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2017年10月02日12:35

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ヨーロッパの独立運動 その傾向と歴史

 ヨーロッパの独立運動といえば、近年ではイギリス北部のスコットランドが、独立の是非を問う住民投票を2014年に行ったことが記憶に新しい。これはスコットランド在住の人びとを対象として、イギリス政府も公認した投票であったけれども、結果は反対が55%を占めて否決されたものの、投票が近づくにつれて賛成派が勢いを増し、事前の世論調査では一時、反対を上回ることもあった。投票率も85%近く、住民たちが独立の是非について高い関心を抱いていたことをうかがわせる。

 このほかにも、ドイツやイタリア、フランスなど各地で、規模の大小を問わず、独立運動は存在している。特徴としては、特有の地域言語を有し、独立を支持する政党が運動を牽引している点で共通している。

 ヨーロッパは、近世以降、国家の統合がみられ、それによっていち早く近代化を成し遂げたと考えられてきたけれども、実態はそれほど単純ではない。ヨーロッパの近世は、しばしば絶対王政という、王権の集中と合理化によって説明されてきた。
 しかし近年の研究から、近世国家といっても、王は地域ごとの領主や貴族の意向に配慮せざるを得ず、彼らに一定の自治を認める見返りとして、自らへの支持を求めていたことが明らかとなりつつある。もちろんこれは、国や地域、時期によっても違いがあるにせよ、領主の自治権は近世以降も、我々が抱いてきたイメージ以上には強かったと考えていいだろう。

 したがって、近世の絶対王政は、王権の及ぶ地域ごとに宗教(カトリック、プロテスタント各宗派)、統治、経済の独自性をある程度は残しながら運営がなされた。そういうなかでも、宗教問題や領主連合の反乱などをきっかけとして、大規模な戦争に発展することもあり、それがさらに国家や社会のあり方を変えてきたということができる。

 ヨーロッパ各地の独立運動も、その発端は地域ごとに経済や文化圏が自立したかたちで存続したことによる。そういうなかで、大国間の国境紛争に巻き込まれたり、実際に領土が分割されたり、時代によって移り変わっていったりするなかで、独特のアイデンティティが育っていったということなのだろう。

 スペインの場合も、もともと地中海貿易で栄えたカタルーニャ地方と、大西洋を隔てた新大陸に広大な植民地を有するようになったスペイン王国自体とは、社会や文化、経済的にも違いが大きい。加えて、フランスとの国境に接しているために、近世から近代にかけての戦争に巻き込まれやすかった。
 20世紀以降は、移民の流入や内戦のため、政府からしばしば弾圧を受けている。そのことがかえって、ナショナリズムを高揚させた点も否定できない。

 近年では、スペイン政府の承認を得ない、独立の是非を問う住民投票を繰り返し行っている。これによれば、独立に賛成する票が、8割から9割を占めている。しかしながら、投票率は、逆に2割から3割程度にとどまり、住民においてなお、独立に向けての積極性には濃淡があるように思われる。

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■カタルーニャ独立派が勝利宣言 政府、対話の余地は残す
(朝日新聞デジタル - 10月02日 08:24)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4793154
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