久しぶりにブルックナーを聴きたいと思い、急に思い立ってサントリーホールに行った。日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会だ。当日券を購入してホールに入る。今年に入って4回目のコンサートだ。
今日のプログラムは次のとおりである。
・ブルックナー: 交響曲第8番 (第2稿・ノヴァーク版)
指揮:ピエタリ・インキネン
会場:サントリーホール (14:00開演)
交響曲1曲のみ、途中休憩なしのプログラムである。当初はハース版で演奏する予定だったらしいが、指揮者インキネンの強い要望で、ノヴァーク版で演奏することに変更したという。版の差異の詳しいことは分からないので省略。
インキネンはフィンランド出身の若い指揮者で、シベリウスなどを得意とするようだが、ブルックナーはどうだろうか。
冒頭からゆったりとしたテンポで進められ、なかなか良い雰囲気だ。サクサクと進むスマートな(?)ブルックナーよりも、ゆったりと重厚長大なブルックナーの方が、個人的には好みである。第3楽章などもいい感じであった。全体としても、このテンポがいい具合に作用して、良い雰囲気にはなっていたと思う。ブルックナーでは胆ともいえるホルン群など素晴らしかったし、第4楽章のティンパニもドンドンと私好みだったし、最後の方の盛り上がりも良かった。ただ、少し難をいえば、ところどころ音が埋もれてしまって聞こえるべき音が聞こえず、ちょっと微妙な響きに感じる箇所があった。全体としては決して悪くはないが、あともう一つ欲しいかなというのが正直な印象である。
今回は珍しくやや辛口な感想も含めたが、インキネンはこれからブルックナーを振る機会も増えるだろうし、近いうちにさらに素晴らしい名演が聴けるのではないかとの期待感はある。
たっぷりと90分の長い演奏で、久しぶりにブルックナーをじっくりと生で聴いて楽しめたことは間違いない。
なお、サントリーホールは2月から改修工事に入りしばらく閉鎖する。改修後のホールの音響が悪くならないことを祈る。
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