小川さんの大好きなドビュッシーだけのプログラムということであるが、「リズムがはじけるようなノリのいい曲はありません。各曲のタイトルからも分かるように、ポエジーな曲ばかりです。」と説明があり、照明の演出もあるとのこと。マイクを持って一旦下がり、再び登場して演奏が始まる。
前半は、「版画」、「映像1」、「映像2」である。それぞれ3曲ずつからなる。照明は落として客席は暗く、小川さんにだけ照明が当たる。パイプオルガンにも光があたり、これが曲に合わせて微妙に変化するのである。
さすがドビュッシーが大好きと言うだけあって、演奏は素晴らしいものだった。完全にドビュッシーが小川さんと一体となった感じである。聴いていて実に心地よい。心地良すぎて「映像2」の最後の方は眠くなってしまった。小川さん、ゴメンナサイ。でも、本当に心地よかったのである。退屈だった訳ではない。小川さんの演奏は、おかしなところもなく、ミスタッチもなく、安心してドビュッシーの音楽だけに身を委ねることが出来たのである。
後半は「前奏曲第1集」を12曲続けての演奏である。有名な「亜麻色の髪の乙女」を含む、素敵な12曲だ。こちらも前半と変わらず、聴いていて心地よい演奏だった。後半は眠くならず、しっかりと聴くことが出来た。何回か照明が微妙に変化して、演出効果もそれなりに(あまり大袈裟なものでなく)楽しめる。
最後は「喜びの島」でしめて、素敵な演奏会のプログラムが終了した。小川さんが、またマイクを持ってきてトーク。「ピアノ演奏歴30年の中で、ドビュッシーだけを弾いたプログラムは3回くらいしかありません。それだけに今日は感慨深いです。」とのことである。最後に、アンコールは「月の光」を弾いてくれた。黄色か青色1色だけだった照明が、「月の光」の時は2色になり、雰囲気を作る。ああ、「月の光」も美しい。
ドビュッシーのピアノ曲だけのプログラム。とても素敵な演奏会だった。
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