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2016年11月15日14:04

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パリ同時多発テロ後のフランス

 パリを震撼させた同時多発テロ事件から一年が経った。これは、2015年11月13日21時頃(現地時間)、複数の場所で自爆テロや発砲があったもので、特に被害者が多かったのがコンサートのあったバタクラン劇場である。犯行グループの一部が襲撃し、銃を乱射したのち、観客を人質にとった。結果的には特殊部隊が制圧したものの、89名の犠牲者を出した。

 この事態に衝撃を受けたフランス政府は、全土に国家非常事態宣言を発し、実行犯を拘束及び射殺する一方、テロ防止のため警察権を強化している。焦点は非常事態宣言の解除がいつかということだけれども、2016年7月に再びニースでテロ事件が発生して以来、未だ続いたままだ。

 フランスは2015年1月にも雑誌社が襲撃される事件が起きている(シャルリー・エブト事件)。まさに2015年はテロによって翻弄された悪夢の一年であったに違いない。それから間もなく、フランスでは地方選が行われたものの、懸念された極右勢力の躍進は阻止された。

 2017年にはフランス大統領選が行われる。地方選では極右の台頭こそなかったものの、現職・オランド大統領及び与党・社会党など中道左派も苦境に立たされている。経済の回復が思わしくなく、テロへの恐怖も克服されないままだからだ。

 2016年は欧米を揺るがす大きな出来事もあった。6月にはイギリスが国民投票でEU脱退を選び、11月にはアメリカが新たな大統領にトランプ氏を選んだ。いずれも接戦が予想されていたものの、起きるとは思われなかったシナリオだった。

 移民・難民の流入、複数の価値観が衝突する状況のなかで、エリート層はリベラリズムを説くばかりで、貧困や格差の是正に本腰を入れてこなかった。実態はともかく、そういう意識がこれまで政治や社会を曲がりなりにも下支えしてきた中間層の離反を招いた結果といわれている。

 こうした風潮が、特に大規模テロに見舞われたフランスでも蔓延しないはずがない。

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 リベラリズムと欧州統合を主導してきたフランス。隣国のドイツもまた2017年には連邦議会選が予定されている。近年は経済危機に見舞われ、中東情勢の悪化で移民・難民がヨーロッパに大挙して押し寄せてきている。そのなかにはテロリストも含まれ、社会に不満をもつヨーロッパ生まれの移民二世らが彼らに共鳴するということも起きている。加えて、EU拡大路線はロシアとの軋轢を生み、クリミア半島をめぐってウクライナの動揺も続いている。

 こうした多難な状況のなかで、民主主義が自国の権益のみに固執する方向に動いたらどうなるか。英米では、結果が出た。フランスはこれからどういう方向性をみせてくるのだろうか。

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■「苦しい時こそフランスは一つに」パリ同時テロから1年
(朝日新聞デジタル - 11月14日 10:05)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4291709
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