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2018年09月06日21:29

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

最近読んだ本の備忘的メモ。

●「佳代のキッチン」 (原宏一著、祥伝社文庫)

中古のワゴンを改造して移動調理屋を始めた佳代。食材を持ち込めば、お客の希望によっていかようにも調理するという商売だ。ワゴン車で寝泊まりしつつ、中野、横須賀、京都、松江、押上(墨田区)、盛岡、函館と旅を続ける佳代。実は15年前に失踪した両親の手がかりを求めての旅であり、料理を通じて土地の人々と触れ合いながら、様々な人生やちょっとした事件とも出会いつつ、両親失踪の謎を解く鍵が徐々に見えてくる。それぞれの土地でのエピソードにもほろりとするような話もあり、「ちょっといい話」が満載の、心に染みる小説だ。


●「AI vs教科書が読めない子どもたち」 (新井紀子著、東洋経済新報社)

人工知能(AI)技術の進展は著しい。しかし、この本の著者は言う。AIが神になる?−なりません。AIが人類を滅ぼす?−滅ぼしません。シンギュラリティが到来する?−到来しません。AIは万能ではない。真に人間の知能を超えることは有り得ない。人間ならば単純明確なことがAIでは「理解」できないのである。AIは「推論」、「イメージ同定」、「具体的同定」が出来ない。だからといって、AIに仕事を奪われる心配はしなくていいかというと、そうではない。中高生の「読解力」の低下が著しいのである、それでは、いずれAIに取って変わられてしまう。教科書の内容が読めない中高生を何とかしなければ未来はない、というのが結論のようだ。


●「和食とはなにか」 (原田信男著、角川ソフィア文庫)

「和食」がどのように生まれ、どのように形作られてきたのかをまとめた本である。和食の源流ともいえる米と魚の文化、和食の原形ともいえる神饌料理、高度な調理技術による精進料理、中国からの料理の伝来と融合、和食を支える発酵と調味料、江戸文化で拡がる料理文化、そして現代の和食へと、歴史を追って記した興味深い内容である。欧米でも好まれ、グローバル化しつつある「和食」。あれは「和食」ではないという人も多いが、日本のラーメン、カレーライス、トンカツなどの「洋食」も、外から見たら「違う料理」であり、同じことだ。


●「ブルックナー 交響曲」 (ハンス=ヨアヒム・ヒンリヒセン著/高松佑介訳、春秋社)

ブルックナーの交響曲について体系的に解説した本である。最初に時代背景や、交響曲作曲家ブルックナーの全体像を述べ、そのあとはヘ短調、ニ短調(通称「第0番」)を含む全11曲についての、詳細な解説が述べられている。各曲がどのように構成され、またどのように改訂されていったかについても書かれているが、文章を読むだけでは正直分かりにくい。しかし、楽譜が多く挿入されているため、譜面を追いつつ読めば分かるのである。(譜面を見れば、それを頭の中で音にして、どの部分かが分かる程度の知識は自分にあるらしいことに気付く。) この本を読んだら、まとめてブルックナーの交響曲を聴きたくなる。(これが先日の日記である。)


●「タルト・タタンの夢」 (近藤史恵著、創元推理文庫)

下町にあるフレンチ・レストラン。気取らない小さな店で、無口なシェフの作るフランスの家庭料理は、本当にフランス料理が好きな人の、舌と心をつかむものばかり。そんな店に来る客のちょっとした「事件」の数々。それを探偵よろしく、見事な推理で解決するシェフ。最高の料理を伴って...。表題の「タルト・タタンの夢」を含めて7編の短編小説を収める。一応ミステリー小説に分類されるようだ。そこに登場するのは、タルト・タタン、ロニョン・ド・ヴォー、ガレット・デ・ロワ、オッソ・イラティ、カスレ、などの料理の数々。フランス料理など滅多に食べない私だが、「気軽に楽しめる絶品フレンチと極上の謎」を楽しめる。なんとなく面白そうと手に取った本だが、これは面白かった。ごちそうさま。


たまたまだが、今回は食に関係した本が多いなあ。
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