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2017年01月14日23:12

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【音楽】 東京交響楽団演奏会@サントリーホール

今日はこの冬一番の寒さではないかというような日だったが、夜はコンサートに出かけた。今年になって2回目のコンサートである。東京交響楽団の定期演奏会だ。

今日のプログラムは次のとおりである。

 ・O.メシアン:交響的瞑想「忘れられた捧げ物」
 ・矢代秋雄:ピアノ協奏曲
 ・F.シュミット:バレエ音楽「サロメの悲劇」

    指揮:秋山和慶/ピアノ:小菅優
    会場:サントリーホール (18:00開演)


今日のプログラムは、いずれも生で聴くのは初めての作品ばかりだ。それどころか、メシアンの「忘れられた捧げ物」はCD等でも聴いたことがなく、未知の曲が聴ける楽しみもある。その上、指揮者、ピアニストとも申し分なしである。

いわゆる定番名曲がプログラムにないためか当日券が結構あったようで、おかげで急に思い立っても聴くことが出来たのである。サントリーホールも2月から改修工事が始まりしばらく閉鎖されるので、1月のうちに行っておきたいというのもあった。

1曲目はメシアンの未知の曲から始まる。10分くらいの曲である。メシアンが敬虔なカトリック信者であることや曲のタイトルから想像されるような、ゆったりした感じで始まり、ずっとこのような曲なのかと思っていると、秋山さんの動きが「次の瞬間激しくなるぞ」と見え、そのとおり激しい曲調になったが、最後はまた弦楽のみでゆったりと演奏される瞑想的な音楽となり、しずかに終えるという、緩急緩の3部からなる曲であった。あとでプログラムの解説を見ると「十字架」、「罪」、「聖体の秘跡」の3つの部分からなるとある。初めて聴く曲であったが、(私自身はキリスト教とは無縁ではあるが)どこか心が落ち着くような1曲目であった。

2曲目は矢代秋雄のピアノ協奏曲だ。今日はこの曲がプログラムにあるから聴きに行ったのである。矢代はパリ音楽院に入学し、メシアンの授業にも参加したとのことで、1曲目のメシアンと2曲目の矢代もつながるのである。小菅優さんが秋山さんとともに登場して、演奏が始まるや、やはりこの曲はいいなと思った。冒頭のピアノは小菅さんの外見に似ず(?)繊細な感じだが、ピアノソロ部分になると力強いピアノで魅了された。第2楽章はピアノがC(ハ音)だけを出し続けつつ曲が展開するが、CDで聴いているとなんとなく聞き流しているところであった。このシンプル過ぎる素材からなんともいえぬ響きが生まれるのだ。この曲も最後まで楽しめた、というより生で初めて聴いたことにより、じっくりと味わうことが出来た。ちなみに、この曲は昨年他界した中村紘子さんのために書かれ、初演ももちろん中村紘子さんであった。

このあとは、小菅さんの独奏によるアンコール。知らない曲だったが、なんとなくメシアンっぽいな勝手に思っていたら、あとで確認したところによると、メシアンの前奏曲集から「鳩」であった。

休憩のあとは、フローラン・シュミットの「サロメの悲劇」である。矢代がパリ音楽院の卒業作品として作った弦楽四重奏曲は評価されなかった(音楽院の方針と違う作風のためらしい)が、フローラン・シュミットは価値を認めたということで、2曲目の矢代と3曲目のシュミットもつながっている。「サロメ」といえば、リヒャルト・シュトラウスの歌劇か、伊福部昭の舞踊音楽を思い浮かべるが、そういえばシュミットにもあったなと思い出したという程度で、あまり聴いていなかった。どんな曲かも忘れていたのでちょうどよい。

改めて聴いてみると、もちろん「サロメ」を題材にした音楽であるから、ドラマチックな展開にはなるのだが、なかなか面白い音楽であった。「前奏曲」、「真珠の踊り」、「海上の誘惑」、「稲妻の踊り」、「恐怖」の踊り」の5部から成るが、最初の2曲はおどろおどろしい雰囲気はない。ここで一旦区切って、あとの3曲は続けて演奏されるが、「海上の誘惑」でのオーボエが怪しげな雰囲気を醸し出すと、サロメが踊り、ヨカナーンの首が斬られ、海は血に染まり、嵐が吹き荒れ、山は火の海になって、音楽も野卑なリズムで終える。これは拍手大喝采の演奏であった。ついでに聴くようなプログラムのつもりだったのに、こんなに楽しめたとは収穫である。これは秋山さんの指揮によるところも大きいとは思う。

今日も素敵な演奏会だった。ホールの外に出ると極寒の夜空であったが、気分よく地下鉄の駅に向かった。
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