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2018年03月08日13:34

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韓国・北朝鮮の南北首脳会談

 韓国と北朝鮮の南北首脳会談が、来月末にも行われる見通しとなったことについて、巷ではさまざまな反応がある。その立場は大まかにいって二つに分かれる。ひとつは、首脳会談の合意を高く評価するものであり、もうひとつは疑問視する見方である。
 これについて興味深いのは、合意そのものを高く評価しがちなのは、韓国の融和政策を支持し、北朝鮮や韓国の外交姿勢に一定のシンパシーを抱いている人たちと重なっているところだ。逆に、合意を懐疑的にみているのは、北朝鮮を敵視し、韓国に対してもあまりいい印象を抱いていない人たちと重なる。

 実際のところ、首脳会談合意に至る過程で何が話し合われ、どういう見通しのもと了解したのかという具体的な情報が出ないなかで、当事者でもない私たちが明確な答えにたどり着くことはできない。
 ではなぜ、この段階から評価する声があるのかといえば、恐らくは北朝鮮、韓国のイメージやオデオロギー的な先入観がそうさせているのだと思われる。
 そこで感情による判断からなるべく自由であるためには、過去の事例を見つめ直すことが求められる。

 韓国と北朝鮮の南北首脳会談は、過去二回、行われている。一回目は2000年、二回目は2007年である。北朝鮮に対する融和政策に基づいて、韓国側は経済支援などを約束した。しかし、友好ムードは一時的であり、北朝鮮はその後も核開発、ミサイル実験などを続けてきた。
 こうした経緯がある以上、今回の合意に懐疑的な見方が広がるのは、無理もない。それでも韓国は当事者としてこれらの教訓を踏まえた姿勢で臨むと思われる。首脳会談の実施がすなわち外交的敗北みたいな見方も、いささか悲観的だろう。

 より問われなければならないのは、今回の南北首脳会談に応じた北朝鮮の思惑、現状だろう。この実現には、日米韓が行っている経済制裁が威力を発揮したとの見解もある。経済活動に必要な資源について輸入が制限されるなかで、北朝鮮の取り得る選択肢は狭まっていた。これを打開するには、韓国を介して米国と交渉をし、制裁の解除を得るしかない。
 他方で経済制裁が外交においてどういう効果をもたらしたのかというのは、数値などで可視化することは難しく、こうした見解も推測の域を出ない。ただ、経済制裁の次には武力行使という選択肢も出てくるわけで、それを回避するには北朝鮮側としても、何らかのアクションが必要だった。南北首脳会談は、そういうタイミングで開催されることになる。

 日本の世論は、どちらかといえば北朝鮮を制裁によって体制崩壊など、降伏にもっていくことを望む見方が広がっている。それゆえに首脳会談は韓国側の妥協によるものといった批判も多く聞かれるのだろう。
 けれども、日本にとっての半島情勢はつまるところ、自らに悪影響をもたらさない状況になることこそ望むべきものであって、北朝鮮の体制がどうあるべきかなどということは、実はそれほど重要ではない。
 確かに、しょっちゅうミサイルをこちらに撃ってこられるのは、迷惑以上のものなのだけれど、体制の崩壊は場合によって、半島有事をもたらし、対馬海峡や日本海における安全が脅かされる懸念もある。それに比べたら、秩序が維持されたほうがマシである。

 そういう意味で、南北首脳会談の実施は日本にとってもそれ自体が悪いものではない。むしろ会談によって、その後の展開がどう変化するのか、そこにこそ注目すべきだろう。少なくとも北朝鮮にとって、交渉相手として望んでいるのは米国であり、韓国を通じて水面下での接触を狙っていくものと思われる。要するに日本の関与は限定的とならざるを得ない。それは過去においてもそうだったし、現在はそれ以上に日本のプレゼンスは低下している。

 海を隔てた国同士のことであり、日本にとっても関心が高まるのは当然なのだけれど、感情よりも冷静な見通しのもと、韓国、北朝鮮との関係は続けていかなければならない。
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