mixiユーザー(id:12784286)

2017年01月07日21:04

206 view

【散策】 川崎多摩区 二ヶ領用水散策

まだ正月気分が抜けきらないままの3連休だが、初日の今日は天気も良いので、自宅近くを散策することにした。川崎の川といえばまずは多摩川だが、忘れてはいけないのが二ヶ領用水だ。多摩区から、高津区、中原区を通って幸区に至る農業用灌漑用水で、全長32kmに及ぶ。歴史は古く、関ケ原の合戦の頃にまでさかのぼる。徳川家康の命により、用水奉行である小泉次太夫が作ったもので、稲毛領と川崎領を潤すということで「二ヶ領用水」と名付けられた。現在は農業用水としての用途はほとんどなく、一部は暗渠になっていて分かりにくい箇所もあるが、多摩区内は立派な川として市民の憩いの場にもなっている(と市が宣伝している)のである。

中野島駅から多摩川の方に向かい、川沿いに少し歩くと、二ヶ領上河原堰堤がある。ここが二ヶ領用水の取水口である。ここから歩き始めることにする。すぐに三沢川との交差部に着く。さらに行くと南武線の踏切だ。人や車は踏切で渡るが、もちろん川は南武線の下を流れていく。川には数十メートルおきに橋が架かっている。中野島と菅馬場をつなぐ橋で、橋の形も様々で面白い。北星橋という橋があり、この橋を中野島側に渡ると中野島中学校、中中(なかちゅう)だ。校内はクラブ活動か何かなのか、土曜日の午後の校庭に若い声が響いている。

小さな橋が多いが、少し行くと車も通れるやや大きな橋がある。橋本橋だ。中野島駅から真っすぐ府中街道に向かう道に架けられた橋で、ここは何度も通っている。南武線の踏切を渡ってからは近所なのに初めて歩くような所を通ってきたが、見慣れたところに出た感じである。中野島と生田の間である。さらに川沿いの散策を続ける。一本圦橋のあたりで、優雅に浮かぶ水鳥たちや、水辺で遊ぶ親子連れなどを見かけ、水もきれいであることがうかがえる。

さらに行くと、「紺屋前の堰」と書かれた碑が立っている。かつて近くに藍染屋があって、この二ヶ領用水の水を使っていたという。このようなものが近所にあったことも初めて知った。その少し先にあるのが台和橋だ。この橋には二ヶ領用水を作った小泉次太夫のレリーフが埋め込まれている。「川崎育ての親」という説明書きが付いており、まさに二ヶ領用水が現在の川崎市の発展の源であることを示している。あたりが賑やかになってくると新川橋、世田谷通りとの交差部だ。苦手な九州ラーメンのにおいが漂ってくる。道路を渡ると、某元プロテニス選手がイメージキャラクターを務める紳士服の店だ。車の通りも多い世田谷通りを越えて少し行くと、津久井道との交差部で、ここに架かる橋が小泉橋だ。何やら記念碑のようにも見えるものがあるので行ってみると、「光のしじま」と題する井上麦さんの彫刻作品だった。二ヶ領用水との関係は不明である。

小田急線の線路を跨線橋で超える。二ヶ領用水はこのあたりで五反田川と合流する。あとはしばらく二ヶ領用水は府中街道に沿って流れる。府中街道は車の通行量も多い。向ヶ丘遊園駅南口の賑やかな商店街と交わるあたりが稲生橋だ。日本民家園や岡本太郎美術館などがある生田緑地も近い。かつて、この川沿いにモノレールが走っていたが、向ヶ丘遊園の閉園に合わせて廃止された。今は跡形もなく、二ヶ領用水沿いの散歩道となっている。その向ヶ丘遊園跡地の一部に出来たのが、藤子・F・不二雄ミュージアムだ。いまだに入ったことがないが、今日も大賑わいのようだ。小田急線の登戸駅、向ヶ丘遊園駅の列車接近音や、南武線登戸駅の発車音も、藤子アニメの音楽になっている。そのため、毎日登戸駅を出るたびに「♪あったまテッカテ〜カ、さえてピッカピ〜カ、それがどうした、ぼくドラえもん」のメロディーを聞くことになってしまった。

雪ヶ坂の分岐路を過ぎると急に車通りが少なくなる。車は府中街道ではなくバイパスの方に流れるようだ。おかげで二ヶ領用水沿いの散策は、また静かになった。歩道は道路をはさんで川と反対側にあり、川沿いというよりは、単に道路沿いを歩いているような感じであまり面白くない。東名高速の下をくぐり、さらに少し行くと、間もなく久地駅前に出る。

ここから先は高津区になるので、多摩区内の二ヶ領用水散策もここまでだが、実は二ヶ領用水はもう一本ある。宿河原用水とも言われる支流があり、それがちょうどこの久地駅前で合流するのだ。そちらは多摩区内なので、このあとは宿河原用水をたどって行くことにする。宿河原用水は通称で、正式には二ヶ領用水の一部である。合流点はすぐに分かり、支流の方に行くと、最初に架かっているのが出会い橋だ。合流点に架けられた橋ゆえのネーミングだろう。なかなか気が利いている。

ふと、石碑のようなものを見かけ、近寄って見て見ると「徒然草第百十五段」が書かれていた。「宿河原といふところにて」で始まる一節だ。「徒然草」に宿河原が出てくるとは知らなかった。さらに行くと、川崎市緑化センターというものがあった。植物公園のようなものだが、このようなものがあることも知らなかった。この緑化センターの近くに架かっている橋が緑の吊橋である。緑化センターは川の両側にまたがっているようで、それらをつなぐ橋である。緑化センターを過ぎたあたりからは桜並木である。地元では有名な花見の名所であるが、もちろん今の季節に咲いている訳がない。桜並木を通っていくと南武線をくぐる。線路下を川といっしょにくぐることになるが、「頭上注意」の表記のとおり、1.2m位しかないので、かがんで通らなければならない。

南武線をくぐると多摩川も近い。間もなく宿河原二ヶ領堰堤が見えてくる。宿河原用水の取水口のところだ。ここにあるのが、二ヶ領せせらぎ館という建物である。中は多摩川の魚の小さな水族館と、多摩川に関する小さな展示コーナーであり、無料の公共施設としてはこんなものかなというところだ。床に貼ってある多摩川全域の航空写真は見ていて楽しい。川崎駅付近などを見ると少し写真が古いのが気になるが、それはまあどうでもよい。

川沿いに約3時間の散策であった。地元ながらよく知らなかった場所も多い。遠くに行くばかりが旅ではないのだ。夕方になると急に冷え込んできたので、あとは自宅に向かった。

フォト

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年01月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031