mixiユーザー(id:12784286)

2017年01月29日20:02

1223 view

【音楽】 ラスベート交響楽団演奏会@ルネこだいら

まだ1月であるが、日中の寒さはいくぶん和らいできたような気がする。今日は今年5回目のコンサートに行った。ラスベート交響楽団の定期演奏会だ。

ラスベート交響楽団の演奏会に行くのは初めてある。楽団名のラスベート(Рассвет)とは、ロシア語で「夜明け」を意味し、ロシア語名を付けていることからも察せられるように、ロシア音楽中心のオーケストラのようだ。中でもグラズノフを積極的に取り上げており、昨年から、改めてグラズノフ交響曲チクルスとして全曲演奏を目指すことにしたという。グラズノフがメインのアマオケというのも珍しいのではないだろうか。

そんな訳で、今日のプログラムは次のとおりである。

 ・ベートーヴェン: 「エグモント」序曲
 ・ボロディン: 交響曲第3番 (グラズノフ補筆)
 ・グラズノフ: 交響曲第3番

   指揮:小久保大輔
   会場:ルネこだいら (14:00開演)

会場のルネこだいらも実は初めてである。そもそも小平自体が、普段の生活圏とは縁が薄い土地だ。自宅最寄駅から最短ルートで行ったが、府中本町、西国分寺、国分寺、萩山と、4回も乗り換える。単線のローカル線、西武多摩湖線も久しぶりに乗った。

小平には早めに着いたので、駅近くの蕎麦屋「清川」で天ぷら蕎麦を食べる。雰囲気のいい、美味しい店だった。ルネこだいらは駅南口からすぐで、迷わずに行けた。大きいポストが目印だ。

会場に入り、時間になると、まずはベートーヴェンの「エグモント」序曲から始まる。このオケの演奏初体験はどうかと思っていると、これが非常に素晴らしい。ややゆったりしたテンポで、序曲全体が完結したドラマのようなこの曲を、じっくりと聴かせてくれた。これは、このあとの演奏も期待出来る。

2曲目はボロディンの3番だ。未完成の作品であり、第1楽章と第3楽章になるはずだった2つの楽章を、グラズノフが、残されたスケッチと記憶をもとに復元したものである。そんな訳で、ボロディンの交響曲にグラズノフの味付けが少し入ったような曲なのだが、聴いてみると、やはり紛れもなくボロディンである。ボロディンの旋律は耳に残る美しいものが多い。本業は化学者で、作曲はあくまでも余技の「日曜作曲家」であったが、それゆえに、生活のために気の乗らない作品を作ることもなく、作品数としては少ないながら、良い作品だけを残したのだ。

第1楽章の最初の方の木管によるメロディーが素晴らしい。これが展開していって、いい感じで終えると、続く第2楽章も素晴らしかった。演奏者泣かせらしいが、8分の5拍子と4分の2拍子が組み合わさった、スケルツォ楽章である。私の大好きな部分もきれいに決まり、最後は盛り上がって終わる。第2番に比べると演奏機会は少ないと思われる第3番だが、やはり魅力的な作品である。完成されていたら、さらに素晴らしい作品になったのではないだろうか。そんなことも思わせてくれる良い演奏であった。

休憩のあとは本日のメインプログラムであるグラズノフの第3番だ。今日は第33回定期演奏会ということで、3にちなんだ作品を選んだという。グラズノフの第3番は作品33でもある。

グラズノフがメインのオケというだけあって、これも素晴らしい演奏であった。もちろん小さな瑕疵がない訳ではないが、全く気にならない。第1楽章冒頭の管楽器の8分音符伴奏と、それに乗せて弦が奏でる美しい旋律。これを聴いた瞬間、これは良い演奏になるのではないかと思った。グラズノフの第3番は、派手さはなく、かと言って地味過ぎることもなく、メロディーも甘すぎず辛すぎず、ほどよい幸福感が得られる音楽だと思うが、演奏もまさにそんな気分にさせてくれた。第2楽章が「雪が舞う情景を描いたバレエ音楽のよう」というのは、本当にそんな感じだ。第3楽章は絶品だった。第4楽章もそのまま良い雰囲気で盛り上がり、最後のD音で締めくくると、少しの間をおいて拍手喝采だった。

最後に指揮者の小久保さんが舞台で挨拶。未完成に終わったボロディンの「最後の第3番」と、作曲家としての地歩を固めつつあった頃に作ったグラズノフの「最初の第3番」。なるほど、そういうことであったか。

このあとは、アンコール演奏で、ボロディンのピアノ小組曲より第3番マズルカを、グラズノフが管弦楽版に編曲した曲だ。ここも「第3番」で、しかも3拍子のマズルカである。

これからも、グラズノフを毎回聴けるようなので、今後も続けて行く可能性が高くなった。次回は交響曲第8番だそうだ。

良い気分で会場を出て、帰りは西武線の電車ではなくバスで国分寺に行った。このあたりは西武バスのテリトリーだと思っていたら、「銀河鉄道」というバス会社が、西武バスの路線の隙間を埋めるように1路線運行しているのを知り、これに乗った。「銀河鉄道」という名前も気に入ったが、日本一小さいバス会社であるそうだ。小平−国分寺の他に、東村山にもう1路線あるだけである。こんなバス路線を知ったのも、小平に来た収穫である。
0 7

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年01月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031